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NPCのみの世界  作者: momosui
草の墓
10/26

4月28日の物語(探索編)(午前)

調査初日午前の部です。

終わりが変ですが作者の体力が亡くなったせいです。

●4月28日 7:30 土の日 草の墓入口近くの河原


「さてと、みんな準備はできた?」


彼らの昨夜の夕食は持ってきた干し肉や黒パンにノックさんが採ってきた野草とかを使ったものだった。

栄養面を考えるとかなりひどいが保存をしようにも保存を表す文字が見つかってないため難しいのである。


 またノックが魔付きや動物が寄ってこなくなる道具を持っていたおかげで交代制で夜の番をしなかった。基本的にそういう道具は高いのだがそこは元商人らしく持ち前の交渉術で比較的安く買ったらしい。

 

 ちなみにラパンは寝るまでの間ずっとお金の節約術を聞き出していた。


「俺たちは出来てるぜ。」


「あ、出発の前にパーティリーダのクーさんにあげたいものがあるのですが・・・。」


「渡して置きたいものですか?」


「この鑑定用の道具です。」


 ノックがそう言って渡してきたのはゴーグルの見た目をしている鑑定用の道具だった。


「なんでこれを自分にくれるのですか?安くてもそれなりの値段はしますよね。」


 鑑定用の道具は総じて高い。それは残骸を読み取るときに魔法を使ってただ読み取るだけでは情報量がどんでもないことになってしまい、それらをまとめるために大量の時間が必要になってしまう。


 しかしある時、メクロチウムという鉱石が見つかった。その鉱石は特定の魔方式を組み込むとヴェリテという魔法鉱石に変わる。


 そのヴェリテに鑑定用の魔方式を組み込むことで自分たちの必要な情報が得られるのだが、その原理が全く不明な上に別の鑑定方法も見つかっていない。


 またメクロチウムも鉱石類全体で見るとそこまで産出量が多くないため、必然的に鑑定用道具の価値は上がってしまう。


「えぇお気づきの通りこれはかなりいい性能を持っています。この道具は私が商売を始めた時に私を今まで雇ってくれていた商会の方がくれたものです。」


「なんでそんな大切なものをクーにあげるんだよ?」


「その人が私にくれたのは商人としてのこれからの期待と人脈を繋ぐための投資のような物です。ですが、今の私は商人ではなく冒険者。ならば私はこれをくれた人の思いを繋ぎ冒険者としての縁を繋ごうと思ったのです。それに私はそこまで強いというわけでもないのでいつ心を失って喪失者になるかわかりませんしね。」


 前半部分だけを聞けばいい話なのだが後半部分が自分はすぐに死ぬと言ってるみたいでクーたちは反応に困っている。


ノックはまるで人の死を見慣れているかのようにすらりとそう言った。


「それでそれを自分にくれるわけですか。」


「えぇそういうことです。お願いですのでこれをもらってはくれないでしょうか。」


 彼の顔を見る限りどうやら本当のようだし本気みたいだ。中には偽物を売りつけてくる商人もいるが、今なら貰った瞬間に鑑定を試せば本物かどうかはすぐにわかる。つまりは本物の可能性が高い。


ここで貰って、もし偽物でもそしたらその時は衛兵に届ければ問題ないか。 


「では、ありがたくもらいます。」


「おぉ!ありがとうございます!」


「ここで一度試してもいいですか?」


「構いませんよ。それで実際に動けば本物ということがわかるでしょうしね。」


「では、試してみます。」


「動かし方は目に着けて『鑑定』と言えばいまクーさんの視界の中心にある物の鑑定が行われます。」


 モノクルのような見た目をしている鑑定用の道具をに装着する。どういう原理かはわからないけど常に目にフィットするようになっていて顔を左右に振っても目から離れない。便利だが少し視界が黄色っぽくなるのが玉に瑕となっている。


 クーは何を鑑定しようかと思っていたが、試しに動かすだけだからと近くにある石にした。


「では試してみます。」


「鑑定。」と唱えた瞬間、視界の中央下の部分に鑑定中の文字と共にバーが表示された。きっとこれは鑑定の進み具合を表しているんだろう。その証拠にバーの上には鑑定中の文字が表示されている。


-------------------------------------------------------------------------------------

【石】評価値:G


・草の墓入口近くにある河原に落ちている石。そこまで大きくもないため使えるのはせいぜい投てき用か何かの土台程度。


-------------------------------------------------------------------------------------


「ちゃんと鑑定したみたいですし本物のようですね。」


「本物と認めてくれたようで幸いです。」


 ノックは満面の笑顔でそう言ってきた。彼は元々本物をあげたつもりでいたのだから安心した様子も見られない。


「本当にこんな高価なものを下さってありがとうございます。」


 これで調査 における鑑定の工程がとても楽になる。


 いつもは鑑定道具を貸し出しているところから借りるのだが、彼らはそこまでお金が無いからあまり良い物は借りられないし、ギルドも冒険者は粗ガサツな人が多いから鑑定用の道具を貸し出してくれないためノックから貰ったこの道具はいろいろな面で助けになるだろう。


「いえいえ、今の私には大きすぎる力です。なら相応の人のところへその力を渡すのが正しいと私は思うのですよ。」


「よし、道具が本物だと確かめたところでさっさと調査に行こうぜ。早くしないと何もできないぞ。」


「ルークの言う通りです。急がないとすぐに日が落ちて活動できなくなってしまいますよ。」


「それもそうだね。よし、じゃあ出発しようか。」


そして自分たちは草の墓へと進みだした。



~~少年少女におっさん移動中~~



●同日 7:42 土の日 草の墓内部入口付近


 草の墓は洞窟と言っていたがおとぎ話に出てきた妖精のせいなのか、それともゲーム時代の名残なのかどちらにせよ全体図はあまり現実的では無い。


 地図を見る限り大きい円の形をした広場が2つ続いており広場同士は小さい道で繋がっており、最後に夫婦の墓があるだけだ。息子の存在の証拠が得られそうなところとしたら奥の墓しか可能性は無い。


「まずは、準備運動がてらにそこら辺の雑魚のやつらを狩ろうぜ。」


 鉄のフルプレートアーマーに大剣を背中に差してるルークが重さを感じさせない足取りで歩きながら提案してきた。


「そうだね。一気に最奥まで行ってもいいかもしれないけどなにか居たら嫌だしね。あたしもそうしたほうがいいと思う。」


 ラパンは斥候役としての力を損なわないためにパンツスタイルに動きやすさと防御力を兼ねそろえている革の鎧を装備している。


 ラパンの父親は部族の中で革をなめす役割で母親が裁縫関係の役割を担っていたためある程度の技術や知識はあるらしく、あの革鎧は自作したと昔に言っていたものだ。


 成長期なのに未だに昔に作った革鎧がピッタリということは推して知るべしである。


「私も早くこの新しいメイスを試したいので、ルークの案に賛成です。」


 サリュは教会から渡される真っ白のローブを着ている。もちろんローブの下には革鎧を装備している。



 ちなみに ローブだと枝とかに引っかかるんじゃ? と疑問に思うと思う。実際クーやルークとかもサリュと初めてクエストを受けた時に思った。でも実際は全く引っかからないのである。サリュに聞いてみたところ「神の奇跡です。」と言ってたので多分サリュにもわからないのだと思う。


 神の力ってスゲー。


「じゃあ、一回近くで軽く狩ろうか。」


「じゃあ、あたしは軽く索敵してくるからみんなは後から慎重に進んできて。」


 ラパンはそう言うなり進行ルートに邪魔になりそうなやつがいないか調べにいった。

 

「ノックさんはいつでも戦えるように準備をして後ろから一緒に来てください。」


「はい、わかりました。」


 ノックさんは胸当てしかまともな防具は着けておらず武器もいたって普通の鉄剣だが、ここならそこまで難易度も高くないから大丈夫だろう。


「おし、それじゃ先頭は任せろ。」


「よし、じゃあラパンも索敵に行ったことだしそろそろ出発しようか。」



~~少年少女におっさん進みだす~~~~兎娘索敵中~~



●同日 8:12 草の墓内部の最初の広場


 草の中にある2つの広場は最初の広場は広場の入り口から次の広場へつながる道の入り口までは最短距離で10kmで2つ目は20kmくらいある。


 広場には野生の動物や水が湧いてるところもあるのでいちいち外へ出て補給をしなくても大丈夫なようになっている。また内部には木や雑草も普通に生えており森のようになっている。


「ふぃ~~ただいまー。」


「索敵おつかれ。」


「おかえりなさいラパン。それでどうでしたか?」


「んっとねーこのまま進むと多分だけどオオカミの小規模の群れと出くわすかなぁ。数は確か5匹だったかな。」


「じゃあ、そのオオカミたちで準備運動といこうか。」


「ぶった切るのなら任せろ。」


「叩き潰すのは任せてください。」


「じゃあ私はサポートをさせてもらいます。」


「あたしは取り逃したやつをもらうよ。」


「なら、自分は魔法で先制攻撃をさせてもらうよ。」


 それぞれの役割も一応決まったところでオオカミの居る場所へと姿勢を低くして進みだす。オオカミなら夕飯にでも使えそなのでここで一匹は狩っておきたい。


 干し肉とかは持ってきているけども何があるかはわからないし、節約できるものは出来る限り節約しないといけない。だけど、味付けに使えそうなものが何もないから味はお察しである。


「あそこに居るよ。」


 ラパンが指さした先には5匹のオオカミがゆっくりと歩いていた。1匹が先頭であとの4匹は2匹ずつ2列で動いている。


 オオカミなんかは鼻がいいから自分たちのにおいがオオカミたちの方に行かないように動いた結果なのかオオカミ彼らの存在に気付いてる様子は感じられない。これならすぐに終わりそうである。


「じゃあ魔法式書くからみんなはその間に準備して。」


さて、何を使おうかな。火はもちろん論外だとすると得意な風あたりを使っておけば問題ないか。


 クーはオオカミの動きに注意しながら『切り裂く風』の魔法式を空中に書き始める。狙いは真ん中か最後尾の2匹だ。


 魔法式を書き終えると右手の手のひらに若草色の魔法陣が現れたのでそれをオオカミたちの方に向ける。あとは魔法名を唱えるだけで発動するはずだ。


「みんな行くよ。」


 ルークたちが頷いたのを確認してから魔力を手のひらへと送る。


「『切り裂く風』」


 魔力が魔法陣へと流れついた瞬間に魔法名を小さく唱える。その瞬間魔法陣から淡く発光しているかまいたちという名の鋭い風が飛び出し、オオカミたちへと向かう。


「よし、俺たちもいくぞ。」


 魔法の発動を確認したルークたちがダッシュでオオカミたちへ詰めていく。


「グルゥゥゥゥゥ」


 『切り裂く風』が当たった1匹目のオオカミは首のところをスパッと切られ何も吠えず絶命したのだけども残り風が近くに居たオオカミを警戒させてしまったみたいだ。


結局は空気を鋭い形にして勢いよく発射しただけだから何かに当たると威力がかなり落ちるなぁ・・・


「おらぁ!」


 クーがそんなことを考えてる間にいつのまにかあっちは交戦が始まってたらしくルークが持ち前の筋肉と大剣でオオカミを真っ二つにしている。


「はっ」


 サリュは素早く息を吸ってメイスをオオカミの頭にたたきつける瞬間だけ息を止める。グチャァをという音と共にサリュの顔に返り血が付く。ローブにも付着したみたいだけどあのローブには汚れが勝手に落ちる魔法式が組み込まれているらしくしばらくすれば真っ白になる仕組みだ。


「ウサギだってたまにはオオカミを狩るんだよっ。」


 ラパンはオオカミの足に傷を与えてオオカミの動きが遅くなった辺りで首の部分をスパッと切っていた。切れた部分からは大量の血が出てるからきっと血管も切ったんだろう。


「ん、ノックさんが居ないな。」


 クーは彼らののパーティメンバーが全員オオカミを倒し終わったので、ノックの状態を見てみようかと思ったんだけども見当たらない。


「あぁ居た居た。」


 きっとオオカミの攻撃を回避しているうちに少し離れてしまったのだろう。ノックはオオカミの脇腹に上から剣を突き刺したまま剣を両手で掴んだまま肩で息をしていた。


 オオカミとのたった1回の戦闘であそこまで息が上がるということはきっと実践経験が全くないんだろう。元商人だから仕方ないと言えば仕方ないと言える。だけど、そうなるとここから奥に進むのは難しいかもしれない。


「おい大丈夫か?」


「あらら~めっちゃ息が上がっちゃてるじゃん。大丈夫?」


「だ、大丈夫ですよ。ど、どうも昔から少しだけ血が苦手でしてね。初戦闘ということも合わさってこうなったんだと思います。」


「もしきついのでしたら入り口までお送りしますが・・・」


「い、いえ大丈夫です。元々は私から頼み込んだことなのでそんなことで止めるわけにはいきません。」


 ノックは息も絶え絶えに決心を露わにした。正直な話、このまま進まれるとどこかで死んでしまいそうだ。


 このまま死なれても寝覚めが悪いと思ったのかクーたちは引き返すよう指示する。


「はっきり言ってノックさん。あなたにはこのまま帰っていただきたい。


「なっ」


 ノックさんは言われるとは思ってなかったのか驚きを露わにする。


「私たちは特殊調査クエストでここに来ているのです。最初は戦闘経験もいくらかあると思い、草の墓の調査を一緒にやることにしましたが戦闘経験が何もないとなると場合によってはあなたを守りきれません。」


「だからこのまま帰れということですか・・・?」


「そうです。もちろん私たちも一応は受けた以上、頼みはやるつもりです。なのでノックさんが私たちについてくるときは調査が終わってからでお願いします。」


「しかし、私は早く最奥に行きたいのです。お願いします!荷物持ち(ポーター)でもなんでもしますのでどうかついていかせてください!」


「ダメです。あなたを守ることになったら自分たちは動きにくくなり危険性が跳ね上がります。」


「うっ・・・」


 ノックもさすがに自分のせいで他人が危険な目に遭うのが嫌なのか言葉に詰まる。


「クーさんの言いたいことは分かりました。しかし私はどうしても最奥まで行きたいのです。なのであと数回の戦闘をしてそれでも足手まといになるとみなさんが判断したのなら私は引き返します。」


 ノックさんは分かってるのか分かっていないのか判断しにくい微妙な提案をしてきた。


「ノックさんはそう言ってるけど、どうするの?ちなみにあたしはどっちでもいいよ。」


「困難に立ち向かう者はみな主より祝福を受け、大きく成長します。彼のためにも私は彼の提案に賛成です。」


「俺はどっちでもいいぜ。」


 どうやら彼らは概ね賛成らしい。「まぁまだ入ってすぐのところだしここで帰らせるのもさすがにひどいかな・・・?」と思ったクーは仲間が賛成だったのも合わさって多数決に従った。


「分かりました。ノックさんの言うようにあと数回の戦闘を見て判断したいと思います。」


「ありがとうございます!」


ノックがついていくことになった!(某RPGの効果音)


この物語を読むためにわざわざ足をお運びいただきありがとうございます。作者です。

もしこの御伽噺が気に入ったのならブクマ等で応援してくださると作者は感極まります


6・03 修正しました

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