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温度差
歩いてきた道をなぞり返す
腕を僅かに外側に開いて
空を掴んでみる
前にほら、こうやって手を繋いだでしょ
肩だって触れてしまいそうだった
暖かかった
それから貴方と座った
公園のベンチに私が座る
木が優しいの
会えて良かったって言い合って
また会いたいって囁いて
ねえ、次はいつ?
わからなかった
未来は等しく未知だった
楽しいだけが待ってるわけじゃないのに
そう期待してた
明日もずっと永遠に笑っていられるって
だからまたねのあとは苦しかった
荒くなる呼吸を胸に埋めて
目から溢れそうな何かに怯えて
黙っていることで許されようとしてた
まだ生きてること
まだ愛してること
まだ愛されてること
まだ自分を押し込んでいること
雨が降っていた
倒れ込んだ地面は冷たかった
大急ぎで走っていく
心の中の、白い東屋に
心が擦り切れていた
叫んでいた
世界は歪んで見えていた
一人の時の私は最早世界を捉えきれなかった
私は私をやめたかった