表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ボツ作】 ブラック・スミス 〜生産職は弱いと誰が言った?〜  作者: 馬野郎
零章 「我らが長は未だ目覚めぬ。されど……」
9/19

第7話 夢はいいよなぁ、俺の好きなようにできる。 だがよぉ、1人で見続けるのは虚しいよなぁ?

河伯についていこうとしたら

誰かに袖を引かれた。もちろん、あいつだ。




「なぁ?朝飯ぃ、一緒に食べよぉぜぇ?」


と俺だけに聞こえる声で言った。



オリアは何故か真っ白に燃え尽き(再起動)になっていた。これは時間がかかりそうだ。

もし聞かれていたら手を出しかねない。



ここは空気を読んで


「なあ、河伯さん。朝飯食ってからでいいか?」




俺の方を向くと、少し考える素振りをして




「別に構わねぇよ。

10時に俺の火床に来なぁ、コイツみてぇに遅刻するなよ」



といい、スタスタと廊下を歩いていった。




「ありがとうなぁ。めしぃ、何食いたい? 」




うーん、朝飯はいつも握り飯に味噌汁だ。


まぁ、長い研究室生活で、水とブドウ糖と教授の美味い手料理に体が侵されて、ここしばらくまともに朝食を食べてないが。


ここはオーソドックスに米、魚、味噌汁にしよう。




「米と魚と味噌汁がいいな」




「そりゃいいなぁ。

広間にぃ持ってこさせるからさぁ、先に着物着替えちまいなよぉ」




うん?着物?着物がどうし………


恐る恐る俺の寝てた布団を見る。


視線を戻すと何故か黒鬼と目があった。


俺は流れるようなスムーズな動作で土下座した





「本っ当にすみません!」



「自分で洗え。土がよく落ちる石鹸やるから」




俺の着物は派手に汚れていた。もちろんモグラとじゃれていたからだ。


そして、それに気が付かずに布団に入り

それに気が付かずに河伯に面を見せていた。



ありがと河伯。無視してくれて!




「あははははは。やっと気づいたかぁ。


すげぇ勢いで布団に入るもんだからなぁ

止めようにもなぁ?


親父の時だって目の前に居るとは思わねぇしな」



本当に申し訳ない。

周りの事があまり頭に入らないのが悪い癖だ



頭を上げ、また黒鬼と目が合った。



(あれ?頭の上にプレイヤーネームが……)




PN〈虚無僧〉







人違いだ。絶対に人違いだ。



だが、確かめよう。




「忍者外伝で、プレイヤー名メヒトが八咫烏のアジトに仕掛けた奇襲の名称は?」





「水攻めを陽動にした、同時闇討ち」




あぁ、ビンゴだ。

第三者だったら知らないし

知っていても水攻めだけと答える 




「なんか、久しぶり」



「えぇ久しぶりです」




今までなんで気が付かなかったのか不思議だ。

本当になんでだろう。何時もは気づくのに。





「なんかメヒトさん変わりましたね?

貴方らしく無いですよ」








俺らしくないか、俺らしくない……



どこが俺らしくないんだ?



俺は俺だろ。





昔はよく友達の家で肩を寄せながら格闘ゲームをして強さを競ってた。



昔は初めてのオンラインゲームで手厚い洗礼を受けてしばらく萎えてた。



昔は監獄にいる皆で天野組を作って新規の人達に優しく手ほどきして民度を保ってた。



昔は戦争ゲーで特殊工作兵として数々の珍兵器を開発してはクランの皆で盛大に笑った。



昔はブラッドキングダムで何のきっかけもなく腕相撲大会をして、新規も古参も少し戸惑いながらだが腕相撲をしてた。



"昔は本名も顔も知らない他人と一緒にゲームを楽しんでた。ちゃんと他人もこの世界に居ると意識してた"



あれ? 全部"昔は"だ……



今はどうだ?



つまらないな……













『 なァ?若造


コイツになんしたんだァ?


下手なこたァ、言うもんならァ




〆るぞ? 』





『 姐御、俺はコイツの古い友人で偶にこんな感じで意識を失うんです 』




『 あァ? 本当ゥだろうなァ?





まぁ良いか。


親父の約束の時間までにはぁ起こせよぉ』





『 はい。




おい、小僧。

コイツの着替えと布団を洗ってこい。


後で飴をやるから 』











俺は1人でやるゲームが苦手だ。



勿論やらない訳じゃない。



自分が物語の主人公になって進めるゲームはまるで映画の役者のようで楽しい。




だが、それは物語が面白いから楽しいのだ。

ひたすら、なんの希望も無い奴隷を演じて何が面白い? 楽しい?



1人でやるゲームは映画の延長線にあると個人的に思うから苦手だ。



起きているのに夢を見てる感覚になる。









最初から違和感があった。




プレイヤーと全く関わろうと思わなかった。


そもそもプレイヤーをオブジェクトの1つとして捉えていた。




他のプレイヤーとバカ騒ぎするのがMMORPGの醍醐味だ。



非現実だから出来ることをしに来てるんだ。




1人の世界で楽しむのはつまらないな……




皆んながいてこそ本当に面白いゲームが生まれると思う。




他人と関わるからこそ面白いと思う。




俺は"楽しい"より"面白い"ゲームをしたい。



1人で見る楽しく虚しい(ゲーム)から

"覚めなきゃな"




ゲームを面白く感じるために……










「おや?起きましたか。


こんにちは、メヒトさん」




「あぁ起きたよ。バッチリ起きたよ。


こんにちは、虚無僧さん」





「えぇ、それは良かった。


実はレオンさんからいきなり連絡が来て



<兄貴が、あ〜、メヒトさんが変なんだ。精神科医の虚無僧さんならゲーム内でも診療できるでしょ?お願いします!>



と来たんですよ。

あの頭のいいレオンさんがこんな無茶ぶり無理だとわかってるのに頼むとは、余程焦ってたんだろうな。



まぁどうしようかと考えていたら、いきなり姐御が帰って来て、連れてきたのがメヒトさんだったんですよね。


実は声掛けてたんですが、無視されましたよ 」




恥ずかしい……




「本当に済まない」





「いえいえ、メヒトさんらしくなっただけでお釣りが来ますよ。



実は、ここからがやばくてねw



メヒトさんが落ちたあと

姐御が浴衣を羽織ってるだけのほぼ全裸で俺たちの前に現れて、部屋に入ろうとしたんですよ。


止めにかかったら、盛大に殴られました。


それで、そそくさと布団に入ってメヒトさんの右腕を抱きながら寝てたんですよ。


レオンの言ってた<変>ってゲームの世界の少女まで誑かすようになったのかと本気で思ったね」




「までとはなんだ、までとは」




「おっと失礼。硬派な御方だったな」



喧嘩売られた




「そうそう、あの肩に乗ってる玉あるでしょ?

メヒトさんの玉、喋るんだね。



なんか姐御が布団に入ると


《ちょっと何やってるんです! 私のメヒトさんですよ! 今すぐ離れなさい!》


とか


《そんな色仕掛けでメヒトさんは落ちませんから、それに本当は私、13姉妹で2番目にスタイル良くて、胸は1番大きいですからね! 》


とか言ってたよ。


いや〜面白かった」




だから黒く蠢いていたのかな?

あれはスタイルとか、大きさじゃなくて、全てが綺麗なんだよな。


あれじゃスタイルと大きさが良くても勝てねぇだろうな


あと、なんでそんなに覚えてるんだ?




「たまっころに体があった事が驚きだ」




「俺はこのゲームがHなギャルゲーな事に驚きだよ」




「俺のせいじゃない!」




「知ってるさ」



「そういえば、虚無僧さん。

なんで俺が起きた時、鍔に手を掛けてたんだ?」



「うん? あーなんか、やな予感がしたからさ。


まぁ予感は当たってて、目が合ったのに俺の事を認識してなかった。

まるでただの絵を見てるような目をしてたよ。


メヒトさんは元々察しがいいから


〈貴方らしくないです〉って言ってきっかけを作っただけで治りましたけどね」



理由になってない。言えない理由だな?



「さすが精神科医だ」



「そりゃどうも。

あぁ、そうだ、布団はもう洗ったよ。


あとはさっさと着替えて河童の元に行きなよ」





ていうか、洗えと言ったの虚無僧さんでしょ!



それはひとまず置いといて、


時計を確認すると9時40分だった。




「おぉ、ありがとう。恩に着る」




「恩返しは今度、金鵄さんと将棋を指してやってください」




そういえば、よく忍者外伝で金鵄さんと将棋を指してた。

すごく強いんだよなぁ、プロ棋士ですかってくらい。




「あの人、プロ棋士かってレベルで強いんだよ」




「え?あの人プロ棋士ですよ?


よく2週間ぐらいログインしない時あったじゃないですか。あれ対局してたんですよ。


個人情報なので名前は伏せますけど」



俺はプロ棋士と指していたのか。

結構な割合で俺が勝ってたが……


勝率4割、接戦。



手を抜いていたのだろう。




俺は着替えて河伯の元へ行った。


(あっ!やべ、ロリ魔王忘れてた。

後で居酒屋一緒に行こ)





【ゲームシステムの中ではワールドシナリオの

進行は無いが、確実に進行している。


シナリオ名「霊長〜万物の長たる者達よ」が】








〜されど、明かぬ「よ」が無いように、いつか目覚めると、信じ待つ〜













零章 「我らが長は未だ目覚めぬ。されど……」 終幕

はい、実は主人公、長い研究室生活でちょっと心病んだんですよね〜


でも、これちゃんと理由があって

ウェンディゴ症候群って知ってます?


カナダとアメリカ北部の先住民の間で知られるウェンディゴが見えて、頭がちょっとおかしくなる病気でさ。冬によく発症する。



実は原因が栄養失調なんですよ。


人間栄養が偏るだけで精神病みます。




もちろん犯人は教授です。


おのれフィクサー! 悪意は無いと思うが。







なるべく色んなもの食べましょう









ちょっと大きめのフラグを立てて、回収するのやってみたかったんだよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ