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48話 スキル会議

 ドラウグルの体をスケルトンオーガで試した俺。

 ユニークスキル『フロストバイト』を使ったところ、まさかの即死を決めてしまった。

 村人たちは大盛り上がりだけど、自分自身にちょっとひいていた俺である。

 マミーになったあたりから、俺強くなりすぎでは?


「さすがにあの技は私でも……いや、一発ならあるいは」


「悪いこと言わないからやめとけ」


 村一番の強者の矜持がそうさせるのか、リゼルヴァはちょくちょく張り合ってくるな。


 スケルトンオーガとのスパーリングを終え、進化のお披露目会はお開きになった。

 リザードマンの子供たちが目を輝かせて弟子入りを志願してきたのは参ったぜ……。

 転生して殺されるところから始めようね、なんて言えないもの。

 そのうち訓練してあげる約束をしてどうにかお帰り頂いた次第だ。


「ドラウグルになって、スキルの適正がまた広がったな」


「ここまで来れば上級アンデッドの仲間入りよ、大したもんだわマスター」


「上級ぅー? レベル35なのにぃー?」


 ぶっちゃけ悪い気はしない。

 ゴブリンを粗末な槍でつついていた頃が懐かしいよ。

 

 さて、次はスキルを確認しなければ。

 この世界は種族や種別によって得意なスキルが違うようだ。


 ここでいう得意っていうのは、スキルをとるためのSPが低く設定されているということ。

 例えばアンデッドは闇魔法や死霊術、状態異常に関するスキルを取りやすい。

 次いで自動回復系だ。


 一方でリザードマンなら水中戦や探知系、水や火の魔法が取りやすいらしい。

 ユニコーンなら聖魔法や探知系、走行を補助するスキルなんだそうだ。

 種族でもこれだけバラエティに富むわけだが、種別ごとにさらに傾向が加わる。

 

 ダストゾンビのときは軒並み適正はなかった。

 が、進化するにつれ適正のあるスキルが広がってきたのだ。


「あっ、耐性治った」


<<frost resist-2 (0) >>

<<fire resist+2 (0)>>


 氷耐性と火耐性の増減が戻った。

 『フロストバイト』を決めて以降、状態異常を示すウィンドウがずっと表示されていた。

 それが今ようやく消えた。


 あの大技にはいくつかデメリットがあった。

 一つは状態異常を受けること。

 使用してから30分ほど氷耐性が低下し火耐性が強化されるのだ。

 

<<フロストバイト:アクティブスキル 触れた相手に強力無比なダメージと『凍結』を付与する>>

<<効果は使用者がまとう氷のマナに比例する>>


 どうやら体内の冷気を相手に注入する、というコンセプトのスキルらしい。

 『フロストバイト』を撃ったあとに暑く感じたのはそのせいか。


「火耐性をあげられるのはメリットになりそうだけどな」


「そういう発想もあるのね」

 

 もう一つのデメリットはクールタイムが必要……つまり連続使用ができないということだ。

 『フロストバイト』はドラウグルがまとう冷気を一気に相手へ流し込む。

 すると俺の冷気――氷のマナが枯渇してしまう。


 冷気がない状態では『フロストバイト』のダメージが激減する。

 結局、先の状態異常が治るまで次の『フロストバイト』は使えないのだ。


「ドラウグルといえば氷を操るアンデッド、つまり氷がなくなったらタダのゾンビよ」


「さすがにゾンビよりは強いわ!」


 ドクンちゃんに突っ込みを入れつつ、俺たちは恒例のスキル会議をはじめた。

 とりあえず一覧と、そのあと変化したスキルについての感想だ。

 

=====


 フジミ=タツアキ(未使用)

 Lv :35

 種族:アンデッド

 種別:ドラウグル

 称号:転生者

 ユニークスキル:セカンドライフ フロストバイト 恐慌まとい 生命吸収 精神吸収 マヒ毒付与 

 スキル:不死 生命探知Lv1 自然回復Lv3 氷魔法Lv1 闇魔法Lv4 死霊術Lv3 

     剣術Lv1 隠密Lv2 MP回復Lv1 MP拡張Lv1 統率Lv3

     凍結強化Lv1 マヒ毒強化Lv1

     恐慌強化Lv1 毒耐性LvM 呪耐性LvM 魔法耐性Lv1 

     物理耐性Lv1 氷耐性Lv5 火耐性Lv-4 聖耐性Lv-4 (鑑定Lv1)


=====


<<フロストバイト:割愛>>

「控えめに言ってカッコイイよな、この技!」

「奥さんたちのハート射止めてたっぽいよ、ヒューヒュー!」

「トカゲはなぁ……」


<<恐慌まとい:周囲の生物へ『恐慌』を付与する。自分のレベル以下の対象にのみ有効>>

「レベルが上の相手でも少しは威圧する効果はあるみたいだ、族長ビビってたし」

「この歳になると、波風立てずに生きていきたいわね」

「どうした急に老け込んで……」


<<生命探知Lv1:生物の気配を察知する>>

「要求SP低いから取ってみた」

「探知ってどんな感じなの?」

「んー……ほんのり匂いみたいなものを嗅ぎとれる感じ」


<<氷魔法Lv1:氷魔法の強化 新しい呪文の解禁>>

「ついでに氷魔法の要求SPも下がったぜ!」

「ずっと属性魔法ほしがってたものね」

「もう一つレベルあげちゃっおっかなあ」


<<闇魔法Lv4:闇魔法の強化 新しい呪文の解禁>>

「新しい呪文、わくわくするな」

「リゼルヴァで試し打ちしてあげたら?」

「鬼畜かお前は」


<<統率Lv3:配下を強化 共有できるスキル上限Lv+1>>

「これで合計Lv3までスキルをシェアできるようになったぜ」

「なにくれるのー?」

「そりゃあ、闇魔法……でも闇魔法のレベルも上げたい……そうすると共有できないムムム」


<<隠密Lv2:気配をさとられにくくなる>>

「ミノタウロス戦でとったやつ」

「マスターは普段SPためておいて、状況に応じて使うタイプよね」

「柔軟さって大事」


<<凍結強化Lv1:凍結状態の付与効率が上昇>>

「マヒ毒強化は効果時間延長だったけど、こっちは付与効率が上がるんだ」

「アイスブランドと好相性ね!」


<<氷耐性Lv5:該当の属性・効果に大幅に強くなる>>

「急に上がったね」

「そりゃあ冷え冷えゾンビだもの」

「新鮮なようなそうでないような言い回し」



 ……さて問題が起きた。

 『死霊術』のレベルを上げようとしたときのこと。


<<失敗:不適切な種族 または種族としての該当のスキルレベル限界に到達しています>>


「んんん? どういうこと?」


 『種族』というとアンデッドじゃ死霊術はLv3で打ち止めってことか?

 もっとスケルトンつれて歩きたいのに。


「なんでかしらねー、アタシの記憶にはないわ」


「ドクンちゃんでも分からないのかよ」


 魔法に詳しいドクンちゃんが知らないとなると、完全に行き詰ったな。

 まさか適正があっても天井が設けられていたとは予想外だ。


 そこで俺はふと思い出す。


「でも前に『リッチは魔法最強!』とか言ってたよね? リッチもアンデッドだから死霊術レベル3止まりなんじゃないの?」

 

 レベル3で「魔法最強!」なんて言えるか?


「んー……そんなことなかったと思うけど」


「はやいとこ思い出しくれよー」


 魔法最強!とか意気込んでリッチになっても、軒並み魔法Lv3止まりだったら悲しすぎるぞ。


「ここの村人皆殺しにしたら思い出すかも!」


 たしかにリザードマンたちにドクンちゃんの分身は憑依してるだろう。

 彼らを殺めればドクンちゃんの記憶が取り戻せるに違いない。


「笑えない冗談やめろ」


 友好的な生き物を殺すほど、俺の心はアンデッドじゃなかった。

 願わくば彼らとともに脱出したいものだ。

 ドクンちゃんも理解しているのか、追及してこない。

 

 それはそれとして余ったSPの使い道を考える。

 いっそ『体術』とか『投擲』みたいな基本スキルに振るか?

 そういう地味なスキル群は要求スキルも低いし――


「あ、なんか騒動の予感」


「え?」


 肩に乗るドクンちゃんが呟いた。

 その視線の先をつられて見る。

 すると慌てた様子のリザードマンが族長の家へかけ込んでいった。


 しばらく待つと、家からを顔をのぞかせた族長が首をめぐらせている。

 誰かを探しているようだ。

 まあ、俺だろうだな。


 手を振って呼びかけると、すぐに反応が返ってきた。


「ぞくちょー、もしかして俺をお探しですかー?」


「フジミ殿ー、至急お頼みしたいことが! 何やら巨大な謎のモンスターが出たようで!」


 巨大なうえに謎。

 冒険心をくすぐられ、俺は腰をあげた。

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