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6話 魔獣討伐(中編)

「ところで、魔獣とはどのような存在なのですか?」


 私はフーリュに、魔獣について質問をした。

 魔法学校で一度聞いたことはあるのだが、王都では遭遇する機会もないので、どのような存在なのかを忘れてしまっていた。


「魔獣の元の姿は動物なのですが、魔術によって狂暴化してしまっています。本当は退治するのではなく、元の姿に戻してあげられると一番よいのですが、そのためには捕えて教会で浄化してもらわないといけません」


 狂暴化している魔獣を捕えることが困難なことはよく分かる。

 できれば教会で浄化してあげたいのだろうが、魔獣が群れとなっている今回の場合、一匹一匹を捕まえている余裕はない。


「因みに、私達が使っている魔法と魔術は何が違うのですか?」


「原理は同じなのですが、魔法は術者じゅつしゃの精神状態に大きな影響を受けます。人々に不安や恐怖を与える魔法のことを、この世界では魔術と呼んでいます」


「フーリュの説明、とても分かりやすかったです。ありがとうございます。あ、そろそろ、魔獣の討伐に出発する時間でしょうか?」


「はい、そのようです」


「……お気をつけて、決して無理はなさらないでくださいね」


「ありがとうございます。エスタレア」


「イヴェエルにも同じようにお伝えください」


「分かりました。イヴェエル兄さんにも無理はしないようにと伝えておきます」


 笑顔でそう言うと、フーリュは討伐隊の集合地点へと向かった。



「イヴェエル、フーリュ、どうかご無事で……」


 私は二人の無事を祈った。

 

 ◇


火炎魔法ファイアー!!」


 グアァァァァァ!


 イヴェエル兄さんが放った火炎魔法が魔獣に直撃した。


「イヴェエル兄さん、防御魔法は私に任せてください」


「ああ、頼りにしている。だが、危なくなったら、約束通り自分を護ることを優先するんだぞ」


「分かりました」


 私の得意な魔法は結界魔法。

 イヴェエル兄さんが攻撃に特化した魔法を学んでいたことは知っていたので、兄さんを護れる魔法を覚えたかった。


「でも、魔獣が群れを成していると聞いていたのですが、数が少なくありませんか?」


「それは俺も妙に感じていた。もっと、無数の魔獣と戦うことを警戒していたのだが……」


 イヴェエル兄さんも違和感を感じているようだ。


 ズドーーーーーーン!!


「何だ!?」


 突如、後方から大きな爆発音が聞こえてきた。

 

 その方角は……


「フーリュ!!」


「はい、分かっています!!」


 イヴェエル兄さんも同じことを考えたのだと瞬時に理解した。 

 私達は急いで、エスタレアのいる後方支援部隊へと馬を走らせた。


 さっきの音は、後方支援部隊を護っている魔法師が放った魔法の爆発音に違いない。

 爆音が続いていることから、魔獣との交戦が続いていることも予想される。



「エスタレア、私達が到着するまで、どうかご無事で……」


 かつてないほどの焦燥感しょうそうかんを感じた私は、そう天に祈らざるを得なかった。

6話の最後まで読んでいただきありがとうございます!!

後編に続きます。

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