表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能と青春  作者: 成海由華
出会い編1
32/100

2.ティア

 E.D.O本部。


 健康に問題がないことを確認した後、到極は医務室を出た。

 赤井の提案で、ティアはひとまず到極と行動を共にすることになった。


 赤井の話によると。

 到極だけでなくティアにも『異能の痕跡』が検出されたらしい。

 異能の詳細を確認するべく、二人は『異能測定室』に向かった。




 異能測定室。


 異能に関する様々な検査を受けることが出来るこの場所で、到極は一足先に検査を受け終えた。




【異能検査結果】


 異能指数 0.15

 アクシオン濃度 0.23

 異能器官 変化なし




「全て最低レベルですね。体力、生命力、感情、集中力も今までと特に変わりありません」


 検査を担当した職員が言った。


「そ、そうですよね。あはは……」


 到極が言った。


 E.D.Oに所属している異能者は総勢500名。

 到極はその中で唯一、異能が使えなかった。

 E.D.Oに所属して、もう4年。


(そっか、4年間使えなかった異能が、急に使えるわけないか。何かの間違いだったんだな、きっと)


 到極はそう思った。


 続いてティアの検査が終わった。




【異能検査結果】


 異能指数 96.75

 アクシオン濃度 85.34

 異能器官 活発に活動中




「すごいです! こんな高い数値、滅多に見ないです! Bチーム相当ですよ、これ!」


 検査担当の職員が興奮して言った。

 対してティアは無反応だった。

 無理もない。

 チーム、という概念も今知ったのだから。


 E.D.Oの異能者たちは、その強さに応じてA〜Lまで12の階級50のチームに分けられている。

 今回ティアは上から2番目の評価を受けた。

 これは異例のことだった。


「アーク名は分かりますか?」


 到極が職員に聞いた。

 異能は『アーク』とも呼ばれていた。


「えぇ、判明しましたよ。お二人とも」


 職員の言葉に到極は驚いた。

 4年間、分からなかった自分の異能。

 それが今日、判明するからだ。


(やっぱり僕も異能者なんだ! 今日はティアの付き添いぐらいの気持ちで来たけど、来てよかった!)


 到極は喜びの表情で、ティアは無表情で職員の言葉に集中した。

 職員が言う。




「お二人のアーク名は……『解放因子(アーク・マター)』です」




 解放因子(アーク・マター)

 作り出したエネルギー体を飛ばす異能だった。


「二人とも同じ異能ですか?」


 到極が言った。


「えぇ。珍しい事ですが、あり得ない事では無いです。比較的ポピュラーな異能ですからね」


 職員が言った。

 職員の話によると、本部の異能者の中にも既に数人『解放因子(アーク・マター)使い』がいるらしい。


「"異能を使う"ってどんな感覚なんだろ。試してみようよ」


 到極がティアに言った。

 ティアは無言で従った。


 だがこの場で異能を発動することは出来ない。

 異能を使ってよい場所は決まっているからだ。


 到極とティアは『異能訓練室』に向かった。




 ◇ ◇ ◇




 異能訓練室。

 異能の使用が認められている場所の一つ。

 本部の異能者たちが異能の訓練を行う部屋。


 室内には既に先客が数人いた。

 到極とティアは空いている器具を使った。


 今回使用する器具は『ダミー人形』だ。

 離れた場所に立ち、人形めがけて異能を発射する。

 刑事ドラマでよく見かける射撃訓練の異能版のような感じだ。


 周りでは異能者たちが異能を的にバンバン命中させていた。


 到極も見よう見まねで片手を前に出す。

 そして力を込めた。




 だが何も出なかった。




 両手を出してみたり「うおー」とか「おりゃー」とか言ってみたが、異能は発射しなかった。


「だ、ダメだぁ」


 到極は落胆した。


 隣の列ではティアが到極の真似をして右手を前に出していた。

 ティアが手に力を込める。

 すると。


 巨大なエネルギーの球が人形めがけて飛んでいった。

 そして。




 次の瞬間、ダミー人形が吹き飛んだ。




 人形は破壊され、奥の壁にはヒビが入っていた。

 到極は目を見開き、開いた口が塞がらなかった。

 衝撃波が近くにいた異能者たちまで届いた。


「すげー、何だ今の!」

「あんな綺麗な子、この組織にいたか?」

「新入りでこれなら、とんでもないことだぞ!」


 近くの異能者たちが集まって来た。

 噂はすぐに広まった。


 異能訓練室だけでなく、本部内の他の場所からも多くの異能者たちが押し寄せた。

 あまりの人の多さに、到極すらティアに近づけなかった。


「今の技、一体どうやったの?」

「こんな威力の解放因子(アーク・マター)、見た事ない!」


 そんな中、野次馬の一人が言う。


「じゃあ、"これ"は出来る?」


 ティアを試そうとする者の一人が、上級者向けの訓練を提案してきたのだ。


 その内容は、離れた場所にあるボールを異能で上下左右前後に動かす。というもの。


 ただ吹き飛ばすのに比べて、"力の調節"という高度な技術が要求される。


 そもそも、ティアは初心者だ。

 異能も、いま初めて発動した。

 初心者にとって、この訓練は無理難題といえた。


 だが。




 ボールは宙に浮いた。


 そして前後左右上下、自由自在に動き回った。




 ティアは見事、この難題を突破してみせた。


 よく見ると、ボールの周りに"異能で作った手"のような物があった。

 この"手"が、ボールを自在に動かしていた。


「これってもしかして、()()()()!?」


 野次馬の一人が言った。


 異能には【艤装】と呼ばれる段階があった。


【艤装】の数が進むごとに難易度は上がる。

 だがその分強力な力を振るう事ができた。


【第一艤装】をマスターするだけでも大変といわれる中で、【第二艤装】をほぼ完璧に発動したティアは、見ていた者たちを完全に虜にした。


「すごいよ、ティアさん!」

「ぜひ、うちのチームに!」

「E.D.O創設以来の天才だぁ!」


 野次馬たちがティアを褒め称える中。


(すごいなぁ、ティアは。それに比べて僕は……)


 到極だけが、浮かない顔をしていた。

 到極は拳を強く握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ