剣術稽古-2
すみません、今日は少し短めです。
「手首をもっと柔らかく使って! 右足の蹴り出しが甘いですよ!」
今日の稽古もひたすら打ち込みであるが、初日にやったような打ち込みとはちょっと違う。
お父さんは返さずにアドバイスを飛ばしながらただひたすら受け続け、僕はお父さんが構えた場所にひたすら打ち込み続けるという稽古だ。
反射神経も鍛えられる上に、一打ごとに欠点を理解できる個人的にはとても充実した稽古である。
しかしその分一瞬のうちに考えなければいけないことが多く、小回復では回復出来ない疲弊の仕方をする大変な稽古でもある。
「もっと脇を締めて! 外したらすぐに構え直す! 敵は待ってくれないんですよ!」
「やーーーっ!」
「振りが雑になっていますよ! ほら休まず右!」
「はぁ…はぁ……げほっ…」
「お疲れ様です。よく頑張りましたね、街の兵士よりもよっぽど根性ありますよ。親としてとても誇らしいです。さぁ、お昼ごはんにしましょう」
よく激しい運動をした後は食べ物を食べれないという話を聞くが、前世の僕は全くそんなことはなかった。
そんな話を聞くと「貧弱な奴らだなぁ」とさえ思っていたのだが、前言撤回、前世での失言ならぬ失思を撤回しよう。
運動した後は食べられません!
無理に食べようとすると吐きそうになるんだね。
お昼もほとんど喉を通らないまま午後もひたすら打ち込みである。
小回復全開で6時間ひたすらに、頭も全開で打ち込んでいく。飛ばされるアドバイスをスポンジのように吸収しながら。
「一度言われたことを2度言われてはいけませんよ! もっと頭を使いなさい!」
「や゛ーーーーっ!」
そんなことわかってると思いながらもヒステリックに打ち込む。
後半はまるで親の敵のように親に向かっていった。
「見違えるほど良くなりましたね。この短期間でこれほどとは、我が子ながら恐ろしいくらいです。」
「はぁ……はぁ……お父さんが、こんなに、厳しくす、るからだよ……」
「ほんとによく頑張りました。明日からは実践的な稽古にしましょう」
3週間打ち込み続け、僕はようやくお父さんが「止め」というまでミスらずに打ち込み続けることが出来るようになった。
最早剣が右手の一部であるような感覚となり、やっと思った通りの打ちが出来るようになったと同時に、お父さんの凄さが本当の意味で理解できた。
結論化物だった。
本当に一体どのくらい剣を振ればこの境地に達せられるのだろうか。
そして今日の夕食の席、お父さんは信じられないことを言った。
「お義父さん、明日のしごとなんですがハルキと二人で行ってもいいでしょうか」
「……へ!?」
僕は思わずフォークを落としてしまう。
「レオ君……正気か?」
「はい。ハルキは異様な速さで剣術を習得していっています。そろそろ実戦で立ち回りを学ばせたいのです」
実践的な稽古って実戦的な稽古の事だったのか。
というか仕事ってなんなんだろう。
まさか人殺し、なんてことはないよね。
「君が一緒なら心配ないじゃろうが。ハルキ、どうなのじゃ?」
「ぼ、僕!? うん、どうと言われても……。仕事内容も良く知らないし」
「ああ、まだ教えていなかったか。ワシらフォスター家は代々このイアールンヴィズの森を魔物から守る『森守』を生業としておるのじゃ。毎日森を見回って魔物を見つけたら退治しておるのじゃよ」
「じゃあ、仕事って魔物退治ってこと?」
「そうですね」
実戦的どころか実戦だった。
まあ最悪魔法を使えばなんとでもなるのかな。
「……うん、やってみる」
「そうか? うむ、では良かろう。婆さんとミリアをそれで良いか?」
「はいよ(ええ)」
「ありがとうございます。じゃあハルキ、明日は5時半出発だから今日は早めに寝るんだよ」
「はーい」
さあ、遂に魔物退治である。
と言っても1回戦ったことあるんだけど。




