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034『ドカーン!』


まりあ戦記・034

『ドカーン!』     

 






 カルデラは灰神楽が立つような騒ぎになった。


 文字通り灰神楽のような煙が五か所から立ち上り、最後の一か所は首都大学理学部の薬品庫を直撃されたもので四日目だと言うのに鎮火していない。

 どうやら学内で違法な薬品研究をやっていたようで、初期消火に使われた化学消火剤が裏目に出て予期しない小爆発が続いている。


「ウズメの迎撃のせいではありません、ええ、迎撃は成功しています、ええ、ですから……」


 被害状況の確認に来たみなみ大尉は、大学関係者やマスコミや野次馬の市民に囲まれて、調査そっちのけで対応に追われてしまった。

「人的被害が無かったのが不幸中の幸いだけど、こんな被害を招いたのは特務旅団の責任だろ!」

「いえ、だから……」

「ヨミの脅威は無くなったんじゃないんですか!?」

「そんなことは……」

「だいたい、ウズメなんて危ないものを持っているから、ヨミの攻撃を受けてしまうんじゃないのか!」

「そうだ、こないだウズメのパイロットは死亡したはずなのに、また出動したというのはどういうことなんだ!」

「それについては……」

「ひょっとしてウズメというのはAIで、パイロットなんてダミーだったんじゃ?」

「ウズメなんてのが、そもそも危険なんだ!」

「この被害が、なによりの証拠だ!」

「だから、あ、ちょっと掴まないでください!」

「ちゃんと答えろよ!」

「ちょ、掴まないで!」

 ベリッ! プツン!と音がして、みなみ大尉の軍服の袖が破れ、ボタンが飛んでしまった。バランスを崩してしまったが、ここで倒れては群衆に踏み殺される、先日まりあになりきっていたマリアが学校に押しかけた群衆に、あわや焼き殺されそうになったことを思い出した。もっとも、この現場に駆け付けた時点で不測の事態を予見したので、助手の佐倉伍長は乗って来た車といっしょに帰してある。


――この人たち目つきがおかしい!――


 直感した大尉は、袖を掴んでいた大学職員の肩を掴むとジャンプして群衆の肩や頭の上を跳躍、一か八かで焼け残った倉庫の屋根に飛び移った。

「逃げたぞ!」「追え!」「殺せ!」「八つ裂きにしろ!」

 群衆は互いに焚きつけるようにして倉庫の周りを取り囲んだ。

「これを積んで火をかけろ!」

 あろうことか消防隊員が率先して燃え残りの瓦礫を倉庫の周りに積み始めた。

――万事休す!――

 大尉は、屋根の上に寝っ転がると、タイトなスカートをたくし上げて、両足を傾いた時計塔に向けた。

――生還の確率10%ってところかな……――


 ドカーン!


 太ももに手を伸ばしたところで、時計塔の真ん中が爆発して急速に傾き始めた。

 時計塔は、こちらに向けて倒れてくる。群衆は、ザザっと倉庫から離れた。


 みなみ大尉!


 声が空からかかった、と思う間もなく両足を掴まれ、大尉の体は逆さまになったまま吊り上げられた。

「ちょ、なんでまりあが空飛んでるのよ!?」

「とりあえず、ここから離れるわよ! しっかり掴まって!」

「ウンショ!」

 掛け声をかけると、大尉はコネクトスーツを着たまりあの背中に掴まり、大学の裏山に飛びさっていった。


 


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