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異能と青春  作者: 成海由華
不良少女編
37/100

2.最悪の日

 ゲームセンターの前の道で。

 到極と桜、番と不良三人が向かい合っていた。


「莉奈ちゃん、僕だよ! 僕あの時からずっと莉奈ちゃんに謝りたくて――」


「おい莉奈、コイツ誰だ」


 到極の言葉は不良の男に阻まれた。


 不良の男の名は犬山いぬやま

 喧嘩が強そうな見た目の中学生。

 身体も到極より大きかった。


 残りの二人は犬山の手下のようだった。


「別に何でもねぇよ、ただの小学校の同級生だって」


 番が犬山に言った。

 そして。


「もう私に関わらないで」


 番が到極に言った。


 番たちが到極の横を通り過ぎようとする。


「待って!」


 到極が番を引き止める。

 なんとしても4年前の事を謝らなければ。

 到極はそう思っていた。


 だが。


「何だ、やるのか?」


 犬山が言った。

 犬山が握った拳を到極に向ける。


(くっ、異能の力があれば戦えるのに……)


 到極は思った。

 そう、いつもなら。

 到極は不良たちに対抗できていた。


 だが今は違う。

 到極は異能が使えない。

 到極の敗北は明らかだった。


 不良たちはニヤニヤ笑っていた。

 弱い獲物をいたぶろうと待ち構えていた。

 だが、それを阻止する様に。


「そんな奴ほっといて、さっさと行こうぜ」


 番が不良たちに言った。

 番の言葉を聞き、不良たちが去って行く。


(謝れなかった、また何も出来なかった……)


 到極の黒歴史が上塗りされた。

 到極はしばらくその場から動けなかった。




 ◇ ◇ ◇




 チームLのシェアハウス。

 到極は帰宅するとすぐに自分の部屋に閉じこもってしまった。


「どうしちゃったのよ、あいつ?」


 礼夏が言った。

 礼夏たちには桜が事情を説明した。

 説明を聞いて、礼夏が言う。


「ふーん、そんな事があったんだ。でもこれはあいつにしか解決できない問題でしょうし、私たちに出来ることは、今のところ無さそうよね……」


 礼夏の言葉を聞いて、隼人も言う。


「そうだな、これは到極の問題だ。俺たちが代わりに解決できる問題じゃない」


 隼人が言った。

 礼夏と隼人、二人の意見は一致していた。


「分かってはいるんですけど、やっぱり心苦しいです何か少しでも、到極さんの力になりたいです」


 二人の意見を聞いて、桜が言った。


「そうよね。到極くん、いつも私たちを助けてくれてるんだもん。到極くんが悩んでる時は、やっぱり何かしてあげたいよね」


 桜に続いて、光が言った。

 桜と光、二人の意見も一致していた。

 そんな中、ティアは。


(礼夏と隼人は到極君を見守る考え。桜さんと光は到極君を助ける考え。私はどうしたいの? 私は……)


 ティアは一人、答えを出せないでいた。


 到極のいないリビングは、いつもより少し暗い雰囲気だった。




 ◇ ◇ ◇




 数時間後。


 到極の部屋。

 到極はベッドの上でうずくまっていた。


『助けてくれるって言ったのに』

『うそつき』

『もう私に関わらないで』


 到極の頭の中で番の言葉がぐるぐる回っていた。


(見た目も結構変わってたな……)


 茶髪に染めた髪。

 短く折ったスカート。

 ルーズソックス。


(莉奈ちゃんが不良みたいになってたのも、やっぱり僕のせいなのかな……)


 到極が頭の中で色々考えていた、そんな時。


「到極さん、晩ごはん出来ましたよ」


 桜の声だった。

 到極はもう何時間も部屋にこもりっぱなしだった。

 そんな到極を心配して、桜が部屋の外から話しかけてきた。


「今、食欲ないから」


 到極がそっけなく言った。

 だが桜としても、このまま引き下がる訳にはいかなかった。


「でも何か食べないと身体に悪いですよ?」


 桜がもう一度、到極にそう投げかける。

 しかし。


「ごめん、僕の事は放っておいて」


 到極はそう言って桜からの言葉をシャットアウトした。

 そこからは桜が何を言っても反応は無かった。


 到極は再び番のことを考え始めた。


『もう私に関わらないで』


『もう 私に 関わらないで』


『も う 私 に 関 わ ら な い で』


 だが思考はどんどん悪い方向へと向かっていった。


(そっか、莉奈ちゃんはもう僕と関わりたくない)

(そうだよな、嫌な思い出しかないもんな)

(僕の顔なんか見たくもないよな)


 そして。


(謝ろうと思ってたけど、もう会わない事にしよう)


 到極は布団の中でそう思った。

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