表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NPCのみの世界  作者: momosui
草の墓
15/26

4月28日~29日の物語(探索編)(午後④)

遅れました・・・ごめんなさい・・・

次が後日談のようなものになります・・・・

● 同日 19:45 最奥


「妖精を倒せたのは良かったんだがよ、これからどうするんだ。既に夜だぞ。あんな戦闘をしたばっかだから体力が何も残っちゃいねぇぞ。」


 ルークと同じようにクーやサリュにノックまでも疲れていた。たとえ妖精と直接戦っていなくとも緊張感のせいで疲れてしまっていた。そのため全員が地面に座っており、ルークにいたっては鎧の脱ぎ大の字になっている。


「それならあたしが寝ずの見張りをしようか?」


 ラパンは妖精との戦闘で自分だけ早々に退場していることを悔やんでいる様子だ。


「それはぜひ喜んでとお願いしたいところだけど、ラパンだってさっき起きたばかりだからダメ。」


 妖精の魔法をもらい気絶していたラパン。少し前に目を覚まし、サリュから状況を説明されている。


「そういえばノックさん。ラパンを守った道具はどこで手に入れられたのですか?」


「あの道具は商人の伝手で手に入れた物でしてね。勝手に名前を出すのは失礼なので言えませんが高位の聖職者の方から貰いました。としか言えませんね。」


 サリュの質問にノックは答えられる範囲で答える。


 しかし、あの威力の魔法を防げる使い捨ての道具などそうそう流通しているはずも無い。


「そうですか・・・。」


 サリュとしてはその人物の名前を知りたいのところなのだが、そのまま黙ってしまった。


「そうだ。今ので思い出したんだけど、河原で使った結界用の道具があるじゃん!」


 ラパンは名案とばかりに手をポンッと叩く。


「そういえばそんなのあったな。ノック、今それ使えるのか?」


 ノックは道具を確認するために道具袋から取り出してみる。その道具は所謂クリスタル型をしておりそれを地面に刺すことで範囲内が結界によって守られる仕組みになっている。


「多分、今日の夜くらいは大丈夫ですかね。」


 ノックが袋から取り出してみるとクリスタル型の道具は青く輝いている。時間的に暗いこともあって神秘的な美しさを醸し出している。


 クーとノックが光源のためにいくつかの光球をそこらへんにふわふわとさせている。しかしそれでも暗いところは出てしまう。


「よし、それなら早いところ休んじゃおう。」



◇~~某RPGの宿屋の効果音~~◇



●4月29日 7:18 陽の日 最奥


 陽が顔を出し始めてからそれなりの時間が経った頃、一同は既に目を覚ましていた。

 

 焚き火の後を中心にして5人は座りながら顔を会わしている。


「さて、薬草の本を探しに行こうか。」


 クーの提案に全員は頷きを返す。


「でも、結局のところ本はあそこにあるってことでいいの?」


「えぇ。そこにおそらくありますよ。」


 確信を持って言うノック


「やっぱりノックさんの両親なの?」


「えぇ。みなさん薄々気づいていたと思いますが、その通りです。あの老夫婦は私の両親です。」

 

「やっぱりそうですか。」


「みなさん色々聞きたいとは思いでしょうが、それは街に帰ってからお願いします。」


「じゃあ街に帰ったら食事を奢ってもらいつつ事情の説明をしてもらうとしておきましょうかね。」


「なんなら1週間くらいの間、3食分奢ってもらおうぜ。」


「それはいいですね。是非そうしましょう。」


「よーし!それじゃあ行こうーー!」


 5人は花の近くへと行く。


「実はあの場で土を掘り返しても何も出てきません。妖精が魔法で隠していたのです。」


 土を魔法で掘り返しつつノックはそんなことを言う。


「それなら妖精が死んだ今なら魔力の供給源が無いから解除されてるの?」


「きっとそうだと思いますよ。」


「よく妖精が隠してたなんて分かるな。」


「まぁ彼女のやりそうなことですし。」


「昨日から思っていたのですが、ノックさんとあの妖精は知り合いだったんですか?」


 サリュの質問にノックは土を掘り返しつつも目はどこか遠い所を見ていた。昔を思い出すかのように。


「童話にも伝わっている通り、彼女は私の両親に助けられました。しかし、私はそれのずっと昔より彼女を知っていました。もう昔のことなので詳しくは思い出せませんが、確か森で迷っていたところを彼女に助けられたんです。それ以降私は彼女にまた会いたいがために何度もわざと迷いました。」


「妖精にまた会いたいって一目惚れでもしちゃったの?」


「話の腰を折るな。」


「あいたっ。」


 無意識に話の腰を折ろうとしているラパンの頭をクーがはたく。


「一目惚れですか・・・もしかしたらそうなのかもしれませんね・・・。」


 ノックは照れた笑みを浮かべつつも顔は悲しそうだった。


「なんかごめんなさい・・・。」


 ラパンはいたたまれなくなって謝る。初恋の人が死ぬとか辛いもんね。


「別に振られたわけでも思いを告げたわけでもないので大丈夫ですよ。」


「ノックさんは初めて会った時には妖精をわかったんですか?」


「わかりませんでしたよ。まさか妖精がこんな近所にいるなんて想像もしませんでしたよ。最初は彼女のことを魔法の上手い女の子程度にしか思ってませんでしたよ。」


「妖精とはずっと会ってたの?」


「いえ。私が成長してからは畑仕事を手伝っていましたね。そのせいで森には行けなくなりました。」


「そっかぁ・・・。」


「と。掘り終わりましたよ。」

 

 見ればそこには古ぼけた緑色の本がある。


「これが俺たちの探してた本か。やっぱりかなりくたびれてるな。」


「まぁ仕方がないですよ。」


 ノックは本を取るためしゃがんで手を伸ばす。


 しかしその手は止まる。


 背中に刺さった一本の矢のせいで。


「後ろだ!」


 ルークは即座に敵が居るほうを向く。


「ノックさん大丈夫ですか!」


 サリュは回復の聖祈を手早く唱え応急処置を施す。


「おいクーあいつらって教授の言ってた奴か?」


「多分そうだろうね・・・。」


 3人が見つめる先には10人程度の男たちが居る。彼らの手には槍や斧に剣などの武器が握られており中には金属鎧を装備している者も居る。


「おい。お前ら探し物は見つけたんだろ。ならそれを寄越せ。」


 片目に切り傷を負っている首領らしき男が斧を肩に担ぎながら太い声で告げる。


「いくらなんでも話が早すぎじゃないか?会ってすぐに寄こせとはまるで賊じゃないか。」


「何を言ってるんだ。どうせお前らも話くらいは聞いているだろ。依頼主からよ。」


「まぁ少しはね。でも、いくらなんでも決めつけはよくないと思ってね。」


 クーたちは武器を構え、警戒する。


「会話を交わすのも面倒だ。早く寄越せ。」


「残念ながらこっちもせっかく手に入れたものを易々と渡すほどの聖人じゃないんでね。」


「そうか。なら命に持ち物くらいは見逃してやろう。それが俺たちのできる最大限の譲歩だ。」


 首領らしき男は斧を構える。


「そんなことを言っておいて渡したところで殺すでしょ。」


「ちっ。そこまで馬鹿じゃなかったか・・・。なら殺して奪うだけだ。」


 首領が殺気を放ち始める。それに合わせて他の賊も戦闘態勢に入る。


『おいどうすんだよクー。人数に差がありすぎて勝ち目なんてないぞ。』


『どうするもこうもこうするしか道が無かっただろ。サリュ。ノックさんの体調はどうだ。』


『急所は外れているようですが、深く刺さっているためこのまま処置を続けないと死にます。』


 ノックの顔色は悪くなっていく一方であり、サリュの処置で一命を留めている状態だ。


『ならそのまま処置をしておいてくれ』


『でも・・・。』


『人数差はサリュが居たところで変わらない。だったら死ぬ気で戦うしかない。』


『ラパンが助けを呼びに行くのは・・・。』


『どんだけかかると思っているんだ。その頃には俺たち全員土の下だ。』


 サリュの提案をルークは一蹴する。


『あたしがあいつら全員やってやる・・・・!』


『落ち着けラパン。』


 いまだに気絶の件を気にしているラパンをクーが落ち着かせる。


「相談なんてしたところで無駄だ。人数の差ですぐに終わる。」

 

 首領はそう言うなり斧を構える。それに続くように他の男たちも武器を構え戦闘が今にも始まろうとしている。


『やっぱり逃げるしかないね。』


『お前ら離れるなよ。離れたら一人ずつ殺されるからな。』


『分かってるよ。』


ルークの警告にクーは頷き、ラパンは軽く反応する。


「ふむ。なんだか賑やかじゃないか。私も混ざってもいいかな?」








「誰だ・・・?」


後ろから聞こえた現れた年老いた男の声に首領は眉を顰める。クーたちも眉も顰める。首領とは違う意味で。即ち―――ただ純粋な疑問。


「オビ教授・・・なんでここに居るんですか?!」


 イノサンス学園の教授―――オビノワールがそこに居た。クーたちに説明をした時と同じ服装のまま。


「それは私から説明しよう。」


 オビ教授の傍から一人の40代らしき男が出てくる。その男は騎士団の鎧を身に着け、背中には王国の国鳥に指定されている神鳥をモチーフにしたデザインのマントを羽織っている。


「彼は私の友人でね。調査クエストについての様々な件を私に相談してきたんだ。そこで今回、証人となる君たちを捕まえに来たわけだ。」


「いつから俺たちのことを見張っていた。」


 首領らしき男は動揺から素早く立ち直る。


「君たちのことは別に見張っていないさ。仮にも何度も悪事に手を染めてきた奴が雇う奴らだ。そういう奴らは匂いに気付くのが早い。だから私たちは彼らを見ていたのさ。冒険者のほうをね。」


「あっ!中で感じた視線って教授たちなのか!」


 ラパンは1つの真実に気付く。


「うむ。まぁそういうことだ。諦めて大人しく捕まることをおすすめしておこう。」


「くそがっ・・・その鎧・・・お前は分団長じゃねぇかよ。最悪だな・・・。」


 首領らしき男はすぐに逃げる方向へと切り替える。


「お頭。どうするんですか。ちょっとやそっとで逃げれるような相手じゃねぇですよ。」


「こういう時にこそ単純なものが役立つんだよ。キース!グラント!」


「あいよ!」


「了解。」


 首領が2人の名前を呼ぶと、キースと呼ばれた中肉中背の男が何かを地面に投げつける。


ボンッ!


 何かが地面に当たった瞬間、煙が辺り一面に広がる。


「むっ。これは煙幕だな。」


「逃がさん!」


 オビ教授がのんきに事実を呟いている間に鎧を装備している男はすばやく煙幕の中心へと移動する。


「はっ!」


 男が剣を一振りする。その一振りで煙幕は晴れる。しかしそこには1人のケガ人を残して誰も居なかった。


「ちっ。逃げられたか。」


 男は舌打ちする。


「まぁ。いいじゃないかノークス。今回の目的はあくまで救助なのだし。」


 教授が男をなだめる。


「そうは言うがな、騎士団の一人として目の前で悪人に逃げられるのは癪に障るんだ。」


 その言葉、熱のこもりようからは男の信念がうかがえる。


「1人だけだが、あいつらの仲間らしき男を捕まえられたじゃないか。」


「あいつらには何回も逃げられてるんだよ・・・今回は私が行くから大丈夫だと部下に言って期待させておいたというのに・・・・。」


 その言葉からは部下への謝罪の気持ちがわかる。


「これでは・・・あいつらに1ヶ月の間、飯を奢らないといけないではないか!!!妻に怒られる!!!」


 前言撤回。自分の事しか考えていなかった。


「しかもお金が足りん・・・ならばこの装備を売るしか・・・・。」


 相当焦っている。目も心なしか「へへっ。もうこれしか道は無いんだ・・・。」みたいな危ない目になっている。


「さて。君たちは大丈夫かな?」


 教授は友人(バカ)を意識の外へと追い出して、クーたちに話しかける。


「自分たちは大丈夫です・・・でも、ノックさんが・・・。」


 ノックは未だにサリュの応急処置を受けており、血は止まっているものの顔色は未だ優れない。ルークとラパンは緊張の糸が切れたのか、地面にへたり込んでいる。


「ノック?もしや息子か?」


「ノックさん自身もそう言っていましたし、ここに居た妖精についても知っているようでしたので間違いないと思います。」


「そうか。なら急いで治療を受けさせよう。外に馬車が停まっている。」


「了解しました。」


「それで本はあったのか?」


「えぇ。回収してきます。」


「うむ。これで君たちのクエストは完了だ。本当にありがとう。ビスのやつを捕まる証拠を持っていそうな男も捕まえられたしな。」


「そういえば教授。なんでここに?それに友人と言っていましたが騎士団の人を私用で動かすのは大変なのでは?」


「説明会の時に言っただろう?ある程度のもてなしはさせてもらうと。」


明日か今日には頑張ってあげます・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ