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曖昧
目が覚めた
陽が刺して貴方みたいで安心する
朦朧とした意識の中で手を、光の方へ伸ばした
届いて欲しかった
握ろうとした指はやはり
呆気なく宙を掻いて終わる
その世界はちゃんと色があった
何をしているんだろう
何でここに居るんだろう
もう生きる意味なんて無いのに
何に縋ってるんだろう
もう貴方はいないじゃ無いか
貴方のために女の子のままでいるのも
貴方人のために生きるのも
全部貴方が居ないと意味がないな
そう、このまま布団に沈んでしまえば全て
終わる
どんな夢を見ていたっけ
赤と青の夢
現実でもそうだっけ
そしたら夢と現実なんて区別つかないな
でももうどうでも良いかもしれない
生きる意味のない所ではっきりしたものがあっても
つまらない
曖昧なまま
このまま
蝉の鳴き声が聞こえなくなったな、とふと気づく
カレンダーが8月の終わりに近づいていた
もうすぐ貴方が居なくなってから一年くらい経つ