表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

1

 ラディは、朝の静けさの中で森に佇むのが大好きだ。

 何がそうさせるのかは分からないが、木々に囲まれていると、落ち着いた気分になる。

 川縁の切り株に腰を下ろし、林の中を流れる澄んだ小川を眺めている。

 金色の長い髪に雪のような白い肌、切れ長の目にやや尖り気味の耳、丁度思春期の少女の様な体の大きさはまるで人形のようだが、胸の膨らみだけはその体の大きさとは不釣り合いだ。

 切り株に座る後ろ姿は、まるで森の妖精のよう。

 彼女の名はラディッシュで、愛称はラディと言う。

 正確には分からないが、ラディは少なくとも二百年位は軽く生きているらしく、エルフのように長命だ。

 幼い頃は普通の人間と変わらぬ成長だったが、十代中頃から体の成長が止まり、その頃から外見は今でも変わらない。

 まわりが年老い、いずれは自分の親や兄弟姉妹、その子孫の最後まで看取る事に耐えられなかったラディは、父である国王が亡くなり、自分の兄弟姉妹が王位を継承したのち城を後にした。

 その後、変わり果てた妹と再開し、助ける方法を探しに旅をしている。


「ここに居たんだね。姿が見えないから探したんだけど、会えてよかったよ」


 茂みをかき分けてきた、若い男が声をかけた。

 体のあちこちには小枝だの葉っぱだのが纏わり付いており、それをはたき落とす。

 男は一通りはたき落とすと、同じ切り株のラディの横に腰をおろし、同じ小川の流れを眺めた。


「心配させて御免なさい。」


 ラディは若い男の首に両腕を回し、横顔に口吻をすると、


「そして、大好きよ」


 と、言って男を強く抱きしめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ