【後日談】
新作は明日か明後日です。
打ち上げのことを書きつつ、ファンタジーの学園らしくバトル大会でもやろうかなと思ってます。
●5月5日 12:00 土の日 学園内の廊下
草の墓探索からちょうど1週間が過ぎたころ、クエスト成功の報酬について話し合うため彼らは教授の部屋へ向かっていた。
「しっかしもう1週間過ぎたのか~。」
ラパンは頭の後ろで腕を組みながら誰にともなく言う。
「なんか昨日のように感じられますね。」
「まぁいろいろと衝撃的な出来事が多かったからね。」
堕ちた妖精との戦闘にビス教授の雇った賊との闘い。命の危険を感じるには十分な出来事である。
「そういやよ、ノックの奴は大丈夫なのかよ。」
「あのあと、すぐに治療院に運び込んだみたいですし大丈夫だと思いますよ。死んだということも聞いていないですしね。」
高齢の教会関係者は若い人みたく冒険ができるわけでもないので、専ら病院――治療院で傷を治す仕事をしている。
「そっか~。それなら奢ってもらえるね。」
「え、ほんとに奢ってもらうつもりだったの?」
「え?」
「いや、だってあの人はお店もお金も無くしたから冒険者になったんじゃ?」
「本当のことは本人に聞かない限りわかりませんね。あの人の本当の目的は妖精に関係していたみたいですし。案外嘘かもしれませんよ?」
サリュはいたずらっぽくクスリと笑う。
「それなら教授に聞けば何かわかるんじゃねぇの。」
雑談を交わしている内に教授の部屋へと到着する。
「教授居ますかー?」
ノックをしつつクーは部屋の中へと声をかける。
「開いてるから入ってきなさい。」
中からは教授の声で返事が返ってくる。
「「「「失礼します。」」」」
彼らが部屋に入った時、教授ともう一人の若い男がソファーに座っていた。その男は見るからに研究者という見た目をしており、服装こそきちんとしているが、雰囲気が服装と正反対すぎる。
「休日に呼んでしまって悪いな。」
クーたちがソファーに座ると、開口一番教授は謝ってきた。
「いえ。報酬の話し合いとならばいつでも。」
ラパンがそう応える。口調こそキチッとしているが、目はお金のマークになっており駄兎になっている。
「報酬の話に入る前にこの男を紹介させてもらおう。君たちは教授たちの中ではグループがあるのは知っているだろうが、彼はそこのいわば副隊長のようなものだ。」
「彼が副隊長ってことは・・・。オビ教授がリーダーですか?」
「そうだ。彼自身の紹介は自分からしてもらおう。ではアーキル。紹介を。」
「・・・私はアーキル・オルカンです・・・・どうぞよろしく・・・・。」
「アーキルはこの見た目通り話すことよりも研究している方が好きらしくてな。基本的にずっと何かを考えているから言葉足らずの場合がほとんどだ。」
「は、はぁ・・・・。」
「それでも優秀さでは私のグループの中では頭一つ抜けているから将来有望だよ。」
「教授・・それは・・・。」
「言い過ぎか?だがさっきのは本心だ。」
アーキルは恥ずかしくなったのかそっぽを向いてしまった。彼の黒く長い髪のせいでクーたちはその表情を見ることはできないが、頬が赤くなっているのが感じられる。
『照れてるー可愛い~~』
ラパンは小声でいじる。
「紹介も終わったことだし、報酬の話に入ろうじゃないか。歴史的発見をしていないかもしれないが、受け取る資格は十二分にある。何か決めてきたか?」
「自分たちは武器が欲しいです。」
「ふむ武器か。それは構わないのだが、誰か1人のか?それとも全員のか?」
「1人のです。」
「ふむ・・・・それで大丈夫かアーキル?」
「・・下手に出て高い物を要求されるより今のうちに話を付けたほうがいいかと・・・。」
それは相手の前で言う言葉ではない。
「そういうことだ。後で武器の代金か店の場所を教えに来なさい。ただし、こちらにも限度額というものはあるので、超えた分は自分たちの負担だぞ?」
「わかってます。」
◇
●同日 14:21 治療院内
あれからいろいろと話したあと、クーたちは学園を出てきた。全員揃っているからついでにノックの見舞いをしようという話になり、そのまま向かってきたところになる。
「ここにノックさんいるのー?」
「私が聞いた限りではここで合っているはずですよ。」
治療院内の天井は上に行くにつれて丸まっていき、外から見たなら尖塔のような形をしている。入り口から入ってすぐのところにあるメインロビーは大きな正方形をしており、吹き抜けになっている。メインロビーの四隅には上階へと繋がる階段がある。
目に見える部分では主な建材が木材な為、木の温かさがほんのりと伝わってくる。
「サリュはどこの部屋に居るのか知ってる?」
「えーと・・・そこまでは聞いていないですね。」
「じゃあ受付で聞いてこようか。」
「すいませーん。ここにノックという人が入院してるって聞いたんですけど、部屋の場所を教えてください。」
「ノックですか・・・。少しお待ちください。」
受付の人は名簿に目を落とし、金色の目を上下左右に動かしながらノックの名前を探す。
「えーと。ノックさんは398号室です。場所は分かりますか?」
「3階ですか?」
「そうです。3階に行けば、また職員の人がおりますのでその方に再度お聞きください。」
「わかりました、ありがとうございます。」
クーはお礼を言った後、ルークたちの元へと戻る。
「3階だってさ。そこからはまた3階に居る人に聞いてだってさ。」
「3階かー階段上がるのめんどくさいなぁ・・・。」
「文句を言っていないで行きますよ。」
◇
●同日 14:25 治療院3階
「やっと着いたー・・・。」
このくらいの階段を昇るだけでは冒険者で獣人であるラパンは疲れない。ただの彼女の気分の問題だ。
「何を疲れた風にしているんですか。そんなことをしていると救済しますよ?」
「は~い。」
相変わらず救済の意味が掴めない男2人がいる。ラパンは気にしていないのかスルーしている。考えるだけ無駄なのかもしれない。考えるな感じろ。ということなのかもしれない。
「あ、ここに3階の見取り図があるよ。」
「ホントですね。これをみれば398号室の場所もわかりますね。」
「え~と398号室の場所は・・・・あった!あたしたちの現在地がここだからこう行けばいいのね。」
「そうですね。では行きましょうか。2人とも行きますよ。」
「あ、うん。」
「お、おう。」
◇
「ここが398号室だね。」
398号室は案外彼らの近くにあったらしく、すぐに到着した。
「ノックさーん?お見舞いでーす。」
ノックをしつつ部屋主を呼ぶ。ノックの部屋をノック・・・
「開いてますよー。」
「はーい。」
ラパンはドアを開け中へと入り、3人も続く。
「わざわざありがとうございます。適当に座ってください。」
部屋の中には壁際にソファーを椅子が2つ置かれている。
「それで、何をしに来たんですか?」
「実はね今日、さっきまで教授たちと報酬の話をしていたんだ。」
「ほう。何を頼んだのですか?」
「武器を頼んだよ。そして帰り際に教授たちからこれを渡されてね。」
クーはそう言い、ずいっと脇に抱えていた、茶封筒を差し出す。
「これは?」
「あそこで本を回収したでしょ?その中に挟まっていた紙束らしいんだけどね、教授いわくあの妖精の日記らしいんだ。」
「彼女の・・・?」
「教授が言うにはね。さすがに歴史に関係ありそうな所とかは教授たちが調べるのに使うから今すぐは渡せないらしいけどね。それで教授から伝言なんだけど「あの妖精のことを一番知っているのであれば手伝ってほしい。」だってさ。」
「そうですか・・・。そうなるとこれは?」
「歴史に関係無いと判断した所らしいよ。中身は主に日記らしいだけどね。」
「日記ですか・・・・。」
「まぁ今日来たのはこれを渡すためだから、今日は帰るよ。退院したら成功の打ち上げをやるから学園の寮にでも来てね。」
「あ、わかりました・・・・。」
ノックは何かが抜け落ちたまま渡された紙の束に目を落とした。彼女が記したであろう思い出の日々が詰まった懐かしい香りが感じられる物に。
あのダジャレは完全に偶然です。作者自身もしばらく手が止まりましたし、名前が間違ってないか確認しました・・・・。




