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第1話 プロローグ

新しいものを書き始めました。どうぞよろしくお願いします。

鈴木優心(すずき ゆあ)は四月に入学したばかりの大学一年生だった。


彼女には身内と呼べるもの以外の『仲のいい』友達はいなかった。


四月に入学して、新たに仲良くなった子がいた。順調な友達関係ができたかに思えた。


しかし、五月になった時、急に関係が変わった。変わってしまった。彼女にはわけがわからなかった。


特に何かしたわけでもなかった。いや、彼女にはそう思えた。

もしかしたら、彼女の知らない『何』かがあったのかもしれない。


今でもそう思っている。


突然だった。いつもは隣の席に座る子から隣に座ってほしくないように、


「ここに荷物置くから。」


まるで壁でもできているようだった。彼女が通路側、間に荷物、その横に友達三人続けて座っていた。


次の日は、


「これからはみんなバラバラで行かない?」


いつもは四人で待ち合わせして、徒歩一分もかからないバス停から一緒に乗っていたのに。


何か理由があるのだろうと自分の心を守るように納得させて、バスの列に乗ろうとした。


しかし、彼女が見たものは三人でバス停に並ぶ姿だった。

彼女は悲しかった。そして、怖かった。


彼女は『またか』と思った。


中学校でも仲がよくなっては、嫌われて、それでも気づいていないようにふるまった。

嫌われていることに自分が認めていまえば、そこにいられないから。


なにより一人がとても怖いから。一人はさみしいから。一人は不安だから。


だからこそ、心のよりどころが、本の世界。物語だった。

物語の主人公は友達はいて、だけれども、一人でも果敢に何かに挑戦していたから。

反発しながらも意見を言えて、最終的にはみんな友達。


彼女にはそれは無理だった。


一番好きなジャンルは『異世界転生系』。


ここでの生活とはおさらばして、一から始められる。

文字通り生まれ変われるのだから。



彼女は頑張った。これ以上嫌われないようにできるだけしゃべらなかった。

一人の子は彼女が質問しても適当にそれこそ話したくなさそうにしてたから。


彼女は頑張った。これ以上嫌われないように必死だった。何が正解かもわかず。


彼女は自分の家と授業中だけが心休まる時だった。

いや、それは嘘かもしれない。ただ、少しだけ気を抜けた。


授業中ならあまり周りもしゃべらない。壁に阻まれたように、間をあけられて、座っていたとしても。


自分の家には自分のことも愛してくれる家族がいたから。例えこのことを家族に話せなくても、彼女は嬉しかった。


物語の中には家族も学校も友達もすべてに嫌われているお話もあったのだから。



彼女は神様を信じていたわけではなかった。

それでも、神様に願わずにいられなかった。


『どうか、一人でも平気な子にしてください。友達に嫌われないようにしてください。』


彼女の最近の寝る前の日課だった。


彼女には自殺する勇気はなかったのである。だからこその祈りである。変えられないのなら変わるしかないのだから。



彼女は死んだ。横断歩道を渡っている最中に、赤信号だったにも関わらず、突っ込んできたトラックによって。


彼女はトラックの音も耳に入っていなかった。遠くから聞こえる「危ない」というう声も。


彼女は飛ばされた。痛みはなかった。ただ、最後に願った。


『どうか、私も物語のように異世界転生して、新な人生を始めさせてください。』



彼女は精神的に限界だったのだ。


きっとこの件で死んでいなくても、このままつづけば、彼女は死んでいた。

心とともに体も弱っていったのである。






_______________________




鈴木優心(すずきゆあ)は、彼女は、もう一人の私だ。

生まれ変わる前の私だ。


私の名はフローレス・アリーチェ。


前世の記憶を持つものだ。


私は、死んだ時(そのとき)、すべてから解放されたようだった。


やっと自由になれたのだ。


もう彼女をいや、私を傷つけるものは何もない。

そう思ったのだ。



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