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その、遊園地行きません?

色々よろしく

『あの、春休みですし。遊園地でも行きません?』

卒業生の僕たちは一足先に春休みが訪れる。

せっかくなので心音さんをデートに誘ってみた。


『うん、いいよ!いつにする?』


「うーん」

平日の方が混まないよな。それに他の学年の春休みが来ても混みそう。


『1、2年の春休みが始まる前の平日がいいかな?』


『あ~、混んじゃうかもだからね』


『うん』

湊さんはまだ春休みに入ってないんだっけ。


『じゃあさ、明日行く?』


『うん、僕は大丈夫だけど』


『私も大丈夫だから明日にしよう!何時から行く?』


『午前十時くらいに集まって遊園地の中でご飯食べる?もしくは午後からか』


『私はできるだけ遊びたいし午前に集まって遊園地の中でご飯食べよっか』


『うん、わかった。心音さんの家分かるし迎えに行くね』


『オッケー、ありがとう!』

明日は心音さんと遊園地デートか。

緊張もするけどそれ以上に楽しみだな。

ダメだ、自然と顔がにやけてしまう。

あぁ、まだやることは幾らでもあるというのに早く明日にならないかななんて思ってしまう。



次の日の朝。昨日は楽しみで寝れなかったなのに何故か早く起きてしまう。

遠足みたいだなと少し懐かしく感じた。


「さて、準備しますか」

バッグの中の持ち物を確認し、鏡の前に立って恰好を確認する。


「よし」

僕は、小さく呟いて。覚悟は決めた。

場所は前に行った時ので覚えている、今から行くとちょうどか、少し早いくらいだろう。


心音さんの家の扉の前に立ち静かに深呼吸する。

何か、緊張してきた。僕は恐る恐るという風にインターホンを押した。

ちょっとしてドタバタと走る音がした後勢いよく扉が開いた。


「わっ」


「あ、ごめん」


「ううん、大丈夫」

出てきた心音さんの恰好は本当に可愛かった。それに


「その服...」


「うん、そうだよ。この前買ったの。えへへ、似合ってる?」

そういう心音さんの顔は少し赤くなっていて、照れ隠しに笑いながら頬をかいていた。

ずるいよ、心音さん。可愛い過ぎるでしょ。


「凄く、似合ってる、と思うよ。か、可愛いです」

僕まで恥ずかしくなってきた。


「何照れてんの~?カワイ」

そう言ってからかってくる心音さん。


「いや、心音さんのが可愛いよ!」


「え?」

僕の反撃が予想外だったのか一瞬心音さんが固まった。


「と、取り敢えず行こうよ!」


「うん、そうだね」

何だかどんどん照れてしまうので切り上げて遊園地に向かった。


バス停まで歩いていきそこからはバスに乗っていく。

心音さんが窓側僕はその隣に座った。

「楽しみだね、何処から回る?」


「う~ん、やっぱジェットコースターには乗りたいよね。でも、最初はもうちょっとゆっくりめのでも......」

顎に手をやりながら真剣に考える心音さん。

何処がどれくらい混んでるかにもよるよな。

いくつか案は考えたけど僕はあまりこういう場所に行かないし、心音さんの意見を尊重したい。

そうやって話しているといつの間にか遊園地についた。


門でチケットを買い入場する。

あれだよね、遊園地に来ると色々目考えてきたのを忘れて目についたものから行きたくなってしまう。

どうやら、それは心音さんも同じようでアレ乗りたい!と空中ブランコを指した。


「うん、いいよ。取り敢えず行きたい所から行っちゃおっか」

園内は思った以上にすいていた。

これならあまり待たなくて済みそうだ。


「やった!速く行こ?」

頷いてついていく。


ちょっと、急いで向かいカバンなどの持ったままだと危ないものを預け空中ブランコに座った。


「これ、普通に怖そうだね。あんなに高いところなのにこの解放感」

僕は塔を見上げ言った。

遠くから見た感じ八割ぐらいまでは行ってた。


「うんwブランコだしね」

心音さんは楽しそうだ。その笑顔を見て少し僕も落ち着く。

アナウンスが入りどんどん上に上がっいく。地面が遠くなっていく。

もう、落ちたら死ぬな...。


そして、ついに回りだした。

結構怖い。手に汗がにじむ。

僕は後ろを向き心音さんを探した。

下を見ている心音さん。

ふと、心音さんが顔をあげたタイミングで目が合った。

にっこりと笑う心音さん。

あぁ、ホント可愛いな。ただ、何だか情けないところを見られた気がして僕は目を逸らした。

下に遊園地が良く見える。本当に飛んでいるみたいだ。しばらく、続いたあと少しづつ速度が落ちていき地面に戻ってきた。


「あぁ~、楽しかった!」


「うん、そうだね」


「ふふふ、凪くん怖がってたでしょ」


「ば、バレてた?」


「うん」

そう言って笑う心音さん。

どうやら、横の鎖を握りしめていたところを見られていたらしい。


「次、どこ行こっか」

少しのぞき込むように聞いてくる。


「う~ん、あのボートみたいなやつに乗るやつが行きたいかな」


「あ!激流くだり?」


「そう、それ!」

このために一応ウィンドブレーカーを持ってきてもらっていた。


「いいね、行こう!」

そう言って前を歩く心音さん。

楽しそうで良かった。


「わぁ~!」

ボートが下る勢いで水が弾けこっちに飛んでくる。


「冷た~いw」


「うん、ちょっと濡れちゃったね」

今日は比較的暖かいので許容範囲だ。


「次さ、ティーカップ乗らない?」


「いいね」

多分そのあとにご飯を食べることになるだろう。



順番が来たので向かい合って座り他の乗客が乗るのを待つ。

ハンドルが何の意味があるのか僕はよく知らないけど取り敢えず回す。

どれだけカップが回って、位置が変わっても目の前に変わらぬ心音さんの笑顔があるのはちょっといいな。向かい合うのはまだ相手に対して警戒心とか遠慮があるからって聞くこともあるけど向かい合うのも悪くないかもしれない。


「ちょっと酔いそうかも」


「あはは、三半規管弱すぎwじゃあさ、私だけ見ててよ」

少しだけこっちに顔を近づけて言う心音さん。

顔が火照る。今、自分の顔が赤いのが見なくても分かった。

気まずいような、心地いいような不思議な沈黙がこの小さなカップの中を支配し周りの音は嘘みたいに聞こえなくなった。


「心音さん今日は何だかその、攻めているというかアグレッシブというか」

凄く、ドキッてするときが多い気がする。

ただ単に遊園地経験回数の差かもしれないけど。


「あぁ、それはさ」



「僕が湊さんに似てる?」

僕たちは場所を遊園地の中にあるレストランに変えて話をしていた。


「うん、お兄ちゃんと同類だなって」

それは、心音さんが好きって意味でかな?


「何処が似てるの?」


「何かさ、達観してるっていうか。一歩引いたとこにいる気がして。自分を二の次にしちゃうとことかね」

う~ん身に覚えがあるようなないような。


「あのさ?心音さんじゃなくてさ。心音って呼んでくれない?」


「え?」


「いや、さんってちょっと距離感じちゃうかなって」


「えっとー、そ、そうだね。こ、心音」

僕がそういうと心音さ、じゃなかった心音は嬉しそうに二パッと満足気に笑った。


「もう、食べ終わったしさ。ほら!次のアトラクション行こうよ」

何だかむずかゆくなったので僕は露骨に話題を変えた。


「あはは、照れてる~。そうだね!」

まったく。


「ねぇ!ジェットコースター乗ろ!」


「うん、そうだね」


「あのぐるんぐるん回る海上のやつ」


「いや、流石に食べた後すぐあれは無理かな」


「えへへ、それもそうだね」

僕たちはもう一つのジェットコースターの方へ向かった。

そのあとはもう一つの海上ジェットコースターに行った。


「多分そろそろ最後だけど、どうする?」


「う~ん」

顎に手をやり考える心音。


「やっぱり、カップルだしさ。観覧車にする?」

僕の言葉に一瞬驚く心音。でも、

「うん、そうだね」

と笑った。



何でカップルといえば観覧車なんだろって考えた場合やっぱり密室てことが大きいんだろう。

狭いゴンドラの中隣あって座る。

ちょっとだけ緊張するな。

ゆっくりと上へ向かっていく。

外を見ると今日遊んだ遊園地がよく見える。

風が吹くと少し揺れて怖かった。


「楽しかったね!」


「うん」

二人で他愛のない話をする。

それが、凄く幸せだった。

丁度、頂上に差し掛かった頃。

僕はそっと心音の手に僕の手を重ねた。


「好きだよ、心音」

一瞬呆けた顔をする心音。

その顔は次第に赤くなっていった。


「わ、私も、好きだよ。凪くん」

顔を逸らしながら言う心音に何だか微笑ましい気分になる。

僕らはゴンドラが下に行くまでの間手を繋いだ。


「今日はありがと!」


「いや、こちらこそ。ありがと。楽しかったよ」

僕は心音を家まで送った。


今日は楽しかったな。

また、一緒にデートしたい。

何だか小学生の日記みたいだw

もうね、塾でやる気を全部すわれる。モチベーションがねぇとキツイっす。

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