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『恐怖』と疑問



と、まぁ一作品書いたところで去年の夏ホラー企画からずっと頭の中に蓄積されているある疑問。



そもそも『恐怖』っていう感情は一体何なのさ?



人類などの哺乳類を始めとする、ある一定の知能を司る生物が表現する事が出来る情報伝達方法、『感情』。その中でも『喜怒哀楽』という四つの感情は、生まれながらにして身についているものだと言われている。


しかし、その『喜怒哀楽』の中に『怖』の感情は入っていない。


生まれたばかりの人間の赤ん坊の反応なんかを見ると良くわかる。目に写る興味の深いものに対して笑ったり、空腹や寂しさなどで自分の欲求が満たされない時には不快を感じ泣き出しする。

しかし、何かに怯えたり怖がったりする感情を見せるようになるのは、脳細胞が成長し感情がより豊かに表現されるようになるまでしばらく先の事。


そのくせ、『恐怖』という感情は何も人間などの高等生物に限った事ではなく、比較的感情表現に乏しい鳥類や爬虫類、植物までもが備わっていると言われており、それにより怯える、竦む、逃げ出すなどの行動反応を起こしたりする。



『恐怖』って何?



なぜ、生きとし生けるものは『恐怖心』という一見不快感の塊の様な感情を備え持つようになったのか? そして、何に対して、何がきっかけでその様な感情が芽生えたりするようになるのか?



と、言うより、人間は一体何に対して最大の恐怖心を抱いたりするのだろうか?


それがわかればホラー小説を書くのは極めて簡単。何せ一番怖がるネタで小説を書けば自然とその作品が一番怖い作品となり、大賞に選ばれる事間違いなしだからだ。

そんでもってその作品をドラマなり映画なりで映像化すればその内容の怖さにたちまち評判になって大ヒット間違いなし。最恐のホラーになるのは当然の事だろう。



だが、一体何が恐怖心を煽りたてるかは人、場面、展開によって非常に曖昧。人間が基本恐怖を感じるものをカテゴリー分けしても、オカルト、心霊、サスペンス、グロテスク、スプラッターと色々ござれだ。


『饅頭こわい』なんて話もある。


『地震、雷、火事、オヤジ』なんてのもある。



『恐怖』って何?



そんな事を考えて詰めていったらとても小説なんぞ書けなくなってしまった。


なーのーでー、


ここから先は『恐怖』という感情がどこから来るのか、何に対して『恐怖』を感じるのか、そして全ての生物が一番『恐怖』を感じるものが何なのか、私筆者なりの行き着いた答えを無造作に書き並べていこうかと思っとります。


どうせ誰も筆者のようなヘタレ適当コメディー作家に身の毛のよだつような絶品ホラー作品なんぞ期待してないでしょ? 筆者の過去の投稿したホラー作品見れば才能無い事くらい一目瞭然でしょ? 文章力も表現力も無いでしょ? ちっとも怖く無いでしょでしょ?


企画なんて祭りです。エロい人にはそれがわからんのです。参加する事に意義がある。だから適当にやります。私ミラージュのいい加減ホラーにしばらくお付き合いして戴けると幸いにございます。



では早速、『恐怖』という感情は一体どこから来て、どの様に芽生えるのか?



先程述べたように、生まれて間もない赤ん坊には恐怖心というものがほとんどありません。しかし、成長するに至って自分の身に危険を及ぼすものに恐怖を感じ、それに対して回避行動などを起こすようになります。

例えば、何かイタズラをしてそれを親に見つかった時、怒られるのを怖がりその場から逃げ出したり、刃物などの自分の身を傷つける物に触って痛い思いをすると、その痛みに恐怖を感じそれらを拒むようになったりします。


これらの行動により解明出来た一つの恐怖心の理由。



『恐怖』とは、『経験』。



人間のみならず全ての生物は自分が嫌な事や痛い事など強烈なストレスを感じた経験をすると、それは学習という形で脳裏に深く記憶されて、『あれは怖いものだ』と認識するようになります。これが『恐怖』という感情の始まり、原点ではないでしょうか。



「あの人にはいつも悪さをされて自分を傷つける、だから関わりたくない、怖い」


「あの道は以前車で通った時に事故りそうになった、だから通りたくない、怖い」


「この手の心霊番組は前に見た時に寝れなくなってトイレにも行けなくなった、だから見たくない、怖い」



つまり『トラウマ』ってヤツです。以前に危険な目にあった、非常に不快な思いをしたなどという経験がきっかけ、引き金となり、その人間に『恐怖』という感情を植えつけていく。二度と経験したくないという恐怖心。

こりゃ何も人間に限った事じゃないですね。犬だって猫だってイジメてくる対象物を見れば一目散に逃げ出しますし、爬虫類や虫だって天敵といわれる捕食生物と出会したら『蛇に睨まれたカエル』状態になってしまいます。


知ってしまったからこそ、学習してしまったからこその『恐怖』。なるほど、生まれて間もない赤ん坊に恐怖心が備わっていない理由もこれで納得出来ます。人や他の生物それぞれに恐怖心を抱くものに対し違いがあったりするのも、そのそれぞれが経験した記憶に違いがあるからなのでしょう。


これは多分、どの生物においても共通する話ではないかと思います。降りかかってくる危険から身を守る為の心構え、『恐怖』とは生きていく上で学習すべき必要不可欠な感情なのかもしれません。



まぁ色々考えてたらこんな答えに行き着きました。しかし、生物に『恐怖』という感情が芽生える理由はとりあえずそれで良いとしても、この説明だけではどうしても解明出来ない話があります。


虫だのカエルだの鳥だの猿などの人間より下等な生物が感じる『恐怖』とは別に、地球上の生物最高の知能を司る人間はそれ以外の事に対して恐れるものが存在します。



……もし、あなたが撮った写真やビデオに映るはずのない『何か』が映っていたとしたら?


……もし、あなたが無事生きて帰ってきた人がいないと言われている廃墟に迷い込んでしまったとしたら?


……もし、あなたが呪われる、祟りが起こると噂されている恐ろしい話を聞いてしまったとしたら?


……ところで今、あなたの真後ろにいるのは一体誰!?


ウラミハラサデオクベキカ!!


オマエモミチヅレニシテヤル!!



なーんちって、嘘でーす。


大半のホラーと言われるものの内容は大体こんなもの。やれ『一枚の心霊写真に写った人間が謎の変死をした』とか、やれ『呪いのビデオを見た人間は数日後に呪い殺される』などのオカルト系都市伝説や怪談話などなど。


でも実際ですよ、本当に心霊等に呪い殺された人間っているんでしょうか? 不慮の死を遂げた女性の怪談話を聞いた人間が、その後にその女性の霊に同じ死に方をさせられるなどという都市伝説も良く目にしますが、本当にそうなった人って今まで何人いますか? そしてそれは、正式に死因として記録に残ってますか?



「今、あなたに呪いをかけました、あなたにはこの一週間の内に何かしら悪い事が起きるでしょう」


朝、忘れ物したら電車に乗り遅れて会社に遅刻しました。それにより仕事にも差し支えが出て会社に利益損害が出ました。そしたら会社クビになっちゃいました。



「俺は呪われてるううううぅぅぅぅ!! 怖いよおおおおぉぉぉぉ!!」



んなぁ訳がない。忘れ物しないように家を出る前にしっかり確認しとけば未然に防げた不幸。自業自得です。一週間の内に一つくらい悪い事があったって何も不思議な話じゃありません。偶然もいいとこです。


決して執筆はオカルト完全否定派って訳ではありませんが、証拠や科学的根拠が無い限りそれらを証明するものが何一つ無いのは事実。逆に言えば、解明出来ないからこそ嘘でも本当でも言いたい放題って事です。



迷信、伝説、噂話などなど……、人間は存在が不確かなものに対しても『恐怖』を感じます。また、これから訪れる未来の出来事や予想される展開に対しても恐怖心を抱く事があります。



「僕は大学卒業したらちゃんと就職出来ているんだろうか?」


「2012年に地球が滅亡するってマジ!?」


「……初めてのHって、スッゴい痛いんでしょ……?」



これらの恐怖心は、先程の『経験から学んだ恐怖』とは全く真逆のもの。未確認、未経験であるから『嫌な目に合うかもしれない』という心配から生み出されるもう一つの『恐怖』。



『恐怖』とは、『未知』。



知らないからこそ何が起こるかわからない。それが自分にとって良いものなのか悪いものなのか分別出来ない。だから身構える。体が竦む。念には念、期待よりも先に心配事が脳裏を駆け巡る。怖いと感じる。


ぶっちゃけ心霊という現象がはっきりと科学的に解明されれば、いざ大切な人が亡くなってしまったとしてもまた幽霊として会う事が出来る可能性がある訳だから、怖いという感情よりむしろ嬉しいという感情の方が先に湧き出すはず。

これから先に経験する出来事があらかじめバーチャル体験する事が出来れば初乗りのジェットコースターにビクビクする事も無いし、恋愛に対してももっと大らかな気持ちで堂々と挑めるはず。


でも、それは現在の人間が持つ技術で実現するのは不可能。だから心霊や呪い、祟り、都市伝説などが本当は実在していて自分の身に災いを呼び寄せるかもしれない、自分の目の前に現れて不幸にされてしまうかもしれないと思い込んでしまう。

そしてそれら未知のものは、自らの身と目を持って嘘か事実か、それが楽しいのか苦しいのか気持ちいいのか痛いのか体験する以外確認の方法が無い。後悔するかもしれない、失敗するかもしれない、もしかすると取り返しがつかない事になるかもしれない。


だから怖い。『恐怖』を感じる。これは先の『経験からによる恐怖』と深く連結してると筆者は思う。以前に『恐怖』を体験しているからこそ、未知のものにその記憶以上の『恐怖』に出会される、と考えてしまうのではないだろうか。



『未知』による予測のつかない状況に遭遇し、それまで受けてきた苦痛、後悔などの『経験』の記憶が脳裏に蘇った時、人間は恐怖心という感情が湧き出してくるのではないか。これが筆者が寂しい脳みそで思考した挙げ句に辿り着いた『恐怖』の正体。誰の心の中にも存在する、第五の感情。



何ですって?

言葉が足りない?

説明になってない?

全文支離滅裂?

ちっとも説得力が無い?



そりゃそうでしょう。先程も述べた通り、何せ私筆者の知能は凡人レベルです。別に心理学や精神論に精通してる訳でも何でもありません。タダの自問自答です。もっと詳しい心理学を調べたい人はどこかの学者さんにでも聞いて下さいな。あっしには関わりの無ぇ事でごさんす。



でもね、一つだけかなり確証を持っている持論があるんですよ。


それは、全ての生物が一体何に対して一番の『恐怖』を感じるか、って事。



ズバリ、『死』です。



生物は過去に危害を加えられた経験に対してそれを『恐怖』と感じ、再び同じ危害を加えられる事、または未知なるものからそれ以上の危害を加えられる事を怖がる。


ならば加えられたら一番怖ろしい危害とは何か? それはやはり『死』、殺される事です。弱肉強食の自然の世界で天敵に捕食されるのはもちろん、我々人間など知的動物が恰好で狩りを行う行為も対象となる生物からすれば最大の『恐怖』。


全ての生物は遺伝子レベルで『生きている限りたくさんの子孫を残さなければならない』という必須義務を背負って生まれてきます。なぜかは知りません。生まれてくるんです。そうなんです。余計な突っ込みは不要です。

なので、それを絶命により阻止されようとすると自然と徹底的に対抗しようと行動を起こします。あるものはその脅威に自らの力で立ち向かい、あるものは全精力をかけてその脅威から逃げます。


全ては『命を奪われるかもしれない』という最悪の危害から自らの身を守る為、最大の『恐怖』から逃れる為に。



人間に限った話をすると、突然他から命を奪われそうになれば誰もが間違いなく抵抗するでしょう。殺されるのに納得出来る理由が無ければそれは当然の事ですよね。隣りの家に無差別殺人鬼が住んでるなんて聞いたら普通は今すぐ引っ越ししたくなります。

しかし、その隣人がオモチャの刀で斬りつけてくるだけの幼稚園児のイタズラっ子ならば、多少カチンとくる人はいるかもしれませんが可愛らしいもんです。例えその幼児の心に、殺人鬼と同じくらいの殺意があったとしても。


危害が最小ならそれほど恐怖心を感じる事はありません。蚊とススメバチどっちが怖いかと聞かれたら圧倒的にススメバチでしょう。下手な場所を刺されたら死ぬ可能性がある訳ですから日本では常識です。

ところがあら不思議、これがマラリア病流行地だったりすると簡単に立場逆転です。これは我々日本人が蚊に殺傷能力が無いとこれまでの人生で経験しているからそう思うだけで、いざ死ぬ可能性があるとわかればそれはとんでもない『恐怖』に変貌するのです。



人々がホラー小説や都市伝説などを怖がる理由もそう。



人間は人が死ぬ、殺される話に凄まじい恐怖心を抱くのです。例えばリアルな殺人事件のニュース、過去の戦争記録、そしてフィクションとはいえサスペンス小説、スプラッター映画……。もし自分が死んだ人間と同じ目にあったらどうしよう、同じ立場に立たされたらどうしよう、とついつい感情移入してしまう。


以前、『リング』という映画が大ブームになりました。貞子、呪いのビデオってヤツですね。あの映画を観て『もしかしたら自分のところにも七日後に貞子が来るかもしれない』という恐怖感を感じた人は結構いらっしゃるでしょう。

しかし、これも『このビデオを見た者は七日後に死ぬ』ではなく、『このビデオを見た者は七日後にイボ痔になる』なら、あら不思議。デスクワークで座りっぱなしの人にはかなり辛い事になりますが、薬を中にチューっと注入すればスッーっとパッーでお尻感動です。ちっとも怖くない。


なぜなら、イボ痔で死ぬ人はまずいないからです。でも本当にイボ痔になると死に値するほど毎日地獄ですがね、経験談ですが。



人が死体を見て怖がる理由もそうです。『ここにいたら自分もこの人のようになるかもしれない』という警戒心から恐怖を感じる。これは人間以外の動物でも見られる光景で、実際に毎度カラスに荒らされるゴミ収集場にカラスの死体をぶら下げたら、一羽もその場所にはカラスが近寄らなくなったという話があります。


死後の世界がよくある言い伝え通り、天国やら楽園やら輪廻転生の世界があって、それが確証されているならばそれほど『死』に対して恐怖心を抱く事もないでしょう。しかし、それを科学的に立証してくれるものは未だに存在しません。命は一つ、人生一回こっきり、それが常識的な見方でしょう。



皆様はこんな認識ありませんか?



自転車に乗るのは好き、でもバイクに乗るのは怖い。


プールで泳ぐのは好き、でも海や川で泳ぐのは怖い。


ピクニックは好き、でも雪山登りは怖い。


合コンは好き、でも出逢い系は怖い。



何でか? それは死ぬ、または殺される可能性が高い、とこれまでの人生経験や情報などで学習してるから。本当はそれほど大差無いんですけどね。自転車だって事故りゃ死ぬ事あるし、合コン殺人事件だってこれから先あるかもしれませんよ、そこの合コン好きのあなた。



『死』とは、『恐怖』のバロメーターであり、病死にしても殺害されるにしても今までに『経験』してきた辛い、痛い記憶よりも壮絶な思いをした末に待つ最悪の危害であり、またその後の魂の行方が何一つわかっていない『未知』の世界への入口でもある、『恐怖』という感情が生まれる理由を完璧に満たしたもの。



呪われる心霊現象が怖いんじゃない。

襲いかかってくる未確認生物が怖いんじゃない。

錯乱した殺人鬼が怖いんじゃない。


怖いのは、その先に待つ『死』。



つまり、結論。



一番怖いホラー小説を書きたいのならば、読者に『死の恐怖』をリアルに実感させれられれば良い。


何だ、それなら簡単じゃないか。では最後に、この読むに耐えない下手くそな持論文でフェイクした、最高のホラー作品を皆様にご提供してこのお話を終わらせたいと思います。



これまで私、変人ミラージュのキチガイ妄想にお付き合い戴き感謝しております。お陰様であなたの居場所を通信端末により探知する事が出来ました。逃げても無駄です。私はもうあなたのすぐ隣にいます。



購読代としてあなたの命、戴いていきます。御利用ありがとうございました。









なんつってー、嘘でーす。



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