44話 リベンジ ミノタウロス
ミノタウロスから逃げた先でオーク部屋に飛び込んだ俺たち。
数で押し切られるかと思いきや、いかがわしい手段でみごと制圧成功。
いち段落ついてレアリティ:レジェンドのアイテム『愚者の瞳』を検証した。
その効果は『つけていると透明化するが視力を失う』というものだった。
……使いどころが難しいぞ。
さて、気を取り直してミノタウロスとの再戦だ。
「配置よし、いくぞー」
「あいさー!」
ミノタウロス攻略作戦に先駆け、俺が従える全てのスケルトンを解除しておく。
これからの作戦において、上限までスケルトンを操らないといけないからな。
なので今頃トリスケとゴブスケ、オニスケは骨に戻っている。
同行するやつらは驚くだろうが仕方ない。
次に上限の三体までオークをスケルトン化した。
ブヒスケとでも呼ぼうか。
こいつらを使って入口付近にオークの死体を集めれば準備は完了。
ミノタウロス攻略戦の開始だ。
「どれ、まだ近くにいるかなー」
オークを片付けてるうちにミノタウロスはボス部屋に帰っていないだろうか。
扉の外は至って静かだ。
思い切って開いてみる。
「オープンザドアー」
「ブモッ!」
見つめあうミイラと牛。
「Oh……」
目の前で待ってましたわ。
「ブモ、モオオオオオオオ!!」
後ずさりする俺を追うように、ミノタウロスは巨躯を部屋にねじ込んでくる。
俺を睨み続ける血走った目が全く冷めていない怒りを表していた。
そんなに『愚者の瞳』が大事か。
その執念にひきつつも見守ること暫し。
ようやく入室したミノタウロスは、ひと際大きく吠えた。
「そんなに俺に会いたかったか、じゃあ熱烈な抱擁をプレゼントしようね。作戦開始!」
控えていたブヒスケ――スケルトンオークたちを組みつかせる。
そうしたら満を持して、あの闇魔法を詠唱した。
「”コープスボム”!」
するとブヒスケの一体が淡く光り、一拍置いて――
「グモォ!?」
爆発。
厚い毛皮を持つミノタウロスといえど密着からの爆発は大ダメージだ。
口から血を吐き、よろめいた。
「これが秘蔵の闇魔法”コープスボム”だぜ!」
「わぁー手下を爆発させるなんて悪役っぽーい」
対象の死体または配下のアンデッドを爆発させる単純な効果。
これまで使える場面に恵まれなかったのは、先立つ死体が必要だからだ。
それに爆発させた死体は損傷が激しいためスケルトン化もできない。
考えなしに使うと、連れ歩けるスケルトンが減ってしまうのだ。
「もう一発”コープスボム”!」
二体目が爆ぜた。
ミノタウロスが叫び、毛と鮮血が舞う。
この呪文の長所はMPの消費が少ないこと。
下準備が必要なだけあって、基本の闇魔法『シャドースピア』よりも軽いのだ。
まるでスイッチを押すが如く手軽さで爆発させられる。
「ここで”クリエイトスケルトン”!」
「そしてアタシがときめきポイズン!」
一度にすべてのスケルトンを爆発させてはミノタウロスを拘束できない。
なので適度に『クリエイトスケルトン』を挟んで拘束役兼爆弾を補充していく。
ドクンちゃんは拘束のフォローだ。
「ブモオオオ!!」
どれだけ吠えようが無駄だ。
オーク爆弾は残り20発ある。
おまけに強引に俺を追いかけてきたせいで全身にトラップを受けているのだ。
どれだけ耐えるか見せてもらおうか。
「”コープスボム”!」
爆破。
毛皮が消し飛んでいく。
「”クリエイトスケルトン”!」
補充、拘束。
反撃は俺に届かない。
「コープスボム』!」
爆破。
角が砕ける。
毛ではなく骨肉が舞い散る。
巨躯が徐々に削れていく。
「”クリエイトスケルトン”!」
補充、拘束。
逃げようとしているのか?
もう手遅れだ。
余裕のあるときにアイスブランドで攻撃しておく。
『精神吸収』でMPを補充するためだ。
「再び”コープスボム”!」
「グムオオオオオオオオオオ!」
さしものミノタウロスも、10発撃ち込まれるころには立つだけでやっとの有様だ。
オークサイズのスケルトンになると爆発の威力も高まっているのだろう。
「ブ、ブモオ……!」
憎々し気に俺を睨みつけるミノタウロス。
さすが迷宮の守護者、すさまじい実力だった。
しかし勝者はマミーだ。
巨牛の顔にスケルトンを覆いかぶせ、俺は健闘を称える。
「”コープスボム”」




