表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/53

023『親父一人の企て・2』

まりあ戦記・023

『親父一人の企て・2』    



 深い海の中を落ちていく感じだ。


 海であるわけはなんだが、コクピットの外は密度の高い液体という感触なのだ。

 ウズメは高度な水密構造になっていて、関節や接合部から水が入ることはない。たとえ入って来たとしても、コアであるコクピットが浸水することはあり得ない。もし深さ千キロの海があったとして、そこにウズメが潜ったとしても、その水圧に耐えられるように造られている。千キロと言うのもコンピューターの設定限度であり、実際は、それ以上である。

 だが、ウズメのあちこちが水圧に耐えかねてギシギシきしむ音がする。今にも圧潰しそうで、とっくに死んでいる俺が言うのもなんだけど、生きた心地がしない。


 ブラフね。


 まりあは平然としている。こいつの腹の座り方はハンパじゃない。

 こういうところを見込んで、親父は、まりあをウズメのパイロットに選んだんだろうか。

 まりあのコネクトスーツはウズメと同期していて、ウズメを自分の身体のように動かせるし、デカブツのウズメが感じたことは皮膚感覚としてまりあが感じられる仕組みになっている。

 そのコネクトスーツを通して感じる水圧を、まりあはブラフと読み取ったのだ。


 抜ける!


 とたんに水圧が消えて、鈍色の無重力空間に放り出される。

 奇妙な感じだ……空間そのものが狼狽えてくたびれている。

 例えて言うと、ビッグバンによって生まれた宇宙が広がるだけ広がって、膨張の頂点に達し、今まさに収縮して滅んでしまう寸前のような戦きだ。


 まりあは皮膚感覚のままウズメを旋回させた。


 このあたり……!


 まりあがトリガーをひくと、ウズメの胸元からギガパルスが発射される。

 パルスの軌道は虹色に輝き、輝きの彼方で星屑が舞い散った。


 ザワーー!


 何かが動く気配がした。


 ザワ ザワワーーー!


 気配が動くにつれて、まりあは身じろぎし、それに合わせてウズメが動く。


 そこだ!


 まりあの指が動き、胸元の他、ウズメのあちこちからギガパルスが発射される。

 なんだか、ウズメは虹色の光を放ちながら舞い踊っているように見える。


 そこ! そこ! そこ!


 ウズメの攻撃は的確で、ギガパルスの到達点では、花火大会のクライマックスのように光に満ちた。


 来る!


 閃いた時には、ウズメは組み敷かれていた。

 生き残りのヨミが半実体化して組みついてきたのだ。

 ウズメの反応も早かったので、バックをとられることはなかったが、身動きがとれない。

 やがて、ヨミの体からは十本以上の触手が現れウズメの体を締めあげ始めた。

 コクピットの中では、まりあがウズメと同じ姿勢で喘いでいる。受け身になるとシンクロしていることが裏目に出る。

 まりあの顔に冷たい汗が流れる。


 まりあ、あの技だ!


 仏さんの身でありながら、俺は叫んだ!


 通じたのか、まりあはヨミを巴投げにした。小学校のころ俺が初めて負けた時のまりあの技だ。

 巴投げそのものは不発だが、一瞬ヨミの締め付けが弛んだ。

 ウズメは胸元と股間からテラパルスを発射し、ヨミを粉砕した。


 勝った…………


 勝利を確信して、まりあは気を失ってしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ