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男の名はフレイ、ラディより数歳年上に見えるが、実際にはにはラディの方が何十倍も年長だ。
だが、そんなことはおくびにも出さず、ラディは甘える様な声を出す。
「疲れちゃったから抱っこして欲しいな。」
「抱っこは保たないので、おんぶでもよろしいですかな、お姫様。」
「致し方ない、おんぶで妥協することとしよう。」
フレイの背中にヒョイと飛び乗ると、首に手を回してフレイに頬すりする。
見ている方か恥ずかしくなる程、ラディはフレイにベタベタしているが、幸いこの辺りには人は住んでいないので、見られることはない。
一方的にラディだけが話しをしながら、二人はねぐらにしている洞窟にと。
洞窟は、奥行きは余りないが二人で使うには空間はかなりあり、イメージとしては大型動物の巣穴の様な感じだ。
ねぐらは簡素で、そこにあるものといえば、旅で使う必要最小限のものだけだ。
岩の上に置かれた少しの食器や調理道具、魔力で光る『ライト』という道具、中でも最も面積があるのが寝具だ。
色も大きさも旅には似つかわしくないが、二人で寝るには丁度良い。
ねぐらに戻ったラディは、さっそく寝具に潜りこみ、手だけを出して手招きしている。
フレイが黙って見ていると、寝具の端から目までを出して、じっとこちらを伺っている。
気付かないふりをしていると、頭を出したり引っ込めたりと世話しない。
暫くすると出て来なくなったので、フレイはヤレヤレといった感じて寝具に潜り込む。
半ば涙目のラディが、
「ばかぁ」
と力なさげに言うと、フレイに呼吸をさせまいとするぐらいに長い接吻するのだった。