第6話 お兄ちゃんからのプレゼント
だいぶ魔力が上がってきた気がする。
1日に何回も魔力切れで気絶する。
赤ちゃんだからできることだ。
赤ちゃんは泣くのと寝るのが仕事だ。
だから、気絶も寝ているものだと思って何も言われない。
また、ライトの魔法をだして、いくつか天井に漂わせてる。
コントロールも上手くなった。
左耳だけ身体強化しているけど、私の部屋の周りだけ聞こえるようにしている。
ん?なんか足音がする。
足音からいって、カイお兄ちゃんか、リクお兄ちゃんだ。
急いで魔法をやめる。
この動作も早くなった。
扉の方に寝返りで向いておく。
「アリーチェ起きてる?」
カイお兄ちゃんだった。
扉を少し開けて覗ている。
覗き方が可愛い。
と、思ってたら、カイお兄ちゃんの後ろの方からどたどたと走ってくる音がした。
絶対、リクお兄ちゃんだ。
「アリーチェ!!起きてるか!お?カイ何してんだ?」
リクお兄ちゃんだった。
せっかく、カイお兄ちゃんが静かに開けたのに台無しだよ。
起きてなくても起きるって。
普通の赤ちゃんなら今頃大泣きだよ。
私もびっくりして、半泣き状態だ。
ていうか、泣きそう。
いくら、前世の記憶があっても、体が赤ちゃんで、精神も少し子供に戻ってる。
「リク!大きい声出すとアリーチェびっくりするよ!気をつけてよ。よしよし、アリーチェ大丈夫だよ。」
カイお兄ちゃんがリクお兄ちゃんを叱ったあと、私のベットまで来て優しく撫でてくれた。
安心する。
リクお兄ちゃんが私を落としたことで2人共抱っこはだめになった。
カイお兄ちゃんはまだ私を抱っこしたことがない。
早く抱っこしたいようだ。
「ごめん、アリーチェ。怖くないぞ。」
リクお兄ちゃんもカイお兄ちゃんと反対側に来て、私を撫でた。
良かった、泣き出す前で。
半泣き状態だったから、安心して、涙が止まったようだ。
「アリーチェ、今日はねアリーチェにプレゼントがあるんだ。」
「そうだぞ!!俺たち2人からのプレゼントだ。2人で選んだんだぞ!!すごいだろ?」
カイお兄ちゃんは優しく、リクお兄ちゃんは元気にそう言った。
どうやら、2人からプレゼントがあるようだ。
リクお兄ちゃんだけだと心配だけど、カイお兄ちゃんも一緒なら大丈夫だろう。
「リク、俺がアリーチェ起きてるか見に行くからって言ったのに、プレゼントは持ってきたの?」
「もう、持ってきてるぞ。待ちきれなかったんだ!!」
「そうか。」
「アリーチェプレゼントだ。嬉しいか?」
そう言って、渡してきたプレゼントは籠に入った綺麗な小鳥だった。
って!!私まだ、赤ちゃんだよ!!動物渡さないでよ!!
カイお兄ちゃんも、選んでなんでその選択になるんだよ!!
「え?リク、本物の小鳥にしたの?」
え?カイお兄ちゃんと一緒に選んだんじゃなかったの?
本物?ってことは、カイお兄ちゃんは、偽物、、人形の小鳥を渡すつもりだったの?
「カイと選んだ人形の小鳥と似た本物がいたんだ。どうせなら本物がいいかと思ってこっちにしたんだ。ついでにカイも驚かせようと思ってな。秘密にしてたんだ!」
そう言って、ニカッと笑った。
おいおい、リクお兄ちゃん。
そうだよね、カイお兄ちゃん知ってたら止めるよね。
「まー、持ってきちゃったものはしょうがないけど、とりあえず、お母さん呼んでくるからリクその籠から小鳥を出すなよ?」
珍しくカイお兄ちゃんが怒っているようだ。
「え?なんで?」
不思議そうな顔でリクお兄ちゃんが聞き返す。
「分かった?」
カイお兄ちゃんは有無を言わせない表情でリクお兄ちゃんに確認した。
「うん。」
「何が嫌だったんだろう?内緒にしたのがダメだったのか?カイだって、俺に内緒にすることぐらいあるのに。」
カイお兄ちゃんが出って言ったあと、リクお兄ちゃんは拗ねてた。
いじいじしている。
本物なのは驚いたけど、可愛い小鳥だな。
もう少し、近くでみたい。
んー。あ!魔法があるじゃん!
魔法でどうにか出来ないかな?
リクお兄ちゃんなら使ってもバレないよね?
それか、カイお兄ちゃんが戻ってくるのを待った方がいいのかな?
近くで見る魔法も思いつかないし、待とうかな。
どうやら、カイお兄ちゃんがお母さんを連れてきたようだ。
「リク!籠から小鳥だしてない?」
お母さんが、入ってきて早々リクお兄ちゃんに聞いた。
どうやら、カイお兄ちゃんがここに来るまでに話したようだ。
「出してないよ。ほら。」
そういって、リクお兄ちゃんは籠を見せる。
「あのね、リク、アリーチェにプレゼントをすることはとてもいい事なのよ?でもね、アリーチェはまだ、赤ちゃんなの。本物の動物はダメなのよ。お人形さんなら大丈夫なのよ?」
お母さんは、しゃがんで、リクお兄ちゃんと目線を合わせながら話している。
「アリーチェ、小鳥嫌いなの?」
リクお兄ちゃんは悲しそうな顔をして聞いた。
「違うのよ。危ないの。まだ、赤ちゃんだから。アリーチェがもう少し大きくなったら、その子をプレゼントしましょう?」
「うん、わかった。」
リクお兄ちゃんは、いつもの笑顔に戻って頷いた。
良かった。分かってくれたようだ。
でも、あの小鳥可愛いいから近くでみたい。
「おあああう、いあい。」
「ん?アリーチェこの小鳥を見たいの?」
おー!通じた。さすがお母さん!
「リク、その小鳥アリーチェにもっと近くでみしてあげて?籠の中にいれたままよ?」
お母さんがリクお兄ちゃんに言った。
「いいぞ!アリーチェどうだ?見えるか?」
リクお兄ちゃんは、ドヤ顔だ。
よくみえる。可愛い!!
「ああいい!!」
「良かったな、リク。アリーチェ喜んでるみたいだ。」
カイお兄ちゃんも嬉しそうだ。
「そうか!可愛いか!もっと近くで見してあげる!!」
リクお兄ちゃんは、その言葉を聞いて、ますますドヤ顔に磨きがかかった。
カイお兄ちゃんがその言葉を聞いて、急いで止めようとしたけど、間に合わなかった。
リクお兄ちゃんは籠の扉を開けた。
リクお兄ちゃん!!さっきの話聞いてなかったの?
「リク!アリーチェは赤ちゃんだからだめだって!」
「あ!忘れてた。わりぃ。」
リクお兄ちゃんは急いで籠の扉を閉めたけど、小鳥が出ていったあとだった。
そして、その小鳥はどんどん近づいてくる。
めっちゃ迫力がある。
可愛い小鳥のはずなのに。
だけど、私のベットの中に入ると、スピードを緩めて、ゆっくりと顔に近づいてきた。
怖かった。
そして、私の顔にもたれかかった。
とても、リラックスしているようだ。
「あら?」
お母さんがそんな声を漏らした。
「大丈夫そうね?」
リクお兄ちゃんは顔が真っ青になっている。
良かった。赤ちゃんに本物の鳥が危ないってことが分かったようだ。
「アリーチェが食われるかと思った。」
そんな風に思ったのか。