私のことを中二病と言うが前世がどうとか言うお前はどうなんだ?
ヤマなしオチなし
俺たちの冒険はまだ終わらねぇ的なラストが待っているはず!
『私、中野雪!花も恥じらう高校生よ!今日から2年生の生活が始まるの!とっても楽しみ!ウフフ、新しい友達できるかな?』
そう書かれた紙を持って私は固まっていた。ここに書かれている通り、確かに私は中野雪ではある、がこんなぶりっ子ではない。
その文を読んで、私が何も言えずにいると上から声が降ってくる。
「ユキ、どう思う?お前の自己紹介考えてきてやったんだから感想くらい聞かせろよ」
声の主は私の幼馴染、墨森明季良である。こいつは朝から私を待ち伏せし、突然「これを読め」と紙を渡してきた。
やっとまともに頭が働けるようになったので、私は両手を伸ばし腕を右腕を上に、左腕を下に動かした。
ビリビリッ
見事、紙は真っ二つに裂けた。
「あーーー!なにやってんだよ。俺が20秒も寝る間を惜しんで書いてやった自己紹介文に!」
「たいして時間掛かってないじゃないか!」
私が紙を破いたらアキラが急に喚ぎだした。しかし、その叫びは大したことじゃない。
「だってお前、俺がこういうの考えてやらないと何言うか分かんねぇだろ?」
幼馴染よ、それは杞憂と言うものだ。
「はぁ、アキラ……お前は私をなんだと思ってるんだ?自己紹介くらい自分でしっかりできるぞ」
私の言葉を聞いてアキラは眉を少し上げた。ムッとしたような感じだ。そして口を開いて言う。
「だってユキは中二病じゃん」
これだ。最近アキラは私に対して中二病という言葉をよく使う。二言目には「中二病」なのだ。
「その中二病が何かは知らないが、私はそのように言われるようなことをした覚えはないぞ」
嘘だ。本当は知っている。中二病がなんなのかは理解している。だって体現者だもの。ついでに言えば邪気眼系だな。しかし、私はそれを表面上認めることはしないと決めている。理由などない、なんとなくだ。
私は右腕に包帯を巻いている。怪我をしたとかではない。ただ闇の力を抑えるためだ。本来なら眼帯もしたかったのだがアキラが「それだけはダメだ」と言ってきたので止めといた。
「ユキは中二病じゃないか。……そうでなくても変なこと言うけど」
「おい、聞き捨てならんぞ。私がいつ変なことを言った?」
「最近だと、『いでよ暗黒波動龍‼︎』とか『白銀の徒よ‼︎』とか」
「確かに言ったが変なことではないだろう?」
「十分変だ‼︎」
やれやれ、こいつは闇の力が理解出来てないと見えるな。ここはひとつ説明をしてやるか。
「いいかアキラ、暗黒の力というのはだな……、
〜割愛〜
そして真祖たる魔界のモノに呼びかけ、
〜割愛〜
ということで得られる力の総称だ。もっと細かく言うなら、
〜割愛〜
そしてこれらを応用して天に仕える聖霊からも力を得ることが……、
〜割愛〜
ということだ分かったか?」
「……まさかここまで設定を練っていたなんて」
む、失敬な。設定ではない、私が編み出した真理だぞ。全くこいつは私の言うことを信用しない。よく今まで幼馴染としてやってこれたものだ。
「げっ、ユキが長い話したから学校に遅れる」
「はっ、ヤバッ……、なに慌てることはないぞ。闇の力を……」
「いいから走るっ‼︎」
「へっ?おい待て!アキラ〜」
▽アキラ視点
俺の名前は墨森明季良。自分で言うのもなんだが家は金持ちだ。けど、それは家のことであって俺のことではない、それにそんなことはどうでもいい。
俺には幼馴染がいる。今一緒に走っている中野雪だ。こいつは昔からほっとけないヤツだった。昔から、少し目を離すと怪我をしていたり、道に迷ったり、転んだりと、とにかくほっとけないヤツだ。幼心ながらに「コイツは俺が側にいないとダメだ」と思ったものだ。
で、中学に上がった頃には、さすがに転んだりはしなくなったが、新しく心配になる事象を抱えてきやがった。それは【中二病】だ。いつの間にか言動がソレっぽくなり、周りから引かれていった。だから俺はコイツから離れられない。目を離したら何をしでかすか分からないから。
それに……弱みがあるからな。
けど今は遅刻を回避するためにただ走るだけだ‼︎
▽ユキの家
「しかし、朝は大変だったな」
「何が「大変だったな」だ。ほぼお前のせいだろうが」
今私たちは、私の家にいる。どういうわけか学校が午前で終わる時はアキラが家に来るのが当たり前になっていた。
まぁ、確かに朝のことは私が悪いのだろう。ということで私は昼食の中から卵焼きを箸でつまみアキラの口の前へと持っていった。
「ほれ、詫びの印だ」
「え?へ?」
アキラは何がなんなのか分からないという顔をしている。そして顔を真っ赤にした。
「どうした?要らんの……」
「いえ、要ります。つか下さい‼︎」
そこまで腹が減っていたのか。アキラは卵焼きを口の中に入れる。そしたら耳まで真っ赤なった。辛いものなど使われてないはずなのに何故だ?
「しかし、ユキの母さんの飯は美味いな。ユキも見習えよ」
アキラは何か心情を隠すように言う。しかし、内容は失礼なものだ。
「私だってそれなりに上手いぞ。それに暗黒の力を用いれば……」
「料理に物騒なもん使うんじゃねぇ」
アキラは赤かった顔を一瞬で元の色に戻し、昼食を食べることに戻る。
むぅ、何が悪かったのだろうか?
▽アキラ視点
……スゲェ焦った。ここまでナチュラルに“あーん”をしてくるとは、やはり難敵だ。しかし、全く持って意識されないというのは悲しい。ああ、ユキの母さんが哀れみの目でこちらを見ている。
くっ、でもいつか意識させてやる!
▽ユキ視点
始業式から2日後の昼休み。私は学校でも指折りの令嬢であり友達の綾野玲奈を誘い、屋上でお弁当を食べていた。本当はレイナだけを誘うつもりだったのに、アキラとレイナの許嫁の木森春雄まで付いてきた。至極遺憾である。
高校生で許嫁というおかしな話がでたが、この学校ではなにも不思議なことではない。私たちの通う学校は金持ち学校だ。はっきり言って私が場違いな程に。
なぜ私がこのような学校に通っているか。それは私が勉強ができるからというのと、アキラが「来い来い」ってしつこかったからだ。
なので私はこの学校では相当浮いている。なのに、この学校でも指折りの令嬢であるレイナと友達になれたのは、はっきり言ってアキラのおかげだろう。
レイナはツンデレシャイな性格で友達が少なかったとか聞いていた。だから私と引き合わせたいとかの旨をアキラが伝えてきて、その日にGo、そして今に至るのだ。まぁ、私の方がよく喋るし、我が強いからツンデレシャイなんかには負けないけどな。今ではレイナとはいい友達だ。
そしてレイナの許嫁ハルオ。これに関しては、私はちょっぴり苦手だ。このハルオはレイナを溺愛しており、私がレイナと話していると鋭い視線を感じる。十中八九コイツの仕業だろう。実害があるわけでもないし放置しているが、若干居心地が悪い。まぁ、いざとなれば暗黒の力でチョチョイだがな。
「ユキちゃんは本当に可愛いですわ〜」
そう言って私に抱きついてくるレイナ。ちょっ、まだ私食べてるから!
「レイナとユキさんは本当に仲が良いですね」
言いながらも目が笑っていないハルオ。ちょっと怖いと思ってしまった。でもこんなことは日常茶飯事だ。レイナの態度は今でこそ“どこがツンデレシャイやねん”だが、昔は赤面しながら「あんたと友達になりたいなんて、お、お、思ってないんだからね‼︎」と言われ逃げられたものだ。その時のレイナが今は跡形もない。
「レイナ。気持ちは嬉しいが、そろそろハルオが怒りそうだから離れてくれ。奴の目が怖い」
さっきから肩を震わせてるんだよ。いや、怒られるくらいどってことないさ。暗黒の力があるからな。
「え〜、別にいいじゃない。ね、ハルオ?」
「ええ、全然、構いませんよ」
ああ、眼鏡の奥にある双眸はニコリともニコリともクスリともしていない。この腹黒ヤンデレ眼鏡。思ってることがあるなら言えよ。私も昼飯食べにくい……、ぐわっ、レイナ揺らすな。
「レイナその辺にしとけ。ユキが弁当ぶちまける」
「あら、そうでしたか。すいません、配慮が足りなくて」
「いや、気にしてない」
意外なことにアキラがレイナを制してくれた。むぅ、こういう時は役に立つんだな。
そう思っていたらアキラが私に寄ってきた。
「ん?」
私が疑問に思っていたらアキラが顔を近づけてきた。そしてアキラは私にだけ聞こえる声の大きさで、
「後で話がある」
と言ってきた。唐突だな、おい。いや、それ登校中でもよかったのではないか?
▽アキラ視点
なんであんなことを今、この場で言ったのか。俺にもよく分からない。でも大事な話があるのは確かだ。横ではレイナが「ユキちゃんに何するんですの〜」とか言っているが関係ない。
俺はユキから離れて元いた位置に戻る。
「忘れんなよ」
と言葉を投げた。ユキはなにも言わずに頷いてくれた。
日頃ユキを「中二」とバカにしてきたが、こんな話をユキにする日がくるとはな。
ま、いっか。ユキだから。
▽ハルオ視点
目の前ではレイナがユキさんを庇うようにしながら、アキラに何か喚き散らしている。ああ、その姿も神々しく見える、じゃなかった、いやその話でもいいんですけどね。
僕はレイナが好きです。それはもはや周知の事実であり、僕自身もそれを隠そうとはしない。だって隠す理由がないんですもの。それにこれだけ大っぴらにしておけば男は誰もレイナに寄ってこなくなる。
そんなレイナには友達がそんなにいません。僕はそれでもレイナが好きですが。それをレイナも気にしているようなのでどうしたらいいかとアキラに相談しました。アキラは気の合う恋愛相談相手です。今は少しばかり相談したことを後悔しています。
そしたらアキラが「なら俺の幼馴染を紹介するよ」と言ってきました。アキラは人を見る目があるのでそれに関しては特に心配することはありませんでした。
そして実際にその幼馴染とやらを見た時は少々ビックリしたものです。まず言動がよく分かりません。「暗黒の力」だとか「天の系譜」だとか、どう考えてもあちら側の人間です。しかし、それに呆れながらも楽しそうにしているアキラを見て確信しました。
アキラが好きな女とはこの娘なのだ、と。
ならば、と多少はおかしな言動を流すことにしました。これも今は少し後悔しています。
実際にレイナとユキさんを合わせてみるとやはり、というかなんというか、ユキさんのおかしな言葉とそれを聞いて混乱するレイナというカオスな結果になりました。しかし、根気よくレイナに話しかけていったユキさんの努力て今では2人はいい友達となっています。
ユキさんと仲良くなってからレイナは少し明るくなりました。僕としてはもう少し節度を持って接していった方がいいと思うのですがね。ユキさんといる時は、僕とあまり話してくれなくなってしまいました。それに少し後悔の念がでます。
でも、レイナはユキさんといる時、昔みたいに笑ってくれるようになりました。だから彼女の功を認めて、感謝しているのです。不思議と怒る気にもなりません。
だから、ユキさん。僕が「怒る」ことはないんですよ?
あ、またレイナが笑った。
▽ユキ視点
下校時間になった。私のクラスの教室の前には、いつものようにアキラが私を待ってくれている。
さて、帰るとするか。私は席を立ち、教室のドア、アキラの元へ歩く。
「待たせたな」
「いや全然。HR終わったばっかだろ」
平然としているアキラ。しかし、
「いつも思うのだがどうやってチャイムと同時にそこに着くのだ?因果でも捻じ曲げているのか?」
「すぐ隣の教室じゃん」
「それでもだ」
この男は掃除があろうと委員会があろうと常にドアの前にいる。ちなみにアキラは生徒会に入っているらしい。らしい、というのは私がアキラのそういった姿を見たことがないからだ。あとレイナとハルオも生徒会なんだとか。出来る人間は違うね。あ、アキラは出来る人間に入ってないから。
「それよりさっさと帰ろうぜ。話もあるし」
「ああ、昼に聞いたアレか。で、なんなんだ?その話とは」
「後で話す。ここだと人が多いからな」
そう言って歩き出したアキラ。それを追うように私は歩き出した。
▽アキラ視点
「いいか。これから話す話はちょっとばかしおかしい。けど真面目に聞いてくれよ」
「その前置きが不安なのだが……まぁいいだろう。話せ」
俺たちは通学路の途中にある、あまり人が来ない公園のベンチに座っている。
俺が言った前置きの通り、これからする話はおかしい。いくらユキでも信じてくれないかもしれない。けど、おれはユキに話すと決めた。決めたったら決めたんだ。
「いいか、実は……」
俺が話し出すとユキが真面目な顔をしてくれた。こいつは俺の悩み事だと思っていてくれるのだろうか。まぁ、実際そうなんだが、真剣に俺の話を聞いてくれるのか。そんな姿に少し喜んでしまう。しかし、これからこの表情が盛大に変わるんだろうな、と思うと少し面白……悲しいなぁ。
「俺には、前世の記憶、というのがあるらしいんだ」
言い切った。俺は言えた。遂に、誰にも言えずに抱えてきた悩みを!
……ユキはやっぱり顔を顰めている。
「いやいや、“ちょっとばかしおかしい”どころじゃないだろう」
「そうだな。でも本当にあるんだよ」
アキラは至って真面目な顔をしている。エイプリルフールを今日だと勘違いしているのか?
▽ユキ視点
この男は今なんと言った?「ゼンセノキオクガアル」でしたっけ?いや何言ってんだこいつ。
「だいたい、そんなものあるわけないだろ」
「じゃあ、おまえの『暗黒の力』はどうなんだよ」
「それは私の導き出した真理だからな」
お前の考えたゼンセノキオクとやらと、私の暗黒の力を一緒にしないで欲しいものだ。
「それに……」
「それに?」
「日頃私を中二病と言っているお前はどうなんだ?」
「はぐっ⁉︎」
これはどうやら効いたようだ。よくよく考えてみれば、言っていることの内容に大差はないものな。
「それでもっ、俺のは本当なの!」
「……なんか見苦しいな」
私がそう言うとアキラは項垂れた。さすがにこれは憐れだな。まぁ、こんな与太話も聞くぐらいならいいか。
「まぁ、そう落ち込むな。話ぐらいなら聞いてやる」
「信じてないくせに……」
「まあな。信じるか信じないかは内容によるな」
少し恨みっぽい目でこっちを見ていたアキラだったが、私の言葉を聞き背筋を正して私の目を見る。そしてアキラが口を開いた。
「あのな、俺たちのいる世界は俺の前世で言う“乙女ゲーム”というものに酷似しているんだ」
一言目からトンチンカンな内容だった。
▽アキラ視点
ああ、やっぱりな反応だ。俺が一言放ったらユキは一瞬でジト目になった。それでも構わず続ける。いつもお前の中二設定を聞いてやってるんだ、偶には俺の話を聞け。
「前世の記憶って言うほど大したものなのかは分からないけど、俺にはこことよく似た世界で暮らしていた記憶があるんだ。で、その記憶には姉のような人がいてな、この世界はその人がやっていた乙女ゲームの設定に似てるんだよ」
うわぁ、ユキの仏頂面久しぶりに見た気がするな。気持ちは分かるがまだ続けさせてもらうぞ。
「そんで問題なのが、俺がその乙女ゲームの攻略キャラクターの1人ってことだ。あとハルオもな。んでレイナは悪役なんだよ」
「それはレイナに失礼な話だな」
コイツは……、俺が攻略キャラってところに引っかからないんだな。ちょっとヘコむわー。でも今は気にしてる場合じゃない。
「だろ、でも俺の記憶によるとそうなんだよ。ついでにヒロインは明日転校してくるヤツだ」
「はぁ?急にもほどがあるだろ?これで明日転校生なんてきたら嫌でも信憑性上がるじゃないか。いやまだ信じた訳じゃないぞ」
なんかユキがマトモなこと言ってる。違うな、俺の言ってることがオカシイだけか。でもなぁ、本当のことだしなぁ。
「まぁしかし、あれだ。その記憶とやらが本当のものだとして、一体何がどう困るんだ?」
「それは……、俺の気持ちと、関係なくヒロインに気持ちを寄せるとかが、怖くて……」
▽ユキ視点
こいつは何を言っているんだ?と思った。でもアキラが怖がっていることを聞いてみるとなんとなく……なんとなくだが納得した。要するにあれだ、稀にネット小説で見る『キョーセーリョク』とやらが怖いということなのだろう。だがな、ハッキリ言って、
「怖がることじゃないだろう」
としか言えない。そう言うとアキラは驚いたようにこちらを見る。
「でもっ、俺は、そのもしもが怖いんだよ。俺の気持ちを無視されて、それがこの世の正しい在り方だ、って運命に、この世界に示されたら、俺の今の気持ちは……」
ほう、怖れてる割にはよく喋る奴だな。そんなお前にはこの言葉をくれてやろう。
「ヘタレ」
私のプレゼントにアキラは目を丸くする。そして何かを言いかけるが、その前に私が口を開く。
「私の幼馴染がそんなモノに負けるような奴なのか?情けない。それにそんなモノがあると決まったわけでもないし、私はまだお前の話を信じた訳じゃない」
「ユキ……」
アキラは依然として驚いたようにこちらを見る。どれだけこんなことで悩んでいたんだか。全く呆れる。ここは1つ安心させてやるか。
「それに、もしそんなモノがあっても、私が暗黒の力でなんとかしてやるさ」
これは大サービスだぞ。
▽アキラ視点
コイツは……、いつも変わらない。いつだって俺の予想を裏切るように俺の欲しい言葉をくれる。
なんでだろう。説得力の欠片もないのにこんなに安心してしまうのは。これが惚れた弱み……とかか?
しかし、これまたトンチンカンな言葉だな。思い出すと笑いがこみ上げてくる。ユキが「だから安心しろ」と言ってきたら、堪えられなくなった。
俺は声を大に笑った。
▽ユキ視点
「そんなに笑うことないじゃないか……」
私の言葉を聞いて盛大に笑ったアキラを睨みながら言う。
「そうだ……ブフッ!……悪いな、励ましてくれてるのに……クッ‼︎」
このっ……まだ笑うか!そう思っていたらアキラが私の頭に手を乗せてきた。
「ありがとうな。なんか元気出たわ」
アキラは何か吹っ切れたように、私に微笑みかける。今は日が傾いていて、朱い光がアキラの髪を頬を染めて、なんだろうな。画になるという感じか。
まぁ、アキラは自称攻略キャラ(笑)だけあって美形だものな。
「それは良かった」
私はアキラの手を払いながら言う。正直言って、そんなことされても見下されてるみたいであまり好きじゃない。
「ああ、俺は負けないよ。ヒロインにも……ユキの鈍感にも」
後半は私には聞こえなかった。とりあえず目標を持つのはいいことだろう。言ってからアキラが立ち上がったので私もベンチから立ち上がる。
「よしっ、ユキの家まで競争な」
そう切り出してアキラが走りだした。
「フライングじゃないか〜」
アキラの後を追うために私は地面を蹴った。私たちの頭には明日とか、転校生とかなんてもうない。
今は走るだけ……
ア「お前……足速いな……」
ユ「ふふん、よかろう♪」
ア「女子にフライングして負けるとか……」
ユ「情けないな」
ア「グッ!」
ユ「それよりあの“前世の記憶”とやらをもっと詳しく聞かせてもらおうかな?ん?」
ア「えっと〜、それはまた今度‼︎」
ユ「あっ、逃げた!……逃げ足速っ‼︎」
お読みいただきありがとうございます。
もっとちゃんとしたヤツいつか書きたいと思います。
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