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ExArkate Online ~デスゲームVRMMOを【野生のラスボス】が最速で“終わらせる”物語~  作者: 一ノ瀬るちあ/エルティ


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20/28

20話 通りすがりのラスボスよ

 模倣犯から脅迫を受けているんだけど、どうしたらいいと思う?


 群青色に染まる空、優しい風の吹く草原。

 陽光は麗らかで気温も快適。

 心の療養という名目で休憩していた時の事だった。

 一人のプレイヤーが近づいてきた。


 珍しく心が穏やかだったから、今日は見逃してやろうと思った私。だが、どうしてだろうね。こういう時に限って相手から噛みついてくるのは。


「私は【エリュティアノルン】! ExArkate Onlineのラスボスよ! 殺されたくなければおとなしくレアアイテムをよこしなさい!」

「……はぁ? もっとまじめにやりなさいよ模倣犯」

「なっ!? も、模倣じゃないし!!」


 なんなの、この、悪役令嬢モノのヒロインに踏み台転生したみたいな尊厳の無さは。傍若無人が人の形をしたような薄っぺらさは。


「……今すぐ立ち退きなさい。私の機嫌を損ねないうちにね」

「はぁ!? むっかー! あんた自分の立場分かってんの!? 野生のラスボスが現れた状況なのよ? さっさと命乞いしなさいよ!」

「どっちの命の?」

「あんたの!」


 いや、多分あんたじゃ私を殺せないし。

 2000を超えるプレイヤーをキルした私のステータスはなかなかすごいことになっている。


――――――――――――――――――――――――

 【エリュティアノルン】Lv52

――――――――――――――――――――――――

 HP  17150/17150

 MP   9030/ 9030


 STR  1988

 INT  1239

 AGI  1526

 VIT  1183

 DEX  1379

 LUK   903


・アビリティ

 【斂葬術式】Lv2

 【風花雪月】Lv9

・称号

 【プレイヤーキラー】

 【ボス討伐者】

――――――――――――――――――――――――


 既にβ版で実装された時のステータスは超えた。

 また、プレイヤー達は【経験値半減】の呪いを受けているが私はエネミー故に今まで通りに稼げている。おかげで攻略組ともかなり差が開いてきている。


 たしか今のトッププレイヤーのレベルが30後半。そしてプレイヤーのステータスは私の大体7分の1程度(職業補正で大きく変動するが)。いよいよレイドボスらしく成長してきたところである。


 ぶっちゃけ、一対一なら誰にも負ける気がしない。


「もう、めんどくさいな。

 【風花雪月・一ノ型】、«双頭鴉(そうずがらす)»」


 襲撃イベントで使用した阿吽カラスを呼び出す。

 一匹一匹がトップ層ではない攻略組程度のステータス。その阿吽カラスを50ペア、つまり100匹召喚。


「えっ、ちょっ、は!? はぁ!? あんた何者よ!?」

「人間ってさ、相手の名前を尋ねるようにプログラムされてるわけ? いちいち答えるのめんどくさいんだけど」


 まあいい。

 彼女の最期の願いだ。

 聞き届けてあげようじゃないか。


「エリュティアノルン。通りすがりのラスボスよ」

「え、は? はぁ!?」


 クロークを外して、名を名乗る。

 彼女は私を見て目をぱちくりさせて、目に見えて狼狽した。


「うそ、嘘ウソウソ! そんなはずないじゃない!」

「そのリアクションも見飽きたのよね。ねぇ、教えてよ。私たち組み上げられた電子データと、プログラムのような応対しかできないあなた達。どちらの方がより生物らしい?」

「うるさいウルサイうるさい!! 『帰還の羽根』!!」

「あ」


 ……逃げられた。


 『帰還の羽根』は、近場の街に転移するアイテム。

 恫喝なんて真似をしているからてっきり犯罪プレイヤーだと思ったのに、街に入れるってことは違ったのか。


「……あれ? これもしかしてまずい?」


 プレイヤーには掲示板という情報を即時共有する手段があるという。それを使われて私がフィールドエンカウントエネミーとして暗躍している事がバレるんじゃ……。


(あいや、待って。彼女をエリュティアノルンに仕立て上げられたら?)


 そうすれば私という存在が意識からはずれ、よりPKのしやすい状況が生まれるのではないか?

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