023:親父一人の企て・2
まりあ戦記・023
『親父一人の企て・2』
深い海の中を落ちていく感じだ。
海であるわけはないんだが、コクピットの外は密度の高い液体という感触なのだ。
ウズメは高度な水密構造になっていて、関節や接合部から水が入ることはない。たとえ入って来たとしても、コアであるコクピットが浸水することはあり得ない。もし深さ10万mの海があったとして、そこにウズメが潜ったとしても、その水圧に耐えられるように造られている。10万mと言うのもコンピューターの設定限度であり、実際は、それ以上であるらしい。
ギシギシ ギシギシ
だが、ウズメのあちこちが水圧に耐えかねてきしむ音がする。今にも圧潰しそうで、とっくに死んでいる俺が言うのもなんだけど、生きた心地がしない。
ブラフね(-_-)。
まりあは平然としている。こいつの腹の座り方はハンパじゃない。
こういうところを見込んで、親父は、まりあをウズメのパイロットに選んだんだろうか(^^;)。
まりあのコネクトスーツはウズメと同期していて、ウズメを自分の身体のように動かせるし、デカブツのウズメが感じたことは皮膚感覚としてまりあが感じられる仕組みになっている。
そのコネクトスーツを通して感じる水圧を、まりあはブラフと読み取ったのだ。
抜ける!
とたんに水圧が消えて、鈍色の無重力空間に放り出される。
奇妙な感じだ……空間そのものが狼狽えてくたびれている。
例えて言うと、ビッグバンによって生まれた宇宙が広がるだけ広がって、膨張の頂点に達し、今まさに収縮して滅んでしまう寸前のような戦きだ。
まりあは皮膚感覚のままウズメを旋回させた。
このあたり……!
シュパーーーーー!
まりあがトリガーをひくと、ウズメの胸元からギガパルスが発射される。パルスの軌道は虹色に輝き、輝きの彼方で星屑が舞い散った。
ザワーー!
何かが動く気配がした。
ザワ ザワワーーー!
気配が動くにつれて、まりあは身じろぎし、それに合わせてウズメが動く。
そこだ!
まりあの指が動き、胸元の他、ウズメのあちこちからギガパルスが発射される。
シュパ! シュパ! シュパパ! シュパパーーーーー!
なんだか、ウズメは虹色の光を放ちながら舞い踊っているように見える。
そこ! そこ! そこ!
ウズメの攻撃は的確で、ギガパルスの到達点では、花火大会のクライマックスのように光に満ちた。
来る!
閃いた時には、ウズメは組み敷かれていた。
ムグ、ムググ………
生き残りのヨミが半実体化して組みついてきたのだ。
ウズメの反応も早かったので、バックをとられることはなかったが、正面に組み付かれているだけでも身動きがとれない。
やがて、ヨミの体からは十本以上の触手が現れウズメの体を締めあげ始めた。
コクピットの中では、まりあがウズメと同じ姿勢で喘いでいる。受け身になるとシンクロしていることが裏目に出る。
まりあの顔に冷たい汗が流れる。
まりあ、あの技だ!
仏さんの身でありながら、俺は叫んだ!
通じたのか、まりあはヨミを巴投げにした。小学校のころ俺が初めて負けた時のまりあの技だ。
トォーーッ!
巴投げそのものは不発だが、一瞬ヨミの締め付けが弛んだ。
ジュッパーーーー!!
ウズメは胸元と股間からテラパルスを発射し、ヨミを粉砕した。
勝った…………
勝利を確信して、まりあは気を失ってしまった。
☆彡 主な登場人物
・舵 晋三 永遠の16歳 法名・釋善実
・舵 まりあ 晋三の妹 高校2年 ウズメのパイロット
・舵司令 特務旅団司令 晋三とまりあの父
・高安みなみ 特務旅団大尉
・マリア まりあのアシスタント兼ガード兼影武者(VR10201)
・徳川曹長 みなみの世話係
・まりあの友達 釈迦堂観音(お堂さん) 矢治公男と喜田伸晃 鈴木さん 佐藤さん
・学校の先生 瀬戸内美晴(担任)




