(6)就任式
(6)就任式
辿り着いた就任会場には、既に数え切れないくらいのソルジャーアントで、埋まっている。
ソルジャーアント以外にも、ソーサラーアントや、ソルジャーアントに似てるが、違う個体も確認出来た。
うわぁ〜。凄い数だな。
人(蟻)混み苦手なんだよなぁ。
てか、多すぎでしょ。これ。
取り敢えず、壁際を確保しよう。
人(蟻)混みを、掻き分けて壁際に寄る。
暫く待って居ると、ラッパの音が何処からともなく、聞こえて来た。
就任式の会場を、一望出来る高台に、立派な体躯をして、自分達よりも上位種である。蟻達が現れた。
更に彼らは、二足歩行で歩き、鎧甲冑纏い、4本の腕にそれぞれ武器を持って居る。
彼らは、儀仗兵だろう揃いの、黒い鎧甲冑を着込んで居るからな。
将軍見たいな、蟻も居り、立派な鎧甲冑に、マントをして居る。
彼らが現れたって事は、我らがマザー。エンプレスアーマイゼが、もうじき現れるのだろう。
だが、その前に高台に上がった彼等のステータスを、見ようと鑑定を掛けると、全身を真っ黒い布で包んだ、二足歩行の小型の蟻が俺の首筋に、クナイの様な物を突き付けて居た。
「ギ、ギー、ギィ(まだ、成体になってばかりで、知らないだろうから、教えておく。鑑定を掛けられると不快な感じがして、すぐにわかる。まあ、鑑定のレベルが高ければ、不快さは少なくで分かりにくくなるがな。基本的に鑑定をする時は敵か、許可を得てするものだ。今回は知らなかったから許すが気をつける事だ)」と告げると、いつの間にか消えて居た。
あ、あっぶねー。マジかよ!そんな事知らなかったわ。まさに危機一髪だったな。
ふぅー。
後でスキルポイントで、鑑定をしてもバレない、スキルがないか、確かめよう。
冷や汗をかいた後は、冷静に対策を考えて居ると、高台に居る、蟻が一匹前に出て来る。
騒ついている新米の俺達に「ギ、ギィィ、ギギ(静粛に!静粛に!新たな同胞の諸君!我々は君達を歓迎しよう!まだ、生まれて間も無く、言語も覚えたてであろう諸君らは、今現在の情勢を何一つ。まだ、理解はして居ないだろう。なので軽くだが、説明しようと思う)」
前に出て来た、立派な鎧を来た隊長格である。蟻の後ろに居る蟻が、隊長格の蟻に何やら話して居る。
「ギギ、ギーイ、ギ(そう言えば、自己紹介がまだだったな。ジェネラルナムルだ。つまり将軍で諸君らの上司に当たる。では、情勢を説明しよう。我々は今現在エルダー大迷宮と呼ばれる、三つの大陸間を海の中で繋ぐ、大迷宮に巣を作っている。この、エルダー大迷宮は上層、中層、下層、深層、終層の五つに、別れている。上層だけでも、とても広く上層の多くを支配している。と自負する我々でも、上層の全てのエリアを把握しては居ないからな。我らは、この五つの階層の内の、上層、中層、下層に根を張っている。近々深層に向けても進軍する予定だ。まあ、諸君ら先ずは、上層で活躍して貰うから、まだ心配せずとも良い)」
此処までは、理解したか?とジェネラルナムルは、一旦話を切り、全体を見回す。
「ギギ、ギーイ、ギーイギ(さて、全体の話はこれぐらいにして。諸君らに与えられる最初の任務について、話をしよう。今現在、上層で我々と我らの宿敵でもある。蜂共とで、上層にある巨大な花畑を巡り、日々熾烈な争いを繰り広げている。諸君らは蜂共から花畑を守り切り、追い出すことが任務である。現在花畑の三分の一は我らの支配下にあり、残りの三分の二は遺憾ながら、蜂共の支配下にある)」
将軍は、鼻息荒くジェスチャーを加えて、熱弁する。
「ギギ、ギーイ!(諸君らは、蜂共を一掃してこの花畑の確保が最初の任務である。此処にいる諸君らは訓練を終え次第。即座に実践に投入されるだろう。我らの大事な食料源の確保の為に、諸君らの奮闘を期待する!)」
そう言って将軍は下がって行く。
今度は違う個体が出て来る。
「ギギ、ギギ(将軍の有難い御言葉でした。では、皆さんお待ちかねの我らの偉大なる母であり。この一大蟻帝国の皇帝で在らせられる。エンプレスアーマイゼ陛下の御入来です。平伏して待ちなさい)」
いよいよ、俺達の生みの親であり、この蟻達のトップであるマザーがやって来るのか。