【予言の書 P0392DI】 「新たな『ROUJIN TOSHI』システムで、老人にやさしい福祉を実現」
もう何も生み出しもしない、ただ生きているだけの人間のために、なぜこんなにもお金と労働が投入されるのだろう。そう思ったことはないだろうか。
老人介護と簡単にいうが、実際、自分の親や家族が、介護を必要とする状態になった場合、その世話をする人は、ほとんどの自由を奪われることになる。好きな場所に遊びにいけないだろうし、旅行どころか、ただ遠出をする買い物だって無理になるかもしれない。
毎日おしめを替えて、下の世話をして、風呂に入れて、服を着替えさせて、わけのわからない会話に相づちを打ち、いくら苦労をしても、家族なんだからやって当たり前と言われて、やらない奴は極悪非道な人間と決めつけられる有様。
四十代、五十代と、その人が一人の人として、普通に社会で活躍したとして得られる利益や労力を、たった一人の要介護老人のために、すべてを犠牲にしなければならない現実。
この世の地獄である。
現代人は、最低でも六十代まで働き続け、それ以降、二十年、三十年と何もせず、ただ生きているだけの老人を、若い人が汗水垂らして納めた税金で生きながらえさせている。
これがなんのためになるのか。
しかも今の若者が治めている年金制度は、彼らが年老いた頃には、破綻している可能性すらあるのだ。
だが、昨年より投入された新しい『ROUJIN TOSHI』システムの活用によって、すべての問題が解決することになるだろう。
これは画期的なシステムである。
国にとって、働き盛りの人にとって、負の遺産でしかなかった老人が、金脈へと変化する。
老人だけではない。引きこもりをしている若者や、中年層への転用も期待されている。
パラダイムシフトと言っても過言ではない。このシステムによって、国も、家族も、みな救われるはずだ。