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Code-Reviver  作者: Lemegeton
Episode1
4/20

Beginning-3-

<<第四特殊機動隊隊長(クロッカス1)から新宿司令本部(ヘッドクオーター)、状況はどうなっている?>>


白緑で塗装されたディバイド隊の先頭を飛行する男、クロッカス1が機体のヘッドカメラから投影されたディスプレイの相手に向けてそう問いかける。


<<こちらヘッドクオーター、先程第三特殊機動隊(グラジオラス隊)がターゲットと交戦を開始した。だが、既に一機、グラジオラス3が撃破されたようだ>>


音声のみ(サウンドオンリー)での通話、ヘッドクオーターからの返答は重苦しく、分かってはいたが状況は芳しくないようだ。


<<クソッタレ……こちらはあと二分で戦闘地点に到達する!第一第二機動隊は来ないのか!>>


<<第二特殊機動隊(コスモス隊)は付近の住民の避難誘導を行っている。第一特殊機動隊(ブロッサム隊)は上層部からの許可が出ていない為、申し訳ないが動かせない>>


<<馬鹿野郎っ!!許可などと言っている場合か!!俺達がグダグダしている間に危険に晒されるのは国民なんだぞ!!>>


頭に血が上り、激昂する。クロッカス1は明らかに冷静を欠いていた。


<<それはこちらも分かっている。だが、我々にも規則がある。千代田総司令部(カスミガセキ)からはあくまで第三第四機動隊で鎮圧に当たれとのことだ>>


ヘッドクオーターは相変わらず淡々と告げる。


<<……俺達は特殊機動隊員だ、それなりに腕は立つと自負している。だがっ!相手はそんな機動隊員を既に()()もやっているんだぞ!!>>


ディスプレイに表示されているレーダーからは、四機いたはずのグラジオラス隊の光点がいつの間にか二つになっていた。


<<とにかく、避難誘導が終わり次第コスモス隊も向かわせる。それまで……なに?……そうか、了解した>>


<<……おい、どうした>>


まさか、グラジオラス隊が全滅したのか?

そう思いレーダーに目を向けるが、味方を意味する青い光点は二つ、どうやらまだ戦っているようだ。


<<クロッカス1、状況が変わった。クロッカス隊はすみやかにグラジオラス隊と合流せよ。五分だけでいい、()()()()()()()()()()()()>>


<<言われなくてもそのつもり───まて、持ちこたえろ?それはどういう事だ>>


<<たった今カスミガセキから連絡があった。どうやらカスミガセキは──>>




<<傭兵協会にPMCの派遣を要請したそうだ>>











逃げ惑う人々の波を縫うようにモーターバイクを走らせる太陽。

辺りでは先程から耳をつんざくような爆音が響いている。どうやら、近くで戦闘が行われているようだ。


「皆さん!ここは危険です!速やかに地下鉄(メトロ)まで避難して下さい!シェルターには子供と女性を優先して───」


CDFの隊員と思しき男は逃げる人々を纏めて、避難誘導を行っていた。

モーターバイクを乗り捨てて、人々が逃げる方向とは逆、つまり戦場へと向かって走り出す。


「……おい君!そっちは危ない!止まりなさい!止ま───」


途中、CDFの隊員が後ろから制止する声が聞こえてきたが、直ぐに逃げてきた人々の悲鳴や怒号にかき消されて聞こえなくなった。




戦場に近づくにつれ、響いてくる銃撃音が一際大きくなっていく。

この辺りには既に()()()()()人々はおらず、辺りに散らばる建物の瓦礫はその戦闘の激しさを物語っていた。


「うぅっ……」


突如、足元から呻くような声が聞こえてくる。見ると、そこには頭から血を流し、下半身を吹き飛ばされたCDF隊員が横たわっていた。


「しっかりして下さい!大丈夫ですか!」


咄嗟に駆け寄り、かろうじて生きているその男を抱き起こす。


「うっ……民間人、か……ここは、危険だ……はやく……逃げろ……」


「一体ここで……何が起きているんですか!」


隊員の着ていた上着を脱がし、吹き飛ばされた下半身に押し当てる。気休めにもならないことは分かっている、それでも自然とそうしていた。

彼の腕章にはCDF第三特殊機動隊の文字があった。特殊機動隊と言えばCDFのエリートパイロットで構成された精鋭部隊だ。


「テロだ……黒いアサルトナイトが暴れまわってやがる……俺達じゃあ、どうしようもない……」


テロ……その一言で五年前の光景をフラッシュバックさせる。


「俺のことは、いい……どうせ、もう助からん……それよりも、早く……逃げ……」


「待って下さい!今助けを……」


男の体から力が抜けていき、ふっと軽くなる。


「……すいません」


止血に当てていた男の上着を彼の顔に掛ける。彼の首元を見ると、そこにはドッグタグ型のアサルトナイトの起動キーがはめられていた。


「これ……少しだけお借りします」


男の首から起動キーを外し、自分の首にぶら下げる。こうなったからには、もう四の五の言っていられない。腕利き揃いのCDFでも敵わないのだ、たかがアリーナ上がりの自分ではどうこうできる相手ではないかもしれない。だけど、これ以上好き勝手に暴れまわるテロリストを見過ごすことはできない。


起動キーの側面に取り付けられたスイッチを押し込み、アサルトナイトを起動させる。


悪いな、約束破っちまって。


心の中でかつて救えなかった少女に対し謝りながら叫ぶ。


「───装甲展開(アーマード)っ!!」


鈍い銀色の電光を放ちながら、彼の身体は鋼鉄の鎧に包まれていった。

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