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10話 開けようぜ宝箱


 なんちゃってシルバーゴーレムとの激闘を制した俺たち。

 ゴブスケという尊い犠牲もあったが、戦闘後になんなく補充した。

 ……それほど尊くなかった。


 ゴブリンの骨は残り8体分、ホブゴブリンが1体分。

 人間の骨もまだまだあるのだ。


 さて、スライムが守る”木彫りの女神像”を入手した俺たち。

 勇者の刺客も退け、次なる部屋への扉を開いた。

 そこで待ち受けていたものとは――


「マスター、宝箱が5個もあるよ!」


「ひゃっほう! テンション上がるぅー!」


 小おどりするドクンチャン。

 カタカタと笑う、頭部だけの俺。

 俺を大事に抱えるスケルトン。


 ……そう、今の俺は首から下がない。

 頭蓋骨、ドクロ、しゃれこうべ――呼び名は色々あるが、とにかく首だけなのだ。


 話は少しさかのぼる。

 Lv41かつ闇魔法耐性完備のシルバーゴーレムは強敵だった。

 俺たちは奴の表面のシルバーを溶かし闇魔法耐性を奪うことで勝利をおさめた。

 しかしゴーレムは爪痕を残していったのだ。


 停止したと思われたゴーレムは突如として爆発。

 すさまじい爆風に巻き込まれた俺は、体の大半を粉々にされたのである。

 辛うじて残ったのは頭部だけ。

 どうやらこれがワイトである俺の本体らしい。


 ドクンちゃんはというとピンピンしている。

 爆風でダメージを負ってはいたのだが、このアイテムで回復したのだ。


 <<木彫りの女神像 アイテム レアリティ:コモン>>

 <<祈ることで自動回復フィールドを発生させる>>


「女神だいすきー!」


「祈りってそんなんでいいの?」


 ドクンちゃんが祈る(?)と回復フィールドが展開された。

 半径2メートルくらいを覆う、ドーム状の光だ。


「ほあー生き返るー」


 ドクンチャンの体から傷が消えていく。

 温泉に浸かったかのような、実にいい表情だ。

 ドクンちゃんいわく、俺のもつ『自然回復Lv2』を上回る速度でHPが回復するらしい。

 らしい、というのは――


 シュワァァァァァァ……


「ぎゃああああああ! やめてやめてやめて! ボク召されちゃうから召されちゃうから!」


「マスターの輪郭が薄くなってく!?」


 光に包まれ、ガリガリと削れていく俺のHPゲージ。

 視界も薄くなっていく。


「なんか……あったけぇや……」


「穏やかにならないで! マスター気を確かに!」


 これマジでヤバイやつだ。

 臨死体験に加えて、浄化体験してしまう俺。


「あかーん!」


 慌ててドクロを蹴り飛ばすドクンちゃん。

 回復フィールドから転がり出た俺は、一命をとりとめたのだった。


「なんで俺だけダメージ食らうのよ、鑑定結果と違うじゃねえの」


「たぶん聖属性なんだわ、この光。アンデッドのマスターには毒なのよ」


 骨丸出しの外見通り、俺はアンデッドだ。種別はワイト。


「あー、ドクンちゃんはミミックだから平気なのか」


「そうよ、ミミックは魔法生物だから」


 ミミックというとゲームでは宝箱に擬態しがちなモンスターだ。

 宝箱の中に牙や舌が生えていて、人間を食べちゃうズルいやつである。

 ドクンちゃんは『心臓に擬態したモンスター』ってことで、ミミック扱いなんだろう。


「危うく勇者に続いて女神にも殺されるところだったぜ」


 それから1日ほど待ってみたが、俺の体は復元しなかった。

 HPは9割がた自然回復したところで止まっている。

 体の損傷が激しいと、復元には時間を要するのかも。


「いい加減待つのも飽きたし次の部屋見ようぜ。見るだけなら大丈夫だろ」


「モンスターを確認したら扉閉めちゃえばいいものね」


 で、移動手段としてゴブスケ2号に俺を持たせることにしたのだ。



 ――話は戻って次の部屋。

 扉を開いて注意深く観察する。

 相変わらず広さも内装も同じだ。

 ただ決定的に違うのが、この部屋なんと宝箱が5個もある!

 しかも見たところ敵がいない。

 天井や壁床も確認したけど、本当にいないっぽいのだ。


「つまり純粋なアイテム部屋ってことー?」


「油断せず行こう、いつ如何なるときでも気を抜かないのが熟練冒険者ねえ早く宝箱開けようぜ早く早く」


「はいはい」


 ドクンちゃんを急かす俺。

 だって早く開けないとまた勇者が邪魔してくるかもじゃない?

 アイテムをゲットしとけば対抗策が増えるかもじゃない?


 あと忘れがちだけど、この空間のアイテムは全て勇者の所有物だ。

 取り出されてしまう可能性もあるわけで、さっさと見つけて消費してしまったほうが得だ。


 まず一つめの宝箱。

 体が不自由を通り越して存在しない俺の代わりに、ドクンちゃんが開けてくれる。


「いくわよー、オープン!」


 中には見覚えのあるアイテムがあった。


「スクロールだな、しかも3個」


「お得ぅー」


 3本のスクロール。

 アイテムボックスで見つけるのは、『使い魔契約のスクロール』以来だ。

 鑑定してみよう。


 <<モンスター鑑定のスクロール(未使用)アイテム レアリティ:コモン>>

 <<モンスターの詳細な情報を入手する>>


 3本とも『モンスター鑑定のスクロール』だった。

 使用用途が限定された、強力な鑑定スキルみたいなもんかな。


「生き残るのに役立ちそうね」


「だな」


 さて残りの宝箱もドシドシ開けていこう。

 中身はこんな感じだった。


=====


 モンスター鑑定のスクロール   3個


 フレイムスパイダーの毒液   10個


 折れたアイアンソード(銘入り) 1個


 いかがわしい粉         1個


=====


 ……4種類しかないって? そう、最後の一箱はまだ手をつけていないのだ。

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