表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

四、康義 午後二時。その2

四、康義 午後二時。その2


聳え立つ巨大な人形。

じっとその人形を見ていたが、その奥の位置でも同じように土が、隆起し始めた。

「あの一体だけじゃないのか」

 大学校内に居た生徒達もわらわらと集まり、その人形の前で群れを作っていた。友人と話をする者。スマホで人形を撮影する者。じっと人形を眺める者。誰かにスマホで話をしている者。色んな人間が居た。

 康義にはこの光景に妙な悪寒が走った。

学生達の目の間に巨大建造物のように聳え立つ人形。頭部に並ぶ五つのランプの直下に穴の開いた箇所があり、例えるならば内側に幾つもの線が並ぶスピーカーのような形状をしている。

そのスピーカーの部分に、小さな電気が走った。最初は、小さくゆっくりとしており数も少なかったが、徐々に数も多くなり激しく明滅するようになった。

「あの光り、まさか!」

 康義は窓へ更に近づく。その数秒後だった。

あのスピーカーから非常に太いネオンのようなピンク色の光が発射された。その光が康義の面前を通過していく。数秒後、多くの学生達が集まっていた場所に直撃した。その後、ロードサイドのコンビニ位の規模の爆発が起きた。そして、多く居た学生達の姿が一瞬に消えた。

学生の集団に居なかった周りの人達はその事実に騒ぎ始めた。

人形の横に五つ並ぶ内、一番右端のランプが点滅し始める。人形は人形などではなく自律型の兵器といっていい。まさに巨人兵という名前が相応しい。

巨人兵の頭が重低音を響かせながら横に動き始めた。巨人兵が向いた先に建物にいる康義の方向だった。

またもスピーカー形の発射口が小さな稲妻が複数生み出される。

「まずい!」

康義は窓際を急いで離れた。その直後、巨人兵はまたも蛍光ピンクの光を放った。光が宙を舞い、康義が居た学校施設に直撃する。

強烈な炸裂音が響く。そして、学校施設を猛烈な揺れが襲う。そして、苛烈な火が建物を襲う。直撃した建物はガラガラと音をたてて崩れる。

康義の居場所からは若干外れて、建物の上部に光りは触れ爆発を起こした。そして、火災も発生する。その火災を報知器が完治し、スプリンクラーが稼動し、報知器の鳴動と共に水が噴射される。

噴出された水は康義に降り注ぎ、彼の身体を濡らしていく。彼の衣服は水分を吸収し、非常に重くなっていた。

「くっ。なんとか生きている」

 康義は自分が生きていることを確認する。そして、周囲の状況を確認する。面前には建物が崩れ、火が舞い踊っている。

「やばいな」

 もう少し凝らして見ると階段はまだ巨人兵による影響をまだ受けていないことが確認できた。

爆発の衝撃で身体をふらふらになりながらも立ち上がり、階段へと向かっていく。その間もスプリンクラーも水が振り続ける。

鳴り響く火災報知機。

『火災が発生しています。皆さん焦らず避難してください』

 事前に録音されていた自動音声が室内を響き渡る。天井に取り付けられるスプリンクラーから雨の様に降り続ける水が床で無数のミルククラウンを大量に作り出す。

康義は身体を壁に寄りかかりながら、一階へと向かっていく。その間にも外では次々と爆発が起きたり、周囲の火災報知機やスプリンクラーの水音に混じり数多くの悲鳴が耳に届く。

「あの兵器。次々と人を襲っているのか」

 呼吸も絶え絶えな康義。必死になんとか1階へと辿りつく。

階段を降りた時に巨人兵側にあった入り口は、崩壊して通行することはできなかった。

「ここは駄目か」

 急いでその場を離れ、康義の居る場所から更に奥ににある入り口に向かっていった。康義と同じように非難しようとする人々が入り口へと向かっていく様子も見えた。

 壊れた入り口から離れ廊下の半分くらい距離を埋めた時、背後で大きな音が響き渡る。先程まで居た場所が崩壊していく。

「やばい」

 徒歩位のスピードだったが、足の回転を上げて同時にスピードを走り始める。幸い、日頃からマラソンで身体を鍛えていた為、同年代に比べるとそれなりのスピードが出ていた。

康義の背後では、先程見ていた位置から崩壊が更に進んでいく。

康義が走り続けて十数秒。なんとか入り口の位置へと辿り着く。

崩壊は入り口から数十メートル先の位置が無数の破片が積もられた瓦礫の山が構築されていく。

止めていた足をまたも動かし始めた康義なんとか建物から飛び出した。いまだ濡れた衣服は重さがある。康義は背後に振り返る。そこには巨人兵が建物の半分を倒壊させていた。

重低音があたりに鳴り響く。

「これは」

 康義は言葉を失う。そこは二体のみだと思っていたのが、更に向こう側に巨人兵の姿が見えた。それだけではなく、康義が周囲の見渡すと数隊の巨人兵が稼動しているのが認識できた。

破壊音や悲鳴が幾つも聞こえる。

周囲に居た学生や職員達が右往左往に逃げ回つている。康義はその流れに乗るしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございました。 他の作品もよろしければご覧ください。 作品一覧
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ