045:――どんなもんよ!――
まりあ戦記・045
『――どんなもんよ!――』
ヨミの狙撃を避けるために、ほとんどトップスピードのまま地上スレスレを飛び回り、指定されたポッドを掠めるようにして飛ぶ! アサルトをキャッチするために手を伸ばす!
ズドン ガシ!
リリースと同時にキャッチ!
本当なら、打ち上げ花火のようにリリースされたアサルトを上昇速度が0になったところでキャッチする。対地高度50メートル。
それをリリース直後、アサルトの銃床がハッチからやっと出たところ、対地高度はレギュラーの1/10有るか無いかの5メートル。
「もう少し短くならないの!?」
まりあはイラ立っている。
まりあのアサルトは、そいつのよりもイカツクて、ほとんどウズメの全長ほどもある。
型式は四菱38式、通称サンパチ。77ミリ徹甲弾500発、フルオートで速射すれば二十秒ほどで撃ち尽くしてしまう。カートリッジを三つ持てば2000発撃てるが、重量過多で動きが鈍くなるし、リセットの時間が新らしいアサルトをキャッチするよりも時間がかかる。
これ以上ヨミの速度が上がれば、このペースのリリースでは、後れを取ってしまう。
本当は内蔵されているパルスを使いたい。レベルは使ったことのないギガパルスも含めて四段階。
いちいちポッドからキャッチすることもなく連続使用できる。
しかし、様々な理由から装着武器を使わざるを得ない。
パルスを使うことによるエネルギーの消耗、姿勢制御が甘くなり、強力であるがゆえに外れ弾の影響、機体の損耗等々。そして、真の理由は、無視できない産軍複合体への思惑……。
させるか!
カルデラの山腹を蹴った勢いで、ほとんど180度の進路変更してヨミとの反航戦に持ち込む。
バビュン!
彼我の合成速度はマッハ3を超える。
つまり、アサルトの77ミリ弾は弾速のマッハ2を加えたマッハ5でヨミを捉え、やつのボディーをイカヅチのごとくに叩いて数秒間の行動不能に陥らせる。
そこでダメ押しのアタックを掛けられればいいんだが、たいてい弾切れになり新しい携帯兵器をキャッチしなくてはならなくなる。
ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド ドッドッドッドッドッド
軸線が合ったところで十二連射! 全弾命中!
そこで弾切れ、逆放物線を描いて次のアサルトをキャッチ。
今の全弾命中でヨミは三秒は静止している。数発はコアをぶち抜いているので、運が良ければ次で仕留められる。
ピカ!
キャッチしたアサルトのセーフティーを解除したところで熱線を感じた。
ズガーーーン!
続いて衝撃! ヨミのリペア機能が追い付かず爆砕したんだ。
え……まだ撃ってないのに?
三時の方向に首をめぐらすと、そいつが空中でガッツポーズをとっている。
――どんなもんよ!――
ダダダダダダダダダダダダダ
そいつはアサルトの残弾を空に向かって打ち上げて、子どものように飛び回っている。
なんなんだあいつは!?
まだ一発も撃っていないアサルトが、とてもお荷物に感じるまりあだったぞ。
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵司令 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団大尉
・中原光子少尉 みなみ大尉の副官
・金剛武特務少佐 ベースのコンピューターの保守を任務とする技術士官
・テレジア(元マリア)ガイノイド戦士(031から)まりあのガード(VR10201改)
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)
・時子 舵司令がたまに入れ替わる義体




