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凪と心音

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旭くんの分かりそうで分からない少し分かる例え

中学生旭「どうしたの?白い部分が多くて硬いみかん食べたときみたいな顔して」

中学生湊「朝から会いたくない顔にあった」

中旭「酷くない!?自分これでもお前の幼馴染で親友なんだけど」

中湊「てかお前の例え何か、分かりづらいって言うより長いな。もうそれ苦虫を噛み潰したようで良いだろ」

中旭「それは言わないお約束」

僕には好きな人がいる。

いつも笑顔で明るく振る舞っていて、周りを笑顔にできる。

ただ、たまに寂しそうな、辛そうな顔をする女の子。

佐野 心音と言う人だ。

僕は彼女のことが好きだ。僕のものにしたいなんて思うほどに。

でも、怖くて告白何て出来ない。

僕は過去に佐野さんにでは無いが振られたことがある。いつまでもくよくよしているのもアレだが。

それからと言うもの自分のことが嫌いになって来た。

何が出来ても自信が出来ない。何を褒められても素直に受け取れないそんな日々だった。

表向きは余裕を保っていたが時々どうしようもなく辛かった。

中1の時、そして、今、中3また同じクラスになれた、

友達程度の関係には慣れてると思う。

何回かだけ二人きりでは無いが遊びに行ったことがある。

でも、佐野さんは高嶺の花みたいなものだ。

友達程度にはなれてもそれ以上になれる気がしない。

学校一の美少女とも言われているんだよ?


「あれ?アレは佐野さんと、御堂(みどう)くん?」

あまり良い噂は聞かない若干不良の人だ。


「あの、佐野さん!す、好きです!」

あ。告白だ。佐野さんがそんなに簡単にOKを言うとは思えないが。御堂君はイケメンではある。

もしかしたら、いや、それが佐野さんの出した答えなら僕は応援する、大丈夫だ。

失恋の痛みには慣れてるだろ?自嘲気味に考えながらどうしようもなく不安が込み上げて来る。

それはきっともし佐野さんが悪い人に捕まったら何てものじゃない。

もっと、醜い感情だ。


「ごめんなさい、私。好きな人がいるの」

安堵と同時にズキっと胸が痛む。そっか、好きな人がいるのか。


「そん、な。だったら力尽くでも!」

え?嘘。そんなことあるか?力尽くでも?

嘘だろ、今どきそんなの流行らないって。

僕は気付いたら上履きなことも忘れて窓から飛び出していた。


「ちょっと待ってえぇ!」

今にも佐野さんに掴み掛かりそうな御堂くんの前に飛び出た。


「落ち着いて、ステイ、クールダウン、ソーシャルディスタンス」

僕は早口に告げた。


「あ?なんだテメェ?」

く、こんなあからさまにヤンキーなセリフ。

生で聞くと思わなかった。


「佐野さん嫌がってるでしょ?君は拒絶されたんだよ。それに、君佐野さんのこと好きなんでしょ?あの告白を僕は遊びだとは思えないよ。君、暴力沙汰の話は聞くけど女子関連の悪い噂はあんまり聞かないよ?ホントに好きなんだったらさ……佐野さんの恋を応援しよう?」

流石に無理かも知れない、最悪時間を稼いで…。


「お前…。そうだな。悪かった。頭に血が昇っておかしくなっちまった。そうするよ」

え、ホントに?まさかこれだけで引き下がってくれるとは思わなかった。


「そうか、ありがとう」

俺は、安堵の笑みを浮かべた。


「くぅー、お幸せになぁぁああ」

泣きながら御堂君は去って行った。

何というか悪い人なのか良い人なのかよく分からなかった。


「大丈夫?佐野さん」


「え?あ、うん。大丈夫だよ。私は、多分御堂くんも」


「大丈夫なら良かった、えっと御堂君もってのは?」


「あ、その〜えっと私の兄がちょっとヤバくてもしかしたら御堂くん死んでた」

うーん、それ大丈夫?


「えっとー、まぁ良かったの、かな?」


「うん、ありがと。天野くん!」

そう言って笑う佐野さん。

この笑顔が見れただけでも勇気を出した甲斐があったと言うものだ。

ただ、好きな人がいるという言葉が胸に突っかかる。


「あ、僕上履きのままだった。そ、それじゃ」


「あ、」

僕は振り向かず校舎に向かった。


はぁ、別に良いはずだ僕と佐野さんは友達。

佐野さんが他の誰と一緒に笑ってても良いはずだ。

なのに何で、

「何でこんなに苦しいんだよ…」

理由は分かってる僕が彼女を、佐野さんを好きだからだ。

そして、思い出したのはとある日の下校のこと。

笑いながら爽やかで容姿の整った青年とじゃれあいながら帰っていたあの光景。

割と本気で殴ってるように見えたけど青年は全然大丈夫そうだったし多分大丈夫なんだろう。うん、たぶん。

あの楽しそうに笑っている佐野さんの姿が脳裏にこびりついて離れなかった。


「はぁ」

僕がそんなふうにに落ち込んでると。


「あ、居た、居た。ね!お礼したいからさ今日ちょっと帰り寄ってかない?丁度お兄ちゃん予定あったと思うし」


「え?まぁ、良いよ。てか、お兄さんにバレるとマズイの?」


「もしかしたら」

そうなのか、一体佐野さんの兄はどんな人なのだろうか。


「今日じゃないと、マズイってことだね。大丈夫今日予定ないし」


「ホント?良かった。じゃ、そゆことで」

佐野さんと寄り道して帰るのか。

楽しみだな。



放課後、僕は教室で佐野さんを待っていた。

しばらくして佐野さんが申し訳なさそうな。顔で入って来た。

その瞬間僕はきっと今日の約束はダメなんだと確信した。


「ごめん、あの今日、」

僕はチラッと校門方を見るそこにはあの日の青年が居た。


「そっか、彼氏さんと帰るんだね。だったら僕は邪魔だよね。分かった良いよ」

僕は何とか顔が引き攣らないように笑って言った。


「え?」

え+疑問符だった。


「え?だって、あの校門に立ってるの彼氏じゃないの?」

釣られて僕も言い返す。


「ふふ、あははは。ち、違うよ。彼氏だと思ってたの?」


「え?違うの?」


「あれ、お兄ちゃんだよ」

マジかアレが噂の佐野兄か凄いイケメンじゃん。そうか、佐野さんもこんなに美少女なんだもんな。


「そうだったんだ、僕、てっきり」


「そうだよ、ホント、過保護過ぎて困っちゃう。…それに、自分のこと蔑ろにして」

最初は笑ってたけど。最後の呟きのとき少し辛そうな顔をしてるのを僕は見逃さなかった。

あぁ。そんな顔、しないで欲しいな。


「そうなんだ」

パッと顔を上げ僕のことを見て来る佐野さん。


「今日はは諦めようかと思ってたけど辞めた。どうにかしてお兄ちゃん追い払うから合図したら来て?」


「うん、分かった」


「オッケー、手招きしたら来てね」


少しして佐野さんが玄関から出てきた。

佐野さんは佐野兄と少し話をすると佐野兄は走って何処かへ行った。

てか、足速くない?


「あ、手招きされた」

僕は、急いで佐野さんの元へと向かった。


「ごめん、待たせたね」


「ううん、大丈夫。行こっか」


「うん」

しばらく、好きな漫画や本、音楽の話をしながら歩き。

チェーンのカフェ入った。

ホントにこの店よくある。

場所によってはコンビニ以上にある。

入った瞬間幾つかの視線がこっちに向いた。


(やっぱり、佐野さん可愛いもんな)

いくらか嫉妬の目を向けられたがまぁ、良いだろう。今はこの瞬間を楽しみたい。

コーヒーを頼み飲みながらしばらく話してると、

「あ、」と

佐野さんが言った。


「どうしたの」


「お、お兄ちゃんが来てる速く隠れて!」


「え?隠れるってどこに?」


「と、取り敢えず別の席に!」

切羽詰まった表情に僕も急いで席を移した。


「心音、買って来たぞ」


「うん、ありがと」


「ん?何か男の匂いがする」

やばい。何で分かるんだそんなこと。


「い、いや。男性客もいるしそりゃするでしょ」


「うーん、まぁそれもそうか。てか、一人で来てるのか?珍しいな」


「いや、たまにはそういう気分のときもあるんだよ、ね?」


「そうなのか、まぁ。俺、先に帰るわ」


「うん」


少しして佐野兄が帰ったのを確認した後僕は佐野さんのところに戻った。


「うん、取り敢えず何でここ分かったのか聞いていいかな?」


「ごめん、ノーコメントで」

あー、触れちゃ行けない系か。


「分かった。兄妹の力ってことにしとく」


「うん、そうしといて」

佐野さんは苦笑いしながら答えた。

そのあとは楽しく話しながら家に帰った。



「はぁ、楽しかった」

自分のベッドに倒れ込んだ。

いつも、ああやって一緒に帰れたらな。

生意気にもそんなことを考えてしまう。


でも、あれ?

僕は佐野さんの好きな人はあの青年。佐野兄だと、思っていたでも、あの人は実は兄で。

じゃあ、佐野さんの好きな人は僕なんじゃ。

今日も二人でカフェに行ったし。


いや、やめておこう。

余計な希望は後で、落胆するだけだ。

最初から希望なんて抱かない。

今は、まだ。友達でいられる。

それでいい。

それで十分。そのはずだ。



次の日の放課後。

僕たちは他に誰もいない教室で話していた。


「昨日は楽しかったよ。ありがと」

僕は素直な気持ちを言った。


「こちらこそ、ありがと」


「そういえば不思議なお兄さんだったね。男の匂いとかちょっと合っててビックリしちゃった」


「うん、そうだね。ちょっとシスコンなの。私のお願いは大体聞いてくれるし。お願いしなくても気遣ってくれて。時々、空回りすることもあるけど。それ以上に私は迷惑かけて。私の所為で、お兄ちゃんの学校生活大丈夫なのかなぁなんて」


「佐野さん?」


「あ、ごめん。いきなり弱音吐いちゃって」


「いや、大丈夫だよ」

本当に佐野さんのお兄さんが佐野さんのことを思ってるのは分かる。すごく、心配して自分を犠牲にしてでも大切に佐野さんを守ってるんだろう。

でも、同じように佐野さんもお兄さんのことを大切に思い。心配しているのだ。

それが、佐野さんの嬉しそうで悲しそうな顔から分かった。


「相談ぐらいならいつでも乗るよ」

お帰りの返しのような建前でなく本心から言った。

例え恋愛相談でも聞くと誓おう、ここに。


「ううん、大丈夫だよ。な、凪くん」


「え?」

一瞬意味が分からなくなった、なんで?

したの名前?

いつも天野くんだったのに?

え?そんなの、そんなの


「いや、ごめん。嫌だったら戻すよ?」


「ずるいよ」

僕は思わず呟いた。


「どんどん、好きになっちゃうじゃん。ねぇ、心音さん」

お返しに下の名前で呼んでやる。


「僕と付き合ってくれない?」

僕は泣きそうな笑顔でそう言った。


「え?え?」

突然のことに狼狽える佐野さん。

一瞬こっちを見て、目を逸らしたあと。


「ちょっとだけ、考える時間をくれない?」


「うん、良いよ」

僕はそう言った。

佐野さんは教室からパッと出ていく。


教室には僕一人独りぼっちだ。

綺麗な夕焼けも、いつもなら暖かく感じるはずなのに。

今日は、いやに寂しく見えた。


「やっちゃったな〜。また」

もっと友達の関係は続けれたはずなのに。

少なくとも、佐野さんに恋人ができるまでは。


「何で、あんなこと言っちゃたんだろ」

もう、取り消せない。


「戸惑ってたなー、佐野さん」

きっと振られる。でも、仕方ないんだ、それは。

僕はここから立って一歩歩くのも嫌になってしまっていた。


「僕の、馬鹿」

佐野 湊:根本的におかしい変人なのでキャラがブレる。無意識。

菅原 旭:変人だから自分でブレる、故意。たまに出る関西弁みたいなのはエセ。最近始めたからまだ慣れない

佐野 心音:周りに振り回されるためブレる。理想の自分はいるんだけど素がでがち。

天野 凪:ホントに変わって行ってたりもする。焦ったときと逆に安心してるときは少しブレる。


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