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しめじ三郎 幻想奇談シリーズ

しめじ三郎 幻想奇談〜年の差婚〜(888文字小説)

作者:しめじ三郎
 新興住宅地の一角に親子程も年の離れた夫婦が新居を建てて引っ越して来た。夫はすでに会社を定年で退職していた。妻はどう見ても三十代、もしかすると二十代ではないかと、近所の主婦達は囁き合った。
「奥さんじゃなくて、愛人じゃないの?」
 そんな事まで噂する者もいた。男達の多くは、美貌の若い女性と結婚した夫を羨ましがった。
 二人が引っ越してきてからしばらくして、誰も夫の姿を見かけなくなった。時折、若い妻が家の近くの人に夫を見かけなかったか、尋ねたりしていた。中には、警察に相談した方がいいと助言する人もおり、妻もそうですねと頷き、力なく微笑むと、家に入ってしまったそうだ。妻は近くの交番に相談に行き、その後で警察署に出向き、捜索願を出した。だが、夫の行方は一年経ってもわからないままだった。
 そんなある日、その家の隣の男が、妻が庭に幾つもの深い穴を掘っているのを見かけた。不審に思った男は、交番に駆け込み、関わりたくなさそうな顔の巡査を無理矢理引っ張ってきた。男は以前から、若い妻を観察しており、妻が、殺した夫をほとぼりが覚めた頃、庭に埋めようとしているのではないかと勘繰っていた。巡査は渋々、若い妻にどうして穴を掘っているのか尋ねた。
「生ゴミを埋めようと思って」
 潤んだ目で言われた巡査は頬を赤らめてしまった。それでも男に背を突かれ、巡査は更に、
「穴を調べさせてもらえますか?」
 拒否されるかと思った巡査だったが、
「ええ、どうぞ」
 あっさり承諾され、けしかけた男と顔を見合わせてしまった。そして、男と二人で汗まみれになって穴を掘り返したが、どこまで掘っても生ゴミしか出てこなかった。男は不満だったが、巡査に促されて詫び、若い妻も微笑んでそれを受け入れた。若い妻は、夫が失踪した可哀想な人だと皆が思うようになった。
 それから更にしばらく経った。若い妻の家に生ゴミ処理機が五基届けられた。そして、妻はまた庭に大きな穴を掘り始めた。もはや隣の男も興味を示さない。
「やっと、大きなゴミが片付くわ」
 両方の口角を吊り上げて笑う顔は一体何を片付けられる喜びを感じているのか? それは誰にもわからない事である。

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