表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

9

「そこまでだ。」

リーダーの言葉に、2番の男は少々残念そうな表情で剣を鞘に納めると、再び弓を手にした。

「もう少し楽しみたかったのだが、少々残念だ。機会があれば、次は我が愛剣で勝負しよう。」

 フレイは武器を納めながら、

「勝てる自信は無いので遠慮します。」

 と言うと、2番の男は笑いながら後に下がったと同時に4番と言われた者が前に出る。

「次は私の様だ。魔力を操る者の慣わしを、古式ゆかしく執り行うとしよう。まずはこの力を止めてみよ、準備は良いか?」

 4番と呼ばれた者の右手より、ゆっくり小さな輝く塊が、ラディに向けて放たれる。

 エネルギーボルトと言われる、込められた魔力が尽きるまで直進する何の変哲もない、但の魔力の塊だ。

 これは古くからある魔力を使った力比べで、対抗手段は同じエネルギーボルトを当てるだけ。

 単純に力の弱い方のエネルギーボルトが消えるというもので、太古から術者同士の決闘では、無用な争いを避けるために一番最初に行われる慣わしらしいが、余り争いが避けられるわけではないらしい。

 当然ラディも既知の事、ありったけの魔力を込めて打ち出す。

 このエネルギーボルトは、速度が遅くひたすら直進する様に打ち出すのが礼儀作法だ。

 4番のエネルギーボルトは小石程度の大きさで、歩く位の速度でゆっくりとラディのエネルギーボルトに近づいてくる。

 ラディのは指先程の大きさで、丁度半分くらいの大きさに見える。

 お互いのエネルギーボルトが近付き合い、バチバチと光を発する。そして一際大きな光を放つと、二つは共に消えた。

 其れを見た4番は、

「素晴らしい。これなら楽しめそうだ。」

 と言って、両手を掲げる仕草をした瞬間、

「待て、そこまでとしよう。」

 リーダーの一言に、4番はガックリと項垂れる。

 本当に残念そうだ。

 2番は、ニヤリとしてから弓をつがえて空中に矢を放ち、矢は音を立てて空中を飛んで行く。

 いわゆる鏑矢を射た様だ。

 鏑矢は主に音により合図を送る事を目的とする矢だが、何を知らせる合図なのかは無論ラディ達には分からない。

 リーダーは、2番の男を指さして、

「あの者の後に続いて歩け。」

 と言った。

 2番の男は、既に少し離れた所から此方を見ている。

 フレイはラディを先に歩かせると、その後に続いた。

 4番は、最後尾をとぼとぼと歩いて来る。

 2番の男を先頭に、その場に居た全員が移動を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ