第3話 歴史は茶会(密談)から始まる
「何これ美味しい!」
どうやら俺の力作は口に合ったらしい。
今度は紅茶に口をつけて、
「600」
安く銘柄を知ろうとは、いい度胸だ。
「1500だ」
「おいおいぼったくりすぎじゃないか?
どう考えても250g4000円クラスの高級品だが、そんな金は払えない」
うわ、こいつ当てやがった。
「わかった1000でいい」
「600だ」
こいつ引く気がないぞ。
「ふーん、じゃあ900円分の情報よこせ」
うわこいつニヤつきやがった。
初めからこれが狙いか。
どんだけ金払いたくないんだよ。
あっ、そういやこの前競馬で負けたとか……
つか未成年のうちに賭け事に手出してんじゃねえよ。
やるなら、ポーカーをやれ。
「兄貴って昔、ブラットキングダムって言うゲームで〈天野組〉ってクラン作ってたよね?」
「あー懐かしいなぁ。
作ったと言うよりその前やってたプリズンファイティングで作ったクランをそのまま持ってきたやつだよ」
「だからみんな刺青の入ったスキンにしてたのか。
あと妙に格闘強いよなあの人たち。
剣で闘うゲームなのに白刃取りして、剣へし折って殴り倒すとかまじ怖かった」
「なんか悪いね、そいつ花形敬ってプレイヤーネームじゃなかった?」
「確かハナヤマって名前だったよ」
「そいつだな
そいつは俺の子分でステゴロが得意でさ
監獄時代に70連勝して屈服させた奴だよ。
リアルじゃボクサーで今は防衛戦やってるかな?」
「え? プロボクサーの坂上 将なの?」
そろそろお遊びに飽きた。
しかもこいつ、明らかに目が遊びの時の目だ。
「お?よく知ってるじゃん。
ちょっと話が逸れたな」
「そうだね
でだ、天野組若頭の〈麻火打弥亜夏〉って奴がプライム オブ ザ ワールドっていうゲームで天野組を作ったんだ。
それでPK集団のクランにしたらしい」
まだ腹の中に貯めてんな?
「ふーん、他には?」
「そのクラン
裏で違法なアカウント売買をやってる」
「嘘だな
俺はそのゲームをやったが、あのゲームには行動記録の球体が常に体に張り付いている。
そんな事したら1発で垢BANだ」
あーめんどい
「バレたか、点数は?」
「20点
そこまで知っている時点で怪しい
それにブラットキングダム時代は花形敬だ、ハナヤマじゃない。
まぁ最近はハナヤマにしたらしいがな
ハナガタと書くとダサいとか何とかで。
あと若頭は実は5人いるがナッツ野郎は入ってない。
俺の2次団体の組長だ。
若頭と言っているのは俺を組長にしてクランを作りたいからだろう。
それとナッツ野郎のポリシーでPK以外の悪はしないと決めてんだ。
たく俺で遊びやがって」
「さすが組長」
「そろそろ本題に入ろうぜ?」
レオンの悪い癖だ、こういう無駄な茶番を入れたがる。
「実は若頭がPKされたんだ。
それで、問題がPKしたのがハナヤマなんだよ。
ハナヤマも真天野組ってクラン作ってて、クラン同士の戦争状態なってる。
ここからがやばくて
お互い天野組の古参勢を抱えてて
その上2次団体のクランも数十抱えるビッククランなもんで、戦争に巻き込まれて既に王国2つ滅んでるんだよ」
派手にやらかしたようだ……
「俺の子供たちが兄弟喧嘩して人様の島を派手に荒らしたって事だよな?
運営側は?」
「運営側はこれを一大イベントにしたいらしく、勝利クランにワールド武器を贈呈すると言い出したよ」
「おい運営機能しろや。
どっちかが負けたらそれこそ収集付かなくなるぞ」
「だよねー、どうする兄貴?」
俺は始めたばっかりだしなぁー
そういえば
新作ゲームにすぐ飛びつく廃人集団が居たような?
「あの忍び六人衆このゲームに呼べる?」
忍者ゲーム、忍び外伝
そこで俺は、ゴリゴリの戦闘集団〈八岐大蛇〉と言う少数クランを作った。
構成員は8名、忍び六人衆と残りは俺とレオン。
ライバルの八咫烏さん達は元気してるかな?
「八岐大蛇の6人だったら連絡取ってるから何時でも良いよ。
みんなこのゲームの上位ランカーだから、兄貴だけだよ始めたてなの」
やっぱりやってたか。さすが廃人。
つかなんで始めたてなのがわかった?
あぁ、ランキングに俺の名前が乗ってなく
かつあのゲームの勝手を知ってるからか。
「直ぐに超えるさ、じゃあ俺がクランリーダーで名前は」
「八岐大蛇がいい!」
「うん、わかった。じゃあクランを2つ作るか」
「もしかして兄貴
子分を全部ひとつのクランにしようとしてない?」
「何か悪いか?」
「クランの上限人数200」
めんど
「八岐大蛇には
ナッツ野郎とハナヤマを追加して
本家天野組は古参勢と各団体のリーダーを追加して残りは2次団体にする」
「うわ、本家天野組とか」
「なんや?」
「なんでもないです」
「じゃあ
八岐大蛇を再結成して子供たちのケジメ付けに行くぞ」
「そうだね、あと単位ってどうだったの?それも気になってるんだ〜」
大学生が通らねばいけない道、単位!
まぁ普通にフル単だけど
「フル単だよ、そっちは?」
「余裕でフル単」
あー、うぜーこいつ旧帝大通ってる癖に余裕でフル単とか喧嘩売ってんだろ。
世の中不公平だ。俺が言えた事じゃないけど。
なんかレオンがチラチラ俺のティーカップを見てる。ちょっとウザイ
(あぁ、忘れてた)
「紅茶の銘柄はマリアージュフレールのロア デ アールグレイだ」
しっかり600円もらった。
久しぶりにエナドリ買おっかな?
「マリアージュフレールなの?すげー本当の高級品じゃん」
次もこのメーカーの茶葉にするかな
高いけど。
レオンと天野の繋がりは幼馴染のゲーム仲間です。
監獄とブラットキングダムの天野組に入れなかったのは、ちょうどその頃 忍び外伝で八岐大蛇をやっていた為入れませんでした。
実は麻火打弥亜夏はレオンの大学の友人で、天野が共通の知人である事が判明してからより一層の仲良くなってます。
今じゃレオンのこと叔父貴と呼んでいます(ゲーム内だけ)
ちなみに天野、マルチタスク得意です。
なんか並行思考が出来るとか出来ないとか?
本人が出来ると言うからにはできるのでしょう! 知らんけど!