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女は男を興奮させるのか本能なのか、多くの男は荒々しく女を求める。
女は優しく抱かれたいだけなのに、男の本能はそれでは満足出来ないのだろう。
最後には必ずと言って、男としての極みを迎えないと満足出来ないようだ。
私は夫の男の極みを丁寧に含みながら、極まるのと同時に夫の持つ魔力もろとも吸収して飲み込む。
男は女を征服したいという願望を持ち、女の中で極まること望まない男は皆無だから、含んだだけでは満たされない事も知っている。
だか、これ以上の行為を今は望まない私にとって、これは私を大切にしてくれる夫への最大の愛情表現だ。
この吸収の能力は、私は若い頃に城を飛び出した時に身についたもので、その頃の私は全くの世間知らずだった。
ご想像通り、そんな私が城を出て林の人気の無い道を歩いていると、程なく暴漢達に襲われた。
襲われた私は、
「助けて下さい。お金はありませんが、お金になる物は差し上げますから。」
と命乞いをしたが、一人の暴漢が私に近づき腕をねじ上げると、もう一人の暴漢が私の身体を撫で回しながら、
「全部頂くに決まっているだろ。」
暴漢達が私を林の奥に連れて行き、私の服を脱がしにかかった時に暴れて抵抗した。
暴漢は面倒に思ったのか、腕をねじ上げたまま抵抗できなくなるまで、ひとしきり私を平手打ちした。
他の暴漢は、
「顔を叩いたら売り物にならないだろうが。」
懐から取り出した異物を私の口の奥に噛まし、舌を噛み切れないようにした暴漢が、
「まあそう言うな。治るまで遊んでれば、当分女を買わなくても済む。むしろこれだけの上玉を遊ばずに売るのは勿体ない。まずは俺が味見だ、終わったら廻してやる。ただし下の口は全員が上の口を使った後だけだぞ。」
下卑た笑い声を立てながら、その暴漢は私の頭を掴み、自ら地面に座り込むと、強烈な臭いを発するその場所に私の頭を押しつけた。
同じような羽目になった女達はきっとこの様な事をされるのだろう。
私は汚く臭い男の極みを、何度も何度も代わる代わる回数が分からなくなるまで味わされる事になった。
白濁する意識の中、一人暴漢が私の後方に近づき、最後の口に触れた。
「もう我慢できねぇ、こいつは俺の物にしてぇ」
暴漢の男の極みが私の中押し入ろうとしている。
私の頭の中を、今まで生きてきた情景が駆けめぐると同時に、暴力的な感情が、私を支配した。
『何でこんなに不幸なんだろう。生まれ変わったら、こんな奴らは総て殺してやる。殺してやる。殺してやる。』
暴漢の男の極みが、私の狭い新道の入口を押し分けて入ろうとした瞬間、私に触れていた暴漢達はバタバタと倒れ始めた。
「だらしがねぇ、交代しろや。」
代わった暴漢達も、私に触れると糸の切れた操り人形の様に地面に崩れ落ちる。
「ひぃ、化け物だ。」
残った暴漢達は一斉に逃げ出した。
私はよろよろと立ちあがると、意識を失っている暴漢達を彼らの武器で、原型が無くなるまで頭を滅多打ちにした。
私が初めて覚えたこの能力は、高位魔法の吸収と同じ能力だった。
ともあれ魔力を吸い過ぎたようで、今は夫も眠りに落ちている。
幸い強い魔物も少ないので、辺りの警戒は私の意のままに動く精霊に任せて置けば、少々の敵なら排除しているはずだ。
そういえば、書物や伝え聞く話しでしか知らないが女にも極みがあるらしい。
だが私の場合は本懐を遂げるまで、それを味わうことは無いだろう。
もしかしたらその好機すら無いかも知れないが、好機があった女ですらそう滅多に味わうことがないとされていることが、私にとって唯一の救いだ。
もしそんな好機があれば、その時は夫の胸で迎えたいと想い、規則的に脈打つ夫の胸の鼓動を聞きながら、私は眠りに落ちた。