7/10
向こう岸
目が覚めた時にいつも私の脳を支配する
貴方の居ない世界の匂い
線香の揺らぐ幻も
いつも頭から離れなくなる
毎朝毎朝
起きるのが怖くなる程に
そんな朝を365日繰り返してきた
ちょうど今日はそんな日だ
あの日の夜
自分の部屋で私は
自分の何かが決定的に壊れ失くされたと悟った
貴方が彼岸へ盗んでいったのか
少し前から既に無くなっていたのか
私の生きる意味は川の向こうへ消えていった
取りに行こうかな
取りに行ってももうこっちには戻れないか
貴方が持ってるかな
かえしてくれなさそう
そのまま一緒に居たいな
仲直りしてそのままずっと
ずっと
ずっと
ずっと
ずっと
頰に暖かい何かがつたう
息が苦しくなって喉が狭くなって
逢いたくて堪らなくなった