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新たなる力


「ちょっとヤバくないか。ここオーガの巣じゃねーか!」


 見回すと周りには沢山のオーガがいた。


 一匹のオーガを倒すためいつもより奥までダンジョンを進んだハヤトは、運悪く罠にかかりのオーガの巣に落ちてしまった。


「ヤバッ! 早く出口を探さなきゃ!」


 リーフはすぐに周りを見渡すが、出口を探すどころではなかった。

 それどころかハヤトたちに気づいたオーガたちにすぐに囲まれてしまった。


「こんな数多くを相手になんてとてもできないよ」

「弱音を吐くな! とりあえず一方を突破するぞ!!」


 弱気なラケシスにアレクはカツを入れると「先導を頼む!」と言いながら突進していく。

 ハヤトもすぐに反応しアレクの前に躍り出て攻撃を受け止める準備をする。

 目の前のオーガが巨大なこん棒を振り下ろす。

 しかし、ハヤトにはほとんどダメージが通らなかった。


「よっしゃー!」


 アレクはオーガに強烈な一撃を放つ。

 多少はダメージが入りオーガは体勢を崩すが戻しもう一撃攻撃をくれた。

 またもハヤトが受け止める。

 確かに一匹相手ならなんとでもなりそうな手ごたえだった。

 しかし、ここはオークの巣だった。


「やばいよ。どんどん囲まれている」


 リーフの言う通り、目の前のオーガの相手をしているうちに、だんだんとオーガが取り囲み始めた。

 一匹を倒すのも精一杯な状況ではこれだけの相手をするなど到底無理に思えた。


「ミーネ・フラフスト・ラム・リクレルハルケシス。風神よ敵を切り裂け! ラミフトール!!」


 パティが呪文を唱えると、自分を中心に風が発生する。

 それは竜巻になると周りのオーガ全員に風の刃が襲い掛かる。

 オーガ達は皮膚を傷つけられ怯むが、パティの最強呪文でも致命傷を与えるほどではなかった。

 すぐに距離をつめられる。


「やばい。これじゃ次の魔法を使う暇も無いよ」


「戦の神バラグラドよ。我らに守りの力を!」


 ラケシスも懸命に防御の呪文を唱える。


「ぼくが気を引くからその間に何とかして!」


 リーフはあえてオーガの前に出ると敵を引きつけながら上手に攻撃を避ける。



 みんなは懸命にやっている。しかし、それが長く続かない事は誰の目にも明らかだった。

 オーガぐらい何とかなる。そんな無責任な言葉を言ってしまったことを激しく後悔したハヤトは大声で叫んだ。


「ちくしょー!!! 俺が! 俺一人が生き残っても意味ないんだ! みんなで生き残らないと意味がないんだ!」


 その言葉に女神が応じたのか。それとも彼の潜在的な能力が引き出されたのか。

 それは定かではないが、ハヤトを包んでい女神の光。無敵の防御力の源がだんだんと大きくなると、ハヤトと同様の光がアレク、リーフ、ラケシス、パティを包み込む。


「え? これは何?」


 ラケシスが不思議そうに体にまとった光をなでる。


「ぐあっ! ……あれ? 痛くない?」


 オーガの攻撃に身をさらしていたリーフは一瞬の隙にオーガの攻撃を受けてしまった。

 しかし、まったくダメージを感じなかった。


「ぜんぜんダメージ受けてないよ! この光のおかげかな!?」

「よっしゃー! この光のおかげでダメージを受けないんだな? これなら攻撃し放題だ!」


 アレクは気合を入れなおすとオーガの攻撃を避けるのをやめて攻撃をしだす。


「本当だ! マジで痛くねー! これなら攻撃し放題だぜ! ひゃっほー!!!」


 オーガの強烈なこん棒の一撃にもダメージどころかまったく微動だにすることもない。

 アレクはさらに意気揚々に攻撃を繰り出しだす。


「これってハヤトの力なの?」

「わからない……でも、チャンスだ! みんな攻撃しまくれ!!」


 ラケシスは問いかけたが、ハヤト自身にも何が起こっているのかまったくわからなかった。

 だが、ダメージを受けないのならどんな強敵にも負けることはない。


「魔力が尽きるまで打ち尽くしてやる!」


 パティも状況を把握すると強力な攻撃魔法を連発しまくる。


 そうして戦っていると、一匹、一匹とオーガは少しずつ数を減らしていった。

 そして、さすがに根負けしたのか生き残ったオーガも段々と逃げでいった。


「ふぅ、なんとか生き残れた」


 ダメージは無いといっても、いつ効果が切れるか気が気でなない状態でひたすら攻撃し続けたみんなは一気に疲労感を感じて床にへたり込む。


「みんな怪我がなくてよかった。しかし、一匹倒すどころか何匹も倒すことになるなんてな。一体どれだけ倒したんだろう?」

「目の前の一匹を倒すのに必死で何匹倒したかなんて覚えてねーよ」


 ハヤトの間の抜けた質問に、さすがのアレクもぶっきらぼうに答える。


「でも、これでぼくたち一人前どころか十人前だね」

「まったく何言ってんだか。でも一人前っていうのは間違いなわね」


 リーフのマイペースな言葉にパティも呆れながらも同意する。


「これでギルドのみんなも認めてくれるかな……」


 ラケシスの小さいつぶやきにみんなが静にうなずいた。



 ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦ ♦



 それからすぐにダンジョンを脱出すると、ギルドにギルドに報告に行った。

 ハヤトたちは、オーガの巣から生還したチームとして一躍有名になり、彼らの不名誉な異名は今後一切使われることがなかった。


とりあえずここまでで一章完結です。

人気があるようなら続けます。

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