少女
ずっと一人で生きていたんだ
誰と話すのもあまり上手じゃなくて
だから貴方に初めて会って話した時
それは自我の生まれた瞬間だった
誰かと比べたことの無い人生だった
自分が何者かも分からなかった
そんな私の曖昧さに
貴方は少女という称号を与えてくれた
貴方が私を私にしてくれた
半端さに苦しむ夜を無視して
曖昧を吹き飛ばした
貴方が私を少女にした
貴方の為に
普通の女の子になりたかった
貴方の前だけで女の子をしたかった
でも少しだけ、紫の私も見て欲しかった
ねえ、そちら側からそんな私を見てくれないかな
陽光に、紫色の手を伸ばす
掴み取る
落つるは紫のインク
ねえ
この色で愛を詠って良いかな
ねえ
この手を掴み返してくれないかな
朝日の色なのだ
朝日に染まる、空の端の色なのだ
ねえ
もう夕焼けに泣かない
夜に消えない
この朝に生きるから
この私を見てくれないかな
さようなら、は言わない
だけれど
さようなら、私の少女
少女も少年もやめて
私は私で生きるよ
貴方が与えてくれたものを忘れて
思い出だけを都合よく引き摺って
その色は眩しい
微かに貴方の滲む私だ
その色は儚い
すぐに、正しく日が昇るから
その色は私だ
その色は、私の夜明けだ