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心音と凪

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旭の分かりそうで分からない少し分かる例え

小学生旭「どうしたん?豆腐の角で頭殴られたみたいな顔して」

小学生湊「拍子抜けってことか?普通に豆腐の角で殴られてたらグチャってなるし嫌だろ。そもそもどうやって握るんだよ」

小旭「まぁ、細かいこと言うなよ」

小湊「にしてもサプライズはありませんってサプライズをされるとは思わなかったな」

小旭「むしろ最先端面白いかなって思って」

小湊「氏ね!」

小湊「辛辣!面白くないなら面白くないで良くない!?」

裏庭生徒達には基本そう呼ばれるところで私は一人の男子生徒と向き合っていた。

御堂くん暴力沙汰の噂を聞く人だ。

まぁ、お兄ちゃんのブラックリストに乗って無いってことは大丈夫なんだろうけど。


「あの、佐野さん!す、好きです!」

思った以上に純情な感じだった。

もっと軽いノリで来るのかと、てっきり。


「ごめんなさい、私。好きな人がいるの」

告白を断るという行為は少し胸が痛む。

でも、やっぱり私には好きな人がいるのだ。


「そん、な。だったら力尽くでも!」

え?嘘でしょ?そんなことある?

いや、そうか。相手は不良少年だ逆ギレだってあるかもしれない。

マズイ近くに人はいない。どうしよう。

相手は男子でしかも体格が良く喧嘩慣れしてるような人だ。

私では万が一にも勝ち目がない。

私は自分の体が無意識に震えてるのに気付いた。


「ちょっと待ってえぇ」

窓から駆け出してくる人影が見えた。

天野くんだ。ホントに優しいし勇気のある人だな…。

でも、天野くんが喧嘩得意そうには見えない、なのに、飛び出して来てくれた。

嬉しい、な。それに、カッコいい。


「落ち着いて、ステイ、クールダウン、ソーシャルディスタンス」

天野くんは早口に告げた。


「あ?なんだテメェ?」

こんなあからさまにヤンキーなセリフを生でくるときがあるなんて。



「佐野さん嫌がってるでしょ?君は拒絶されたんだよ。それに、君佐野さんのこと好きなんでしょ?あの告白を僕は遊びだとは思えないよ。君、暴力沙汰の話は聞くけど女子関連の悪い噂はあんまり聞かないよ?ホントに好きなんだったらさ……佐野さんの恋を応援しよう?」

え?説得?まぁ、戦っても勝ち目なさそうだしね。

言ってることは凄い正論だけど。それで、引き下がるのかな?

そういえば、確かに女の人を襲ったという話はあまり聞かない。


「お前…。そうだな。悪かった。頭に血が昇っておかしくなっちまった。そうするよ」

まさか引き下がってくれた。根は良い人なの?

少し、御堂くんのことを勘違いしていたかも知れない。


「そうか、ありがとう」

背中越しでも、天野くんが安堵して笑ったのが分かった。

私は大きいわけでも、ガタイが良いわけでもないその背中に何故か安心感を抱いた。


「くぅー、お幸せになぁぁああ」

泣きながら御堂君は去って行った。

悪い人なのか良い人なのかよく分からない人だったな。


「大丈夫?佐野さん」

優しく語りかけて来てくれる天野くん。

多分私が怖がってたのに気付いてたんだろうな。


「え?あ、うん。大丈夫だよ。私は、多分御堂くんも」

私はあくまで平静を装って言った。

一瞬、御堂くんを締めるお兄ちゃんが見えたけど、手は出されてないし多分大丈夫。


「大丈夫なら良かった、えっと御堂君もってのは?」


「あ、その〜えっと私の兄がちょっとヤバくてもしかしたら御堂くん死んでた」


「えっとー、まぁ良かったの、かな?」

たぶん、私の言ってることがよく分かってないんだろう。

戸惑ってる天野くんはちょっと可愛かった。


「うん、ありがと。天野くん!」


「あ、僕上履きのままだった。そ、それじゃ」


「あ、」

行ってしまった。

何だろう、最近ちょっと距離を感じる。


「お礼、したかったんだけどな」

私は、教室に戻ったらいるかもと思い戻ることにした。



「あ、居た、居た。ね!お礼したいからさ今日ちょっと帰り寄ってかない?丁度お兄ちゃん予定あったと思うし」

クラスに戻ると机に突っ伏してる天野くんが居た。

私はそのままお礼に奢る旨を伝えた。


「え?まぁ、良いよ。てか、お兄さんにバレるとマズイの?」

うん、そこ気になるよね。

シスコンな兄でごめん。


「もしかしたら」

私は苦笑いしながら答えた。


「今日じゃないと、マズイってことだね。大丈夫今日予定ないし」


「ホント?良かった。じゃ、そゆことで」

私はそう言って教室を出た。

天野くんと寄り道。

これって実質デート!?

…楽しみだな。


放課後少し用事があったので教室を出ていた私はスキップしそうな気分で教室へ向かっていると校門に立つ人影が目に入った。

「え?何でいるの?」

それは、お兄ちゃんだった。

今日は迎えに来ないと思っていたのに。

じゃあ、今日は、無理?

まぁ…。また今度でも良いよね。

私は気落ちしながら教室へ向かった。


「ごめん、あの今日、」

ホントに申し訳ない。

私は俯きがちに言った。


「そっか、彼氏さんと帰るんだね。だったら僕は邪魔だよね。分かった良いよ」

何を察したのか天野くんはそんなことを言い出した。


「え?」

あまりに見当違いだったので思わず間抜けな声を出してしまった。


「え?だって、あの校門に立ってるの彼氏じゃないの?」

驚き声を上げる天野くん。


「ふふ、あははは。ち、違うよ。彼氏だと思ってたの?」

その驚いた顔があまりに間抜けだったものでつい私は笑ってしまった。


「え?違うの?」


「あれ、お兄ちゃんだよ」


「そうだったんだ、僕、てっきり」

はやとちりしたことが恥ずかしかったのか天野くんは目を逸らしながら言った。


「そうだよ、ホント、過保護過ぎて困っちゃう。…それに、自分のこと蔑ろにして」

ホントに、私のことばっかり。


「そうなんだ」

私はパッと顔を上げて天野くんを見た。


「今日はは諦めようかと思ってたけど辞めた。どうにかしてお兄ちゃん追い払うから合図したら来て?」

うん、やっぱり行こう。


「うん、分かった」


「オッケー、手招きしたら来てね」

私は急いでお兄ちゃんの元へと向かった。


「お兄ちゃん!」


「ん?どうした?」


「あのさ、えーと、その、そう!ちょっと買って欲しいものがあって。その、いつも使ってるシャンプー切れちゃって」


「あれ?切れてたか?」

ヤバい。バレる。てかお兄ちゃん私のシャンプー使ってたりする感じ?

いや、違うの使ってたような。


「いや、そのリンスだったかも」


「はぁ?」

怪しまれてる、どうしよ


「取り敢えず今すぐ買ってきて!」

私は押し切って言った。


「うーん、まぁ分かった。じゃ、行ってくるわ」

そういうとお兄ちゃんは足早にかけてった。

よし、何とかなった。

私は天野くんを手招きした。


「ごめん、待たせたね」

少しすると、天野くんがやってきた。


「ううん、大丈夫。行こっか」


「うん」

お互いに趣味の話をしながらカフェへ向かった。

やっぱり天野くんとの会話は楽しい。

趣味も合うしね、ちょっと天野くんの趣味のことについて調べてたりもするんだけど。

ちょっとしてカフェのチェーン店に入った。

この店ちょっと行ったとこにもあった気がするんだけど…。


「えっとー、じゃあアイスコーヒー、佐野さんは何飲む?」


「えっと、じゃあ私はホットコーヒーで」

今日、割と寒いと思うけどアイスコーヒー何だ…。


「オッケー、アイスコーヒー一つとホットコーヒー一つで」


「かしこまりました、サイズはどうなされますか?」


「えっとー、tallでいいかな?」


「うん」

注文を任せ、私は席でも探そうかと思って立ち止まった。

危ない、今日はお兄ちゃんと来てる訳でも女友達と来てる訳でもなかった。

あまりに自然に注文に入るもんだから忘れるとこだった。


「あの、私が払うからね?お礼何だから」


「あ、忘れてた。でも、そんな奢って貰うわけには」


「いやいや、それじゃあ。私と一緒に帰れることがご褒美でしょ、みたいな女になっちゃうじゃん」


「あはは、そうだね。分かった。じゃあ、今日はお願いします」

少し待ってお金を払いコーヒーを受け取った。

コーヒーを飲みながら話をしていると見知った人影が目に映った。


「あ、」


「どうしたの」


「お、お兄ちゃんが来てる速く隠れて!」


「え?隠れるってどこに?」


「と、取り敢えず別の席に!」

見つかるとマズイ気がするので私は焦って天野くんを別の席に移した。


「心音、買って来たぞ」


「うん、ありがと」


「ん?何か男の匂いがする」

何で、分かるのそんなこと。

ちょっと気持ち悪いよ。


「い、いや。男性客もいるしそりゃするでしょ」


「うーん、まぁそれもそうか。てか、一人で来てるのか?珍しいな」


「いや、たまにはそういう気分のときもあるんだよ、ね?」


「そうなのか、まぁ。俺、先に帰るわ」


「うん」


少しして天野くんが帰ってきた。

「うん、取り敢えず何でここ分かったのか聞いていいかな?」


「ごめん、ノーコメントで」

たぶん、普通に引く。


「分かった。兄妹の力ってことにしとく」


「うん、そうしといて」


少しの間変な空気が流れたがお互い向かい合って笑い。

結局世間話に戻った。



「はぁ、ホントお兄ちゃん…。でも、楽しかったな」

毎日、こうやって帰れれば良いのに。


「いやいや、流石に毎日は無理だよね」

でも、もし、付き合えたら。

今日も助けてくれたし、もしかしたら天野くんも私のこと。

いや、天野くんは誰にでも優しい人だったな。

そんなところが好きなんだ。



次の日の放課後。

私たちは他に誰も居ない教室で話していた。

何か、二人しかいない教室って不思議だ。



「昨日は楽しかったよ。ありがと」


「こちらこそ、ありがと」

私も楽しかった。


「そういえば不思議なお兄さんだったね。男の匂いとかちょっと合っててビックリしちゃった」


「うん、そうだね。ちょっとシスコンなの。私のお願いは大体聞いてくれるし。お願いしなくても気遣ってくれて。時々、空回りすることもあるけど。それ以上に私は迷惑かけて。私の所為で、お兄ちゃんの学校生活大丈夫なのかなぁなんて」

私の所為なんじゃないかって、罪悪感を覚える。

でも、きっとお兄ちゃんは自分が好きでやってることだからとか言うんだろうな。


「佐野さん?」


「あ、ごめん。いきなり弱音吐いちゃって」


「いや、大丈夫だよ」


「相談ぐらいならいつでも乗るよ」

その優しさがホントに嬉しい。

いつも、天野くんは優しく人に寄り添ってくれる。


「ううん、大丈夫だよ。な、凪くん」

もう、仲良くなったよね?

だったら、下の名前で呼んでも良いかな?


「え?」


「いや、ごめん。嫌だったら戻すよ?」

流石に調子に乗ったかな?


「ずるいよ」

天野くんはそう、呟いた。

(え?)


「どんどん、好きになっちゃうじゃん。ねぇ、心音さん」

好き?それに下の名前。


「僕と付き合ってくれない?」


「え?え?」

突然のことで戸惑ってしまった。

え、何で今?

あんな弱音吐いた後に、それに。

何でそんな悲しそうな顔してるの?

嬉しいよ、私も好き。

でも、その言葉が咄嗟に出てこなかった。


「ちょっとだけ、考える時間をくれない?」

代わりに出てきたのはこんな中途半端な言葉。


「うん、良いよ」

それでも、天野くんは微笑んで答えてくれた。

何故か、それが酷く痛くて。

私は逃げるように教室を出た。


(ばかばかばか!何で、はい、って私も好きって言えなかったの?)


「はぁ」


「どうした?」

校門を出てすぐに声を掛けられる。

私はビクッとして後ろを振り返った。


「何だ、お兄ちゃんか」


「ん、何かあったのか?」


「いや〜、別に何もないよ」

何て言えば良いか分からなくて嘘をついた。


「そうか、うーん。すれ違いは持ったいないぞ。伝えたい思いは謝ることになってもちゃんと伝えろ」


「え?何で聞いてたの?」

何でいきなり?

バレてた?


「あれだ、アドラー心理学で全ての悩みは人間関係が原因みたいなこと言ってたし。何にでも当てはまりそうなこと言っただけだ。それに、お前の兄だからななんとなく分かる」

あぁ、お兄ちゃんに隠し事は出来ないな。


「ちょっと友達と喧嘩して」


「まぁ、そういうことにしといてやるよ」


「うん」

どこまで、お兄ちゃんは気付いてるんだろう。

もしかして昨日のことも全部バレてるのかも。


私は家に帰ってからやることを決めながら歩いた。

家に帰ってすぐ私は自分の部屋に行きスマホを手に取った。


「えっと『急に帰っちゃってごめんね』っと」

どうしよう返事が来てから話した方が良いかな?

10分ほど待っていたが返事が来ない。


「まだ、帰ってきてないのかな?」

それとも、いや、まだ確認してないだけだ。

その時着信音がした。


「あ!来た」

スマホを開き確認、

バンッ!


『今度遊ばない?』

お前じゃない…。

いや、友達からのだし無視はしないけど。


『おい、既読無視?』


『まだ、既読ついてから数秒でしょ』


『wwwジョークジョーク』

ホントウザい。


『はぁ、ホント紛らわしいからやめて』


『紛らわしい?もしかして愛しの天野くんとのチャット中だった?』


『からかうな!』


『へいへい、そういうことならまた今度に話すわ』

はぁ、こいつのノリ疲れる。

ピコン


「はぁ、まだあるの?って、天野くんからじゃん」


『ううん、大丈夫。こちらこそ変なこと言ってごめん』

ううん、ホントは私も嬉しかったんだよ。


『あのさ、そのこと何だけどさ』


『うん』


「すぅ、はぁ〜」


『私も天野くんのことが好きです。私で良ければ付き合って下さい』

入力中になっては戻る名前の部分。

きっと混乱しているんだろう。


『中学生のときに転入してきたでしょ?』

私は中学生のとき違う地区からやってきたので周りは小学生のときから変わらないメンツで絡んでおり少し馴染めていなかった。


『うん』


『そのとき声を掛けてくれてさ、さりげなくフォローしてくれたりしてさ、その時から結構好きだったんだよ』


『そうなんだ』


『それにさ、君は多分笑顔の方が似合う、それに容姿も整ってるからもっと明るく話しかければいいんじゃないかな。一応このクラスの女子とは大体同じ中学だけど悪い子達じゃないから。大丈夫仲良くして上げてよ。何て、言ってたよね、それが嬉しくてさ。優しくて勇気のある天野くんのことが好きです』


『僕も君のことが好き、付き合おう』


『うん』


それから少し二人でチャットをした。

安堵と嬉しさでつい笑顔が溢れる。


「えへへ、」


『てかさ、僕たち何回付き合おって言った?』


『混乱して3回も言ってたね。返事するタイミング逃しまくりだったw』

これで、私と天野くんは恋人か。

何だか胸の奥が暖かい。

あ、お兄ちゃんにどう言おう。


『あのさ、天野くん』


『凪』


「え?」

何でいきなり自分の名前?


『嫌じゃなかったから、そう呼んで貰えると』


「あ、そう言えば、そう言ったっけ」


『うん、じゃあ私のことも心音って呼んで』


『うん、分かった。話遮ってごめんね。何て言おうとしてたの?』


『お兄ちゃんのことなんだけど』


『あぁ、まぁ、報告しよっか』


『うん』


こうして私と天野、ゴホン凪くんは付き合うことになった。






下の星マーク押して評価して貰えると嬉しいです。

感想受け付けてます。


ついでに言うと

心音ちゃんと凪君はお互いに互いの趣味について調べて割とハマってるので趣味について結構無限に話せる。

たまに二人もおかしいなって思う。

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