油断
それから彼らは順調に冒険をこなしていった。
単純なモンスター退治だけでなく、簡単なギルドからの仕事を受け素材採取なども行った。
収入は安定し、装備も充実して自信もついてきていた。
「そろそろ、オーガを倒して一人前になりたいね」
いつもの様に危なげなくゴブリン達を倒すとリーフが陽気に言った。
「『オーガを倒せたら一人前』ってヤツか! いいな俺達ももう一人前だろ! オーガ退治に挑戦してみるか」
アレクは陽気に賛同する。
「もうっ! ちょっと上手くいったからってすぐに調子に乗って」
パティは呆れ顔だ。
「でも、チャレンジしてみるのはいいと思う。ハヤトはどう思う?」
ハヤトは腕を組みうーんとうなる。
自分自身が攻撃を受けてる分にはみんなには危険がない。
他のメンバーには攻撃に専念してもらうだけだ。
「一匹だったら何とかなるかもしれないな」
その一言にみんなが沸き立つ。
「よっしゃ! じゃあ、今日はもう少し奥まで行ってみようぜ!」
「うん。もっといい宝が手に入るかもしれないよ」
「私たちもギルドの人達に認められるかもしれないね」
「まあ、ハヤトがいれば何とかなるかもね」
しかし、その安易な一言をハヤトはすぐに後悔することになる。