(16) 花畑争奪戦⑦
(16)花畑争奪戦⑦
目の前に視線を向けると、別働隊に所属していた殆どの、ジャイアントオルミーガが息絶えて居る。
辛うじて生きているジャイアントオルミーガも毒に身体を蝕まれていた。
ソーサラーアントは空中を縦横無尽に動く、蜂に中々上手く魔法を当てられず苦戦していた。
同じランドアースは自身の前に土壁を形成して防御を固めている。
早速手に入れたスキルである、陽炎魔法を使う。
広範囲に効果のある、蒼色の炎の渦が空中に出現した。
蒼の炎は大きさを増していき、周辺一帯の空を覆い尽くした。
幸いこの周辺一帯の空を飛んでいたのは、蜂達のみで味方の蟻は飛んで居なかった。
蒼の炎が消えると其処には何も存在せず、全ての蜂は燃え尽き塵も残らず消え失せた。
疲労感が襲って来たので、自身のステータスを確認してみる。
【ランドアース Lv3
名前:なし
ステータス
HP:195/195(緑)
MP:121/201(青)
SP:130/130(黄)
:130/130(赤)
攻撃力:149
防御力:190
抵抗力:128
魔法力:164
速度力:115
スキル
『鑑定Lv5』『上昇志向Lv3』『噛み砕きLv1』『模倣Lv5』『PA%=S』『翻訳Lv3』『穴掘りLv6』『土木魔法Lv2』『指揮Lv2』『連携Lv4』『外道魔法耐性Lv1』『気配遮断Lv3』『聞き耳Lv1』『毒耐性Lv1』『陽炎魔法Lv1』『地獄の炎Lv1』『浄化の炎Lv1』『殺蟲魔法Lv1』】
一回の使用でMPを80も消費した。
後一回しか使用は出来ないな。
使用するタイミングを考えないと行けないが、目の前には弱り切り瀕死の状態に陥っている、ジャイアントオルミーガ達が地面に横たわっている。
はぁ、魔力が自然に回復すれば良いのにな。
そんな便利なスキルってあったか?
スキル欄を見て見つける。
おっ!あるじゃん。
体力回復系もあるな。
どちらも高額ポイントだが……取るか。
魔力回復ー1500ポイント
体力回復ー1500ポイント
両方を取得する。
残りポイント97,500→94,500
これで良しっと。
〔新たに『魔力回復Lv1』を獲得しました。新たに『体力回復Lv1』を獲得しました』
まあ、気力回復ってのが、無かったのが残念だな。
だが、まだ魔力回復はLv1なので少しずつしか魔力は回復していない。
うーん。浄化の炎がどの程度MPを消費するかわからないから、使いたくないが仕方がないか。
こいつらは俺の盾でもあるしな。
そう思いながら俺は浄化の炎を発動した。
白い炎が傷付いたジャイアントオルミーガ達を、白い炎が暖かく包み込む。
傷口が燃え段々と回復して行く。
MP:15/201(青)残りMPも殆ど底がついた。
これで暫くは魔法系は使えないな。
後はSPを消費するスキルか、単純に腕力に物を言わせた攻撃手段ぐらいか。
浄化の炎が消え去ると、そこには満身創痍であったジャイアントオルミーガの姿では無く、完全回復を果たしたジャイアントオルミーガ達が立ち上がっていた。
口々に感謝の言葉を告げられた後、彼らはマオルヴルフに苦戦している正面戦線の援護に向かう。
他のソーサラーアントやランドアースも向かうが、俺は暫くは身を潜めてMPの回復に専念しよう。
幸いここは花畑だ。
花の蜜には体力回復と魔力回復の効果がある。
その為にここは、どうしても確保したい場所である。
こっそりと気配遮断を使用して、空の飛ぶ蜂や他の仲間の蟻達に、見つからない様に動く。
花からは美味しそうな匂いが漂う。
巨大な花を登り花の蜜を吸う。
う、うま〜い!!
何だこれ!
マジで美味しいんですけど!!
これは夢中になる理由がわかるな。
よし!次の花だ!
他の蟻達が、マオルヴルフと蜂の残党軍と戦っている間に、俺は花の蜜を堪能して居る。
まあ、別働隊としての任務は完了したし、その後の指示は、指揮官であったサージェントアントが死んだ事で居なくなったしな。
だから別に命令違反ではないのだ。
特に蟻達にそれ程仲間意識はないが、今は虎の威を借る狐だとしても、此処は世界一危険危険であるエルダー大迷宮だ。
利用出来るものは利用しない手は無い。
それにここのボスは、あのエンプレスアーマイゼだ。
いつ眷属支配をされて意識を持って行かれるかわからない。
本能的にアレにはまだ敵わないからな。
まあ、マザーとはもう会わないだろうけどな。
そう思いながら花の蜜を吸い続ける。