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「小川だねぇ。霧も出始めてるし、これに沿って上流まで行ってみようか?」

「そうね。この霧、僅かだけど魔力を感じるわ。念の為、精霊を呼び出して近くで護衛させるわ。」 

 ラディは風の精霊の中でも最も弱い、そよ風の精霊を呼び出して少し離れた周囲を警戒させる。

 そよ風の霊は、攻撃を受ければすぐに霧散してしまう程の弱い精霊だが、伝承通りなら戦いは避けるべきだろう。

 その為にはそよ風の精霊が都合が良い。

 そもそもラディとフレイが戦って、相手になるのは魔王位なもので、大抵の魔物は相手にすらならない。

 ラディはそよ風の精霊を、ラディがアリアと呼ぶ精霊に制御を任せると、探索に集中した。

 アリアはラディが創り出した精霊もどきで、ラディの魔力を力の根源としている。

 常にラディの側を離れず、ラディの魔力の制御に始まり、魔法効果の効率化や精霊から得られる情報を分析して提供したりと、その役割は幅広い。

 さすがに精霊の召喚はできないが、ラディの魔力を力の根源としているだけあって、ラディが使える魔法は殆ど使える。

 ラディもアリアに全幅の信頼を置いており、ラディにとってアリアはもう一人の自分に近い存在だ。

『召喚した精霊は今の所何も発見出来ていません。捜索範囲を広げますか?』

 アリアの無機質な声がラディの頭の中に響く。

 アリアの声は、ラディ以外に聞こえない。

『今のままの距離でいいわ、何か変化があれば教えて。』

『分かりました。現在の間隔を維持して警戒させます。』

 ラディはアリアに指示を与えると、霧が立ちこめ始めた小川のに沿って上流へ上がっていく。

「これはかなりの濃いよ。もう少し進むと完全に足下しか見えないよ。」

 ほんの少ししか離れていないラディですら、はっきり見えなくなったきたので、ラディがはぐれないようにとフレイが手を伸ばす。

 さわり慣れた感触を手に感じていたら、しばらくして握り返してきた。

「まだお預けよ。でもかなり怪しい霧ね、絶対に怪しい」

 ラディが怪しんでいると、

『召喚した精霊の制御ができません。存在は感じますが、制御範囲を超えています。現在自立行動しているものと推測します。』

 アリアの抑揚の無い声が頭の中に響いた。

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