6月30日の物語(開催)
(エタら)ないです。
●6月30日 10:00 土の日 学園闘技場
バイトから2日後。ついに第40回闘技大会が開催されようとしていた。
「それでは!これより第40回闘技大会を開催します!」
主催者である闘技大会委員会からの開催宣言に参加者は拳を掲げ大気を震わすほどの声を張り上げる。
夏になりかけている陽光は彼らをアツく照らす。掲げた拳は陽を浴び輝いている。
ここはコロッセオのような形をしており、選手たちは中央の穴部分に集まっており、それ以外の人たちは
穴周辺部分の観客席に座っている。
「それではこれより予定表の通り進めさせていただきます。」
「今回は出場者が例年より多いため、事前告知の通りバトルロワイアルにて出場者を絞らせてもらいます。みなさまは既に自分のグループはご存知のはずですのでアナウンスで呼び出された際には素早い行動をお願いします。次に―――」
◇
「ルークの番号はなんなの?」
「俺は339だから、まだしばらく先だな。」
開会式が終わり、最初のグループの準備をしてる間にルークは観客席へと戻ってきた。そこではすでにクーたちが席に座りながら飲み物を飲み、露店で買ったらしき食べ物をほおばっていた。ルークはサリュが居ないことに気付く。
「サリュはどこに居るんだ?」
「サリュなら露店に追加の食べ物の買い出しに行ったよ。じゃんけんに負けたからね。」
「ていうかまだ始まったばっかなのにもう食ってるのかよ。」
「こういうのは待ってる間が暇すぎてどうしてもね。」
「それよりもさ、今年は参加者が多いって言ってたけどどれくらい居るんだろうね。」
ラパンの質問にクーやルークは無意識に左上を見つつ記憶を辿る。
「確か・・・・900くらいは居るんじゃねぇか?」
「正直あんまり覚えてないけどそれくらいはいるんじゃないかな。」
「いつもだったら500~600くらいだよね。なんで?」
「あれだろ。ラパンが言ってた賞品の噂がどこかで漏れたんだろ。」
「あぁ~~。それかもしれないね。」
「しっかしそれで参加する奴がこんなに増えるとは思わなかったぜ。」
「この様子だとルークの優勝は厳しいかなぁ~~?」
「さぁな。やってみなきゃそんなのわからねぇよ。」
ルークはフッと軽く笑いそう言う。
「なんかルークがかっこよく見える・・・。」
「やばいよクー早く治療院言ってこないと・・・!」
「お前ら殴るぞ。」
「全く・・・何をやっているのですかあなたたちは・・・。」
そこに買い出しを終えたサリュが戻ってきた。2袋の紙袋を持っておりそこからはいい匂いが漂ってきている。
「おっかえりー。」
「ありがとうサリュ。」
「何を買ってきたんだ?」
「んーとね。あたしはお肉関係を頼んだかな。それでクーは特に何も言ってなかったよね。」
ラパンはサリュから袋を1つ受け取り中身をがさごそとまさぐる。
「はいクー。」
ラパンは袋からサンドイッチを出してクーに手渡す。
「ありがと。」
「お金が少し余ったのでついでにルークの分も買ってきましたよ。」
席に座ったサリュはもう1つの袋から紙コップに串焼き肉が入った物をクーに渡してリレー形式でルークに手渡す。
「お、それは助かるぜ。ありがとうなサリュ。」
「どういたしまして。」
サリュは軽く笑いながら返事をする。
「ていうかよ。俺の分は普通最初に買い出しに行ったときに買っておくものじゃねぇのか?」
クーとラパンは顔をそらしルークの方を見ないようにする。サリュはただただほほ笑んでいた。
◇
●同日 13:24 同場所
現在は2番目のグしループが死闘を繰り広げており、試合開始時こそ大勢居た選手も今は残り少なくなっている。
「ルーク次なんだしもうそろそろ行って来たら?」
「お?そうだな。そろそろ控室の方に行ってくるわ。」
「1位通過期待しているぞ。」
「ルーク頑張ってね~。」
「健闘を祈ってます。」
「期待しながら待ってろ。」
仲間の声援を背にルークは軽く手を振りながら控室へと向かう。
◇
「そろそろルーク来るかな?」
「さっき準備完了のアナウンスのあったからそうじゃない。」
「そうこう言っているうちに出てきましたよ。」
サリュに釣られて2人が前を見れば選手たちが東西南北にある計4つの出入り口から入ってきている。
「あれルークじゃない?」
「どれ?」
「あそこですよ。」
ラパンとサリュの2人が指さす方をクーが見れば、見慣れた顔をしたルークが今日はやけに自信満々そうに歩ていた。
「あ、あそこか。」
「なんかやけに自信ありそうだね。」
「闘技大会は審判側が判断しない限り装備の制限は無いですから新調した武器に信頼してるんでしょう。」
「っていうことは武器の審査を通り抜けたのか。」
「みたいだね。」
「あの新しい剣にするときルークがいろいろとこだわって聞いたんですがそうなんですか?」
「そうだよ。せっかく強い剣がタダ同然で買えるからって色々ギミックを詰め込んで教授の予算ギリギリまで攻めたみたいだよ。自分は途中でだるくなったから詳しくは知らないけど。」
「そんなのルークに扱いきれるの?」
「まぁそのためにここ最近はずっとトレーニングに付き合わされてたよ。」
「つまりはまだそこまで扱いきれるわけではないのですね。」
「そういうこと。いくらかはマシになったけど結局、元が脳筋に近いから生かしきれてないのが現状。」
「へーそうなんだ。」
「しかしそういうのが不得手なのはルーク自身が一番分かっているでしょうしなんでそういう風にしたんでしょうね。」
◇
「それでは今から第3グループの試合を始めさせていただきます!!」
選手たちは穴部分の外壁に沿いながら等間隔に立っている。これによってこそこそして最後の最後で漁夫の利を狙う奴を少なくしているらしいが効果のほどは分からない。
「そろそろ始まるか。一体ルークはどこまでいけるのかな。」
「あたし本戦出場決定まで残るに1票。」
「私もです。」
「それだと残らない派の人が誰も居ないからつまらないじゃん。」
「それでは試合開始!!」
試合が始まった瞬間ルークは左右からの攻撃を警戒する。
攻撃に備えつつも来なかったことから守りから攻めの姿勢に意識へと向ける。素早く左右を確認すれば運よく左右の敵は彼らの隣に居る奴と剣戟を繰り広げていた。
それを知ったルークは一度、円の中央へと向かう。
途中で切り返しをして、瞬発力と脚の筋肉で加速をしたルークは先程、自身の左側で戦っている2人に狙いをつける。
まずトップスピードに乗ったルークは1人に横からタックルをかまし、敵を壁に激突させる。もう一人が状況を呑み込めていない間に態勢を整え切り捨てる。
闘技大会にあたって、いま彼らの居るフィールドには死亡を無効にする広範囲魔法が展開されている。致命傷を受ければ気絶する仕組みになっている。加えて手足や指など人体のパーツが切られても痛みを感じず、落ちないように設定されている広範囲魔法も展開されている。
また、今回武器に関しては審査が入っているため、場合によっては防具のおかげで全く剣が通らないなんてのも考えられるため、防具類は無しとなっている。
「まずは2人か。さてとどこまでやれんかな。」
不敵に笑いながらルークは戦場と入り込んだ。
◇
昔から戦うことが好きだった。小さいときから大柄だったり親が鍛冶師なのも、もしかしたら関係してるのかもしんねぇけど戦うことが好きだった。と言っても別に暴力を振りかざしてたわけじゃない。住んでた街にある道場で片っ端からいろんな奴と戦うのが好きだっただけだ。暴力を振りかざしているだけじゃただの「蹂躙」だ。それは「戦い」じゃない。
「戦い」のどこにハマったのかはその時は分かっていなかった。ただなんとなくだったりそれしかやることが無いというのが原因でひたすら戦っていた。だが今ならどこにハマった理由が分かる。「戦い」で自分より格上の奴を倒したとき、自分の成長を少しでも感じられたときだ。そういう時にとんでもない程の「達成感」を感じるんだ。そして景色が広がって世界が広く感じるようになるんだ。
その理由に気づいたのは去年の事だ。ちょうど春くらいの時だ。親のためにも学園くらいは出ておいた方がいいだろうと思い、入学した。そん時の俺は調子に乗っていた。小さいころから道場の奴と戦いに明け暮れていたから経験だけは同じくらいの歳の奴に比べれば豊富だった。大人に対しては時々負けちまうが逃げる理由なんざ簡単に見つかった。
入学から数日後のその日は近接戦闘訓練の時間だった。そん時に俺はあいつと出会った。緑色の髪をした魔法剣士に。一目見た時にこいつは弱いと思った。ガリガリまではいかないがそれでも細い部類に十分入るくらいの体格だった。俺は最初、剣を学んだが思い通りに伸びず、魔法に逃げた我慢が出来ない子供だと思ってた。
だが違った。あいつは魔法をうまく使い分け、俺の大剣を簡単に流しやがった。鍔迫り合いになりゃさすがに勝てたが逆に言えばそれくらいだった。ある時は全く姿を掴めねぇ時もあった。俺は必死にあいつに勝つ方法を考えた。そして辿りついた結果はあいつの近くに居ることだった。成長する道の一つは自分より強いやつの技術を盗むことだ。だから俺はあいつとパーティを組んだ。
1年過ぎた今、未だに抜かせないもののあと1歩のところまでは来た。だがどうしても決め手に欠けてることに気づいた。あいつには魔法がある。そのおかげで戦術の幅広さはとんでもねぇことになってる。だが俺にはあいつみたく剣を振りながら魔法式を書くなんてマネは出来ない。だから俺はこの剣を打ってもらった。これを使いこなせるようになればあいつを越えられる。きっと見たことない景色が広がっている。
だからよ、お前らには俺の踏み台になってもらうぜ。あいつを飛び越えるためのなぁ!!!




