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【ボツ作】 ブラック・スミス 〜生産職は弱いと誰が言った?〜  作者: 馬野郎
零章 「我らが長は未だ目覚めぬ。されど……」
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第2話 茶会の準備

イスマン王国の城門に着くと

いきなり門番から左腕の石を見せろと言われた。



《それが身分証明書であり鍵になるのです》




これが鍵か

この世界にはピッキングとかないんだろうな。

得意なのに。



見せたら意外とすんなり通してくれた。



なんかこの門番NPC

目のクマが凄いが平気だろうか?


ゲームだから平気かもしれないが不安で仕方ない。



城門を通ろうとしたら後ろから騒がしい声が聞こえた。






「見せてください」



「なんで見せなきゃいけないの!」



「見せてもらえないなら、入国はできません」







「あれ、プレイヤーじゃないよな」




《はい


あれは人に化けたモンスターでしょう。

会話がスムーズなので常習犯(高レベル)でしょうね》




「素材の匂いがしない。ほっとこう」




《首を突っ込まなくとも門番が追い出します。

ほら、転移魔法使って追い出しましたね》




えー

たかが門番が転移魔法使ってるー




「転移魔法って高レベルなのがセオリーじゃなかったか?」




《あの門番はイスマン国王の元親衛隊長です。

ご息女に手を出して……》




あ、察し。




「それでも、転移魔法って大変なんじゃ」




《ストレス発散の為に転移魔法を乱発してるようです。


門番は門の近くの小屋で寝泊まりしていて

娯楽が少なく、給料を使う時間が無いので回復ポーション買いまくるんですよ。


それで毎回ポーション飲んで

ああやってモンスターを遠くの沼に落とす事でストレス発散しています。


ご丁寧な事に、沼の側に中継魔法陣を貼って落ちる瞬間を眺める徹底ぶりです》




ここは地獄か?あのモンスターが哀れで仕方ない。




気を取り直して門を通った。




この国はお約束の中世的な、石畳にレンガの街出できているようだ。


中心には王都があってここからでも見えるくらい高い城壁で囲まれている。



なんか、ちらほら砲台やら投石機がある。




《ここはモンスターの襲撃が多いいため要塞化を図っている最中です》



あー、さっきの門にいたやつみたいな。



おっと、気がついたら15時15分

約束は30だからそろそろ落ちないと不味いな



俺は急いで地図を確認した。




「宿屋は、、真っ直ぐ行って突き当たりを左に行くと直ぐにあるのか」



急いで宿屋に着くと

店主が料金表を見せてくれた。



広さによって値段が変わるらしい。


全く気にならないので1番安い部屋にし、ベッドに入ってすぐに落ちた。









すごく久しぶりに自分の体に戻った感じだが

実際は2時間ちょっとしかやっていない。




「やっぱり自分の体が1番馴染むなー」




にしても、あのゲームは体の違和感がない。

もしあるとすれば

右手の火傷跡が無いくらいしかない。


これは刀打つ時も捗りそうだ。



俺はさっさとVRのヘッドギアを外して部屋の棚を眺め始めた。




「何がいいかなぁ」




俺が眺めてる棚

そこには、集めたスパイスや茶葉、豆などが数十種類保管してある。


総額はヤバい。特に紅茶が高い。



今回は茶会なので紅茶を選ぶのだが、




「受けが良かったのはファーストフラッシュのダージリンだが


少し時間が経ちすぎて香りが薄い」




十分香りが残っている気がしなくもないが

相手は犬並に鼻が利く、へそを曲げかねない。

だから少し大袈裟に見積もる。




「これにするか。

先週買ったばかりで、試飲したが問題なかったはず。


だけど値段がなぁー

気に入るといいなぁ……


つか気に入らなかったら苦手なチャイを無理やり飲ませるか」




考えた末

ベルガモットで香り付けするアールグレイにした。

お値段4000円の高級品なのであまり人様に出したくない。


しっかり元を取らねば。



俺は茶葉とティーセットを1式トレイで持って応接室に向かった


入ると、まだ相手は来てないようなので

ポットにお湯を入れるついでに菓子を持ってくることにした。



今回の菓子はオレンジタルトにした。


朝早く起きるのは苦手だが

何か作る時は何時だって起きれる体質の為、5時に起きて、わざわざオレンジのアクを抜いてコンフィにまでした力作だ。



紅茶と被っているが相性は良いので平気だろう。







応接室に戻ると茶会の相手こと

イギリスと日本のハーフ、「大石 レオン」がニヤニヤしながら俺を見た。


視線はバッチリオレンジタルトだ。




「おーい親父、俺の力作食うか?」




「ちょっと待って兄貴、 1切れ! 1切れでいいからちょうだい!」




「視線が不愉快」




そう言うと目をつぶった。

だがさっきからタルトの匂いを嗅いでいる鼻が余計に目立っている。



これは余程美味いと匂いで判断したんだな。


少し嬉しいので、目を開けさせてタルトを切り分けるように言った。



今回は家族にも食べさせたいので8等分にして3つだけやると釘を刺しておいた。



この前はどら焼きだったが、気づいたら俺の分まで食いやがった前科持ちだ。


釘を刺さしても怖い。



まぁ数的に俺が家族の分も残しておきたい事は察せてるはずだから、手を出すような蛮勇はしないだろう。



俺が紅茶を入れ終わると茶会が始まった。

このハーフはよくいる英語喋れない系ハーフではなく、しっかり喋れます。


なんでもイギリス人のお父さんが家の中じゃ英語をよく喋るらしく、その影響だとか。


ただこの父、テレビでサッカー見る度「football!」とキレたり、酷い時は授業参観の時英語教師を小1時間睨み続けたりしたそうです。


職業は消防士で、もちろん曰本語を訛りなく喋れます。すげぇ!



ゲームの世界では茶会の時

泥沼に落とされたモンスターがぶつくさ言いながらワイバーンを呼んで自分の国に帰っている最中です。


勿論ワイバーンとその飼い主にめちゃくちゃ怒られた。だが、直す気は無さそうです!

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