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異能と青春  作者: 成海由華
出会い編3
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2.学園生活

 東京都贈ヶ丘(おくりがおか)中学校。

 生徒の自主性を重んじる自由な校風の中学校には、今日も多種多様カラフルな生徒たちが登校していた。

 その人混みに紛れて、到極たち四人は2組へ、花咲は3組へ向かった。


 2年2組の教室。


 到極が自分の席に着くと、一人の少年が話しかけてきた。


「なぁ到極、また可愛い女の子と同居することになったって本当か!?」


 少年がワクワクした様子で言った。

 少年の名は吉田拓馬よしだたくま

 少年漫画の主人公の様な見た目の少年。

 身長は平均くらい。

 明るいが少し調子に乗りやすい性格のようだった。


 拓馬は数日前に転校してきた花咲に夢中な様で、しかも花咲が到極たちと一緒に住んでいると聞いて、はしゃがずにはいられなかったようだ。


「うん、そうだよ……」


 拓馬のテンションに押されながら到極が言った。

 二人の会話に新たな人物が割って入った。


「ティア殿に桜殿に花咲殿、まさにハーレムという奴でござるな」


「加藤くんってたまに変な口調で話すよね……」


 到極はまたも少し引きながら返した。


 加藤美樹かとうみき

 長髪が特徴的なイケメンの少年。

 身長は平均より高く、細身でスタイルも良い。

 髪とスタイルが相まって、後ろ姿は完全に女子だった。

 クラスの女子いわく、見た目は良いけど……的な残念イケメン枠らしい。


 拓馬と加藤が話していると、二人に吸い寄せられるかの様にまた一人、男の子が話しかけてきた。


「花咲さん、好きな食べ物はわらび餅で犬派。彼氏はいないみたいだよ」


「なんで一緒に住んでる僕も知らない情報を、小森君が知ってるの……?」


 到極が三度みたび引きながら言った。


 少年は小森大こもりまさる

 ぽっちゃり体型の少年。

 身長は平均より低い。

 拓馬、加藤、小森の三人はよくセットで見かける事が多い。

 どうやら相当仲がいいらしい。


 三人は到極の机の周りで、花咲にまつわる雑談を続けていた。雑談はだんだん声量を増し、内容も下ネタへとシフトしようとしていた。

 そんな三人を見兼ねたように、一人の少女が話しかけてきた。


「ほらそーゆー話はあっちでしなさい。到極くんが困ってるでしょ」


 少女は三人を押して、三人を本来の席に向かわせた。


 夏目なつめカナ。

 しっかりした性格でクラスメートからの信頼も厚い少女。

 髪型はセミロングヘアー。

 夏目はこのクラスの学級委員だった。


「ごめんねー到極くん。またアイツらが」


 夏目が言った。

 クラスの大人しい男子枠である到極にも分け隔てなく接してくれるあたりが、夏目がクラスで信頼を得ている理由だろう。


「ありがとう夏目さん。ぼ、僕は大丈夫だから」

「まったく、あの三バカは!」


 夏目が三人の方を睨む。

 三人は肩をすくめ少し小さくなりながら、小声で下ネタ雑談を続けていた。

 数分後に担任の先生が到着し、ホームルームが始まった。


 朝から退屈しないな、と到極は思った。

 全6クラスある中でも、2組ほどにぎやかなクラスは他に無いんじゃないだろうか。朝のホームルーム中、到極はそんな事を考えていた。




 ◇ ◇ ◇



 2年3組の教室。

 にぎやかな2組と比べると、3組の雰囲気は落ち着いていた。

 転校してまだ数日、慣れない事の多い花咲に一人の男子が話しかけてきた。


「何か分からないことがあったら言ってね。僕に出来ることなら手伝うから」


 少年は爽やかな口調でそう言った。

 斎藤流さいとうながれ

 爽やかな少年はクラスの女子からの評判も高い。

 斎藤は3組の学級委員だった。


「ありがとう斎藤くん、頼りにしてるね」


 花咲が言った。

 斎藤が花咲の髪を見て言う。


「そのシュシュ、素敵ですね」


「斎藤くんも。それ、カッコいいね」


 花咲が、斎藤の手首に巻かれた高級そうな腕時計を指差して言った。


 この学校は、過美にならない程度であれば、装飾品の持ち込みや制服の改造が認められていた。


「みんな席に着けよー、出席とるぞー」


 担任の先生が教室に入ってきた。

 3組のホームルームが始まった。




 ◇ ◇ ◇




 この学校は一クラス30人制だ。

 学年ごとに6クラスあり、計540人ほどの生徒たちが学校生活を謳歌していた。


 再び2年2組の教室。

 到極の席は中央の列の一番後ろだった。

 到極の席の左隣がティアの、到極の席の一つ前が桜波姫の席だった。


 教壇からよく見える到極の席は、本来なら不人気な席のはずだった。だが今回は違った。


 ティアのさらに左、窓側の一番後ろの席。

 加藤美樹の席に拓馬と小森が集まっていた。


「何かいい方法はねぇのかよ、到極と席を交換する良い手は!」


 拓馬が言った。


 到極の席。

 ティアと桜、二人の美少女に囲まれたその席は男子たちにとってまさに楽園と呼べる席だった。


「あるわけないだろ、そんな都合の良い話」


 小森が言った。


「まさか到極がこんなにも早く"クラス三大美少女"の二人と親密になるとは」


 加藤が言った。

 クラス三大美少女とは2年2組の男子数人が言い始めた事でティア、桜、清水の三人のことを言うらしい。


「はぁ、今度は何の話をしてるのかしら。あの三馬鹿は」


 拓馬、加藤、小森の方を見ながら、夏目が独り言を言った。


(ま、どうせ下世話な話なんでしょうけど)


 夏目がそう考えていると、三人に向かって近づいて来る人影が見えた。

 隼人だった。

 廊下側の一番前の席の隼人が、加藤たちの輪に入っていった。


(そうだった……)


 夏目は思った。

 隼人が転校してきたその日から、夏目は呼び方を変えていたのだった。

 騒ぐ四人の様子を見て夏目が言った。


「今は3+1馬鹿だったわね……」

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