三、康義 午後二時。その1
三、康義 午後二時。その1
康義は大学の休憩室で一休みをしていた。
休憩室には多種多様な清涼飲料が販売されている自販機が複数台並んでおり、自販機と向かいあうように壁に数台のベンチが設置されている。
康義は、自販機から冷たいコーヒーを購入し、その流れでベンチに腰掛けている。手に持っていた缶コーヒーの蓋を開き、飲み口を開ける。康義はそのまま口をつけ、喉にコーヒーを流しこんでいく。
喉に流し込んだコーヒーは無糖であった為に苦味が舌を刺激する。
ふと康義は腕時計を見ると十四時を示していた。
「もう十四時か」
そんな感想を漏らす康義。その時だった。激しく足元が揺れた。
「地震!?」
即座に立ち上がる康義。しかし、流石に身体が揺さぶられて、康義は直立して立ってはいられない状況だった。持っていた缶コーヒーをこれも揺れによりするりと落としてしまう。落ちた缶コーヒーから床にコーヒーが漏れ、コーヒーの水溜りが出来ていた。
義康は、コーヒーの水溜りを無視して、窓へと近づく。
その間も揺れがが続いている。
康義が窓に近づくとそこで見た光景は、大学の中央に整えられた綺麗な芝がゆっくりと隆起し始め、徐々に高くなっていく土の塊や小石が転げ落ちていく。
「おいおい」
どんどんと高くなっていく土の塊は時間が経つにつれて、土の量が減っていき、その中心に何か影が浮かびあがってくる。その影には中心に五つの光りが見えた。周囲にたちこめる土煙が薄くなり、視認し難かった影もはっきりと視認できるようになってきた。
「なんだあれは?」
康義の前に人の形をした巨人が姿を見せた。その姿は、目の部分には五つのライトが横に並んでいる。全身茶色の表面をしておりまるで鉄の様にツルッととした体表をしている。形としてはまるで騎司の鎧のようなデザインをしている。
「ロボット? それとも人形?」
まるでトラックのホーンと似たような音が響き渡る。