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宵を切る3

援軍か、楽しい時間もついに終わりだな。

少し本気を出さなくてはならないかもしれない。


「取り囲め!」

アサルトかな?俺はFPSゲームの知識しか持ってないから知らないが。

さっきの感じ拳銃より発射速度は速かったがサブマより遅い気がする。

先程まで戦っていた2人を見る。

もう離れていったか。

緊張の糸が切れて今頃どっと疲れがよってきてるだろう。

少しして完全に囲まれる。

流石に素手じゃ厳しいかな?

俺は、ポケットから指輪を取り出し、両手の中指に嵌めた。

グッと手を握る。

この指輪をしたのは久しぶりだな。

懐かしい感覚だ。

集中力を研ぎ澄ませ俺は構えを取った。




◇◇◇◇




援軍が来たと同時にすぐに引く。

新人も直ぐに引く。

ライフルで囲むのに中に居たら邪魔だ。


「取り囲め!」

離れて緊張の糸が切れる、

それと同時に信じられないくらいの疲れが押し寄せた。

気力で何とか座り込まない。

新人も同じなようで膝に手を付いていた。

体が震える筋肉はとうに限界を迎えていたみたいだ。


「多分、俺もう一度同じことしろって言われても無理っすよ」


「俺もだ」

援軍が来るのが速くて助かった。

信じられないことに戦闘が始まって30分経っていないんだ。

ん?


「あれ、指輪か?」


「え?あぁそうぽいっすね」

指輪、湊、何か引っかかる。


「そういえばもう一人は旭だったか?いや、今高校2年とかだろ?あり得るか?いや、だとしたら当時何歳だよ」


「どうしたんですか?」

最悪の予想、いや、ほぼ確定だろう。


「超人の湊とか、先見の旭とかそんなレベルじゃやなかった」


「え?違う奴だったんですか?」


「いや、同じ奴なんだが。もっとあり得ないことをしてた奴ってことだ。三上グループって知ってるか?」


「え?まぁ。知ってますよ。あの大手企業ですよね。西の方で有名でしたよね?」


「あぁ、アソコは西の裏社会も占めてたんだが。壊滅したの知ってるだろ?」


「あ、そうなんですか?あれって裏山グループが潰したんですよね?」

現在西を占めてる大手グループの裏山グループ。三上グループと入れ替わりのように有名になった裏山グループ、ここが三上グループを潰したと言われている。


「最終的にはそうだが。その前に裏社会を占めてた方が壊滅仕掛けてたんだよ」


「そうなんですか、あぁだから裏山グループは台頭できたのか」


「あぁ、そんでその壊滅させかけたのがアイツだ」

俺は湊の方を指さし言った。


「マジですか?まぁあんだけ強いっすしね。他にも仲間居たんですよね?」


「旭って奴と二人だ」


「2人?え、5年ぐらい前の事ですよね。下手したら小学生じゃないですか。2人で何てあり得ないでしょ」


「みんなそう思ってたよ。ただ、どうしても2人以外敵が見えてこない。でも、小学生にやられたとは言い辛かったんだろうな。年齢は不詳だった。ただ、今日分かった。アイツが永久指定、最強暴君 龍王湊だ」


「えぇ、どんなネーミングセンス」


「知らん誰が付けたかはな」


「永久指定って何ですか?」

俺は驚き新人の顔を見つめた。

この世界に入ってきて知らないのか。


「裏社会の指名手配の中でも手を出すこと自体が禁忌に近い奴のことだ。個人に対してついてるのはそうそういねぇ。そもそも倒すことが予定されてないからな。賞金は付いてない」


「そうなんすか」


「本気で付けようと思うと億は超えるらしい」


「マジっすか?」

個人に対して億。

そんなのまず有り得ない。

何か凄い重鎮とかなら有り得るかもしれないがただ、脅威として億を超える何て意味が分からない。


「一斉放射!」


「ちょっとま」

指輪を嵌めたのは信じられないが銃弾を弾くためだろう。

嫌な予感がする。

一斉放射を止めようとしたが彼らの耳には届かない。

何より疲れで体が動かない。

いや、大丈夫なはずなんだ、この数のライフルに囲まれて生きていられる訳がない。

その筈だった。




◆◆◆◆




「一斉放射!」


「リミッツオフ、ゾーン」

敵の合図とほぼ同時に呟く。

無意識化でかかるストッパーを外す、リミッツオフ。

極限まで集中力を研ぎ澄ませるゾーン。

これを俺は意識的に発動することが出来る。

さっきの2人はこれと同じようなことをしていた筈だ。

一斉放射と言っても完全に同じタイミングじゃない。

少し、早い奴、遅い奴色々だ。

弾く動きと避ける動き、更には靴などでズラす動きを同時に行う。

最初の弾を弾き、飛びながら回転して弾いたり靴底や側面で逸らせる。

弾いた弾でさらに弾を弾く。

着地、それと同時に銃声の余韻すら止む。




◇◇◇◇




粉々の木っ端微塵、蜂の巣になった湊が立っている筈だった。

風が吹いた、と思ったらトンと静かに湊が着地していた。

ところどころに落ちてる銃弾。

目を疑いたくなる。

弾いたと言うのか?


「今、分かったか?」


「何が起きたかはさっぱり。ただ、多分さっきの俺と似たような感じだったと思います。明らかに動きが違う。本気を出したって感じじゃない。確かに余裕はあったがそれでもここまでじゃ無かった。瞬間的に速さと力が上がったぽかったす」


「あぁ、深い集中を感じた。多分みんなだろうがアイツの呼吸音が聞こえた。息を吸う音だ明らかに異質だった」

一瞬の静寂。

それも湊が立ち上がると同時に崩される。


「てぇめぇ、何しやがった。そこで手ェ挙げろ!」

そう言ってトリガーを放つ。

それと同時に爆発する銃。

まさか、弾いた銃弾が銃口に嵌ったのか?

唖然とする援軍の奴ら。

当たり前だ。


「人間じゃないだろ」

本日何回目かの苦笑が溢れた。


目の前で次々と意識を刈り取られていく援軍。

俺はあまりの疲労に何かの糸が切れたようにその場に倒れ込んだ。



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