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第1章16 全体会議

〔ユーレイン連邦海軍 第3艦隊司令官 森田呉里 TACネーム: ヤン コールサイン: ウィザード・アクチュアル〕

〈ユーレイン西海岸 ネオ・ブレスト軍港(首都から60km) ― 第3艦隊司令部 司令官執務室〉

[翌日 ― 0900時]

あれから私の艦隊は彼女ら ―― 今では王女(フロイラインズ)艦隊(フリート)と呼ばれている亡命艦隊 ―― と共にネオ・ブレストに入港し、亡命艦隊の係留手続き、損傷している艦のドッグ入り&修繕手続き、使用した消耗品の補給、実包の弾薬庫返却、艦載機の修理などのペーパーワークを終わらせ、残っていた書類などを副官らに押し付け。執務室で寝た。

翌日 ―― 言うなれば今日、0700時に起床しアメリカン・コーヒーとハンバーガーをつまみながら書類整理をしつつ今に至る。

「はぁ・・・・・。」

丁度 湾内曳航船(タグボート)の新規調達に関する書類を捌いた所だった。

「中将、お客様です・・・・取次ぎますか?」

ノックと共にドアを開けて入って来た私の秘書がそう告げた。

「ん?誰だ?」

「森田元帥とレッドフィールド元帥です。」

「え”っ!!?」

まさかの2人だった。

「どうしますか?」

「・・・・・分かった、お連れしてくれ。」

すると秘書と入れ替わりに私の兄 ―― 三辻とその友人で陸軍のトップ ―― レッドフィールド元帥が入って来た。

「よう中将、苦労人か?」

「おお・・・・こいつか。」

「苦労人ていうか、見ればわかるでしょ兄貴・・・・。

レッドフィールド元帥閣下、お初にお目にかかります。」

私は兄にそう言い、そしてレッドフィールド元帥には起立敬礼をした。

「ああ、こちらも会えて光栄だ。」

「こちらこそ、

コーヒーでよろしいですか?」

「そんじゃあいつもので頼むわ。」

「それじゃあアメリカンで、角砂糖は2つ。」


「それで、お話が?」

2人にコーヒーと椅子を設け、私はこう切り出した。

「ああ、実は今回の異世界騒ぎに関わった関係者全員を招集して会議を行うとの総帥直々のお達しでな・・・・。」

「で、私もですか?」

「いや、あの亡命艦隊の関係者も一切合切。」

「ああ・・・・彼女らもですか。」

「そしてだ・・・・。」

そして兄は一拍置き、

「森田呉里 中将、貴官を派遣艦隊総司令官に任命する。」

そうわざと畏まってそう言った。

その結果、私は一瞬にして化石と化した。

そんなポストは本来私の様な一介の艦隊司令が”なる事が出来ない”物である、だが・・・・私の兄、現海軍元帥は私に押し付け・・・・ゲホンゲホン、私に任命してきた。

「大丈夫か?」

「は、はい・・・・・、

でも兄貴、なぜ私なんかを?」

「ホントーは、俺が行きたいのだがなぁ・・・・立場が立場だ・・・・。

そしてお前には今回の亡命事件を解決させただけの力もある、俺みたいなボンクラが居なくてもやってけれるだろ。なぁレッドフィールドよ?」

「それも、そうだなぁ。」

レッドフィールド元帥が少しニヤケてそう答えていた、

「しかし・・・・。」

「たまには顔を出すからよ?」

「えぇ・・・・・。」

「な? な?」

そう言ってくる兄貴に対して、私は決断した。

「謹んで上番致します。」

「それでこそだ我が弟よ、

好きなだけ艦隊を持っていくといい、草案は・・・・明々後日までに頼む。」

「はい、・・・・で”彼女ら”も連れて中央司令部(セントラル)に向かえばいいんですね?」

「ああ、俺とレッドフィールドは暫くここでの見学を楽しむとするよ。」

「了解しました。」


〈ネオ・ブレスト軍港 仮居住区〉

[1015時]

あれから私はここの見学をするという元帥2人と別れ、船架(ドッグ)に近い仮居住ブロックへと向かった。あそこには亡命して来た”彼女ら”が交代で寝泊りをしているエリアが存在する。

「爺ちゃんが現役だった頃は、こんな感じだったのかもな・・・・。」

それぞれ船架(ドッグ)に入架している”彼女ら”のフリゲート艦と我々第3艦隊所属のR級偵察艦が仲良く揃って修復を受けている姿を見て、私は思わずそう呟いた。

「ヤンさーん。」

すると私の後ろからそんな声がした、

振り向くとそこには船架(ドッグ)主任の金本少佐が居た。

「ああ、金本さん。どうです・・・・調子は?」

「やりがいがあるってもんですよ、

あちらさんの規格とかが些か古風で難しいですが、向こうの技術屋さんとこっちに残ってる大戦中の設計図のお陰で何とか頑張ってます!!!」

金本少佐についてはよく分からない、男の様にも女の様にも捉えれるがよく分からん。だから少佐に対してはあまり入れ込んでいない。

「どうかしましたか?」

「いや・・・・そうか。」

「ヤンさんも仮居住ブロックに用事ですか?」

中央司令部(セントラル)からの命令でな。」


しばらくすると王女(フロイラインズ)艦隊(フリート)の衛兵2人が警備する仮居住ブロック建物正面にたどり着いた。

「これはヘール・ウェンリ中将、一昨日は有難うございました。」

「あれぐらい構わんさ、大尉。」

小銃を携行した衛兵 ―― ケルゲレン大尉は昨日、私がここの案内をした警備担当の一人である。

「そう言えば副元帥閣下はおられるかな?」

「はっ、お通しいたします。」

ケルゲレン大尉に案内され、建物の中へと入った。


中に入り、ダイニング・ルームのドアを開けると副元帥以下全員の将官が何か議論していた。

「おお!! ウェンリ中将」

すると副元帥は略式敬礼をし、私に近付いてきた。

「おはようございます副元帥閣下。」

「それよりも・・・・。」

「はい?」

「貴国の艦艇設計技術はすごい物だな!!」

「は、はぁ・・・・。」

「その通りだ!!」

するとビッテンフェルト中将が第2次世界大戦中に我々海軍が運用していたK型戦時標準フリゲートの青写真のコピーを持ちそう叫んだ。

そう ―― 彼らの暇潰しとして連邦海軍データセンターに保管されている大戦期の青写真をいくつかコピーし、昨晩の内に幾つかを渡していた。

「・・・・・。」

「そう言えばヘール・中将、何か用だったかな。」

「あ、はっ

私の上司・・・・と言うよりもこの国の国家元首が貴方方を招いて会議を行いたい、という事なので・・・・。」

「了解した・・・・、皇女殿下(フロイライン)は?」

「一緒にという事でした。」

「ああ、そちらも了解した。」

「妾がどうかしたかの?」

するとその彼女がそう言いながら私の後ろから抱き着いて来た、そして昨日とはまた少し違う柔らかい匂い、香水、温かさ。またその豊満な2つの物体を押し付けて・・・・。

「あ、あの殿下・・・・何を・・・・?」

「ん?」

「ん、じゃなくて・・・・・。」

「妾達の恩人じゃからの、触れ合っておるのじゃ・・・・この妾を粗相と思うか、ヘール?」

「触れ合いって・・・・副元帥閣下、これをどうすれば・・・・・。」

「うわっはっはっは、若いというのは良いですなぁ。

皇女殿下(フロイライン)も良い伴侶候補をお見つけに・・・・・・。」


〔ユーレイン連邦海軍 STAG 第1中隊 第1小隊副長 伊藤・三間 少尉 TACネーム: オクトパスボール コールサイン: アルファ1-2〕

〈ユーレイン連邦 西部 フォード島基地 居住エリア 食堂ブロックにて〉

俺はいつも通りの0630時に起床し、日課のランニングと射撃場(レンジ)での自主訓練を終えて少々遅い朝食を摂っていた。

「・・・・これからどうなんやろなぁ。」

思わず俺はそう言った、

そう・・・・この国のお国柄、ただ海賊船団の制圧だけで終わるはずが無いからだ。

「おはようございます少尉殿。」

すると第3の隊員が入って来た、確か階級は・・・・曹長だったか。

「お、曹長か。

別に敬語はいらんで、ワシも敬語は苦手やからのぉ。」

「では・・・・お言葉に甘えて。」

そしてその曹長はカップラーメンと箸を持って俺の正面に座り、食べ始めた。

「そう言えば、曹長。」

「小官の事は元夫差かケフェウスで・・・・。」

「そんじゃあワシの事は伊東、でええで。

んで元夫差、お前年ナンボや?」

「今年で29です。」

「お、若いのぉ。

ワシは32や、んで元々は伊丹に住んどったわ。」

「・・・・伊東さんは”あの戦争”の激戦地に居たんですか・・・・。」

”あの戦争” ―― それは今から14年前、旧日本国島根県竹島での海上自衛隊と韓国海軍との小競り合いを端に発した”日亜戦争”の事である。

当時18だった俺は地元の伊丹に住んでおり、韓国に乗っかって宣戦同時攻撃をして来た中朝合同軍の空爆で殆どの血縁者を失った。

・・・・それから俺は地元の有志で結成された”伊丹警備隊”に入隊しコスプレ ―― 隠れ共産党員 ―― や侵攻してきた中朝韓連合軍部隊を潰して回り、更に警備隊が壊滅・解散した後は陸自に入りなんやかんや空自、海自そして水陸機動団を転々とし最終的に地元伊丹の解放戦に参加して終戦を迎えた。

終戦後は”日本国移転”の作戦にも参加し、ユーレイン海兵隊に自動的に編入されかつての上官だった隊長に拾われ今に至る。

「せや。」

「自分は愛知の知多です、”あの戦争”が起きた時は中坊でしたけど・・・・あれは・・・・。」

「ああ、あまり言わんでええぞ曹長。あれは思い出してええもんじゃない・・・・。」

「ええ・・・・・・。」

すると隊長が入って来た。

「あ、大尉。おはようございます。」

「少尉に曹長か、昨日はご苦労だったな。

さっき中央司令部セントラルから連絡を受けてだ、向こうで会議が行われる手筈となった。

それでだ・・・・。」

隊長は一拍置き、

「曹長はあの2人を、俺と少尉はあの美少女達を連れて行くぞ。」

「はい。」

「ラジャー。」


〔ユーレイン連邦 総帥 七瀬・青海 TACネーム: ブルーコバルト〕

〈ユーレイン連邦 西海岸中部 首都サガント サガント統合基地 司令部ブロック 中央司令部(セントラル) 正面玄関にて〉

[1130時]

私は既に集まった陸軍、空軍、海軍そして海兵隊の代表。更に情報課、海軍特殊作戦諜報部(NSOIA)、海軍諜報部、内閣情報部、対外保安諜報部(FPI)警察庁(FPB)武装警察(TFAPB)反国家暴動監視取締局(ATSB)国内特務諜報局(FSPSP)、国家保安部、SIA、FBI、CIAなどの部局からの代表者と共に”関係者”らの到着を待っていた。

「でも・・・すごい出鱈目なぐらい沢山居ますね。」

すると私の横に居た私の副官 ―― ワスプこと立石唯 中佐がそう呟いた。

「私もレポート読んだけど・・・・。」

そう、今回参加する関係者の数だ


ジャーメルライヒ帝政共和国代表:

- 皇女 フロイライン・V・エリン・ジャーメルライヒ

- 海軍副元帥 リヒャルト・V・カイテルパウアー

- 同所属 カーテライト・クライツェル少佐

- 同所属 マクペル・ブレーザー少将

- 同所属 オーギュスト・Z・ワーレン大将

- 同所属 A・バイエルライン少将

- 同所属 T・V・グレービー少将

- 同所属 Z・アイゼナッハ参謀

- 同所属 ショルツ・ビッテンフェルト中将

:他4名


ブリックス公国代表:

- 公子 ミハイル・S・ブリックス

- ギルド アラント・エケテリーナ

- 同所属 ブルコ・スチン

- 同所属 ニルバーナ・ヴィントルガー

- 同所属 クセン・ポントルモ

- 同所属 クセン・ドクンレツ

- 同所属 ブラスコ・ヴィンス


旧アイギナ公国代表:

- ハミルンコ・ハンニバル准佐


その他:

- ナイトハルト・V・ミュラー准将

- メラニア・バスキス

- エレーナ・バスキス

- カナン人 オリーエ・パザン

- オリビエ・メイソン

- キレリア・ワイエス

- リオラ・サンチェルゼン

- ナードリカ・パルサー

- ラミリア・メディー

- カミラ・ヘンデルワース


・・・・といった具合に、合計31人もいる。更にこの他にもSTAGから3名、空軍から2名と第3艦隊から2名が付いてくる。


そう思い出した某に関して考えていると、陸軍のM1151ハンヴィー 7台がゆっくりと進入し私達の目の前で停止しドアが開いた。

開いたドアからはゾロゾロと”関係者”らが出て来た。

「お、デーム・ナナセ。」

するとミュラーさんが美少女と金髪中年のおっさんを連れて近寄ってきた。

「これはミュラーさん、昨晩は良く眠れましたか?」

「お陰様で、

こちらがこのユーレイン連邦の国家元首で御座います。フロイライン。」

「そうか、妾がジャーメルライヒ帝政共和国 皇女のフロイライン・ヴォン・エリン・ジャーメルライヒじゃ。」

「そして私が帝政共和国海軍 副元帥、リヒャルト・ヴォン・カイテルパイアーだ。」

「これはこれは、遠路長旅ご苦労様で御座います・・・殿下、閣下。

我々ユーレイン連邦は貴方方ジャーメルライヒ帝政共和国の亡命を歓迎いたします。」

私は一人づつ労いし始めた。


[10分後]

労いし終わった私は、我が国の代表陣と異世界からの代表陣を連れて中央司令部(セントラル)内のR1大会議室へと向かった。

今日のみこの場所の警備はかなり厳重にしてあり、3m間隔でSIG 553Rを携行したSPが配置されており外にはスナイパー、更には空軍のAH-6 リトルバードが展開している。

そして傍らではジャーメルライヒの将官達が話し合いをしながら歩いている。

「さて、到着しました。」

すると我々は無機質な観音開き式ドアの前にたどり着き、私はその重厚なドアを開けた。

ドアの向こうにはテニスコート2枚分の空間が広がっており、そこにはまた巨大な会議用テーブルと椅子。更に電子ネームプレートと水、そして菓子が置かれていた。

「皆さん、自分の名前の場所へと着席して下さい。」

そう言うと各々自分らの席へと座り、談笑し始めた。

「彼らを本当に中へと入れて良かったのでしょうか?」

するとワスプがそう言った。

「心配性ね、ワスプ

心配しなくても彼等は大切な情報提供者なんだし、私達も彼等が知りたい事を提示する必要が有るわ。

ま、いざって時は”あの装置”があるわよ。」

「でも”あれ”はまだプロトタイプ ―― 」

「さて、気を切り替えて。」

「・・・・了解。」

そして私は振り向き、

「さ、皆さん。

皆さんらにここへ来て貰ったのは他でもなく・・・・、

情報交換をする為です。」

私はそう告げ、

「でも、その前に親睦を深めたいのでそれぞれ自己紹介をしませんか?」


[数分後]

「さて、本題に入りましょうか。」

そう言い、

「まずミハイルさん。」

私は欠損した右腕に軍用義手を装着し病院着を着ているミハイルさんにそう告げた。

「はい。」

「ブリックス公国とその周辺について教えてください。」

「はい・・・・、まず私の祖国 ―― ブリックス公国はスイース大陸南西部に位置していて、周りにはウスリタン王国やドラクナ王国などが存在します。」

ほう。

「ブリックス公国の人口は確認できるだけで20万人、私の父上 ―― オムスク陛下を中心にき、いや腐った豚共が各都市を治めています。

税は購買品の十分の一で、労働を目的とした奴隷は犯罪者を除き違法となっています。

しかし・・・・。」

「しかし?」

「私の家であるブリックス家と貴族由来の軍人や貴族 ―― いや豚共の間で対立があり、そいつらは違法カジノや非合法の奴隷を多く所有し我々だけではそれらの摘発が追いつきません。」

あらま・・・・大変だ、何とかしないとね。

「・・・・・その件に関しては了解しました、ウスリタン王国とドラクナ王国についてを。」

「はい、ウスリタン王国は公国北東の国境に面していますが・・・・・かれこれ10年前から国交が断絶しています。」

断絶?

「確か・・・・ジャーメルライヒの方は国交があったはずです。」

「ああ、確かにウスリタン王国とはそれなりに国交があったな。」

するとカイテルさんがそう言いつつ頷いた。

「カイテル閣下、ウスリタン王国とはどんな国なのでしょうか?」

「ああ、良いだろう。

元々ウスリタン王国は我々と同じく帝政共和国だったが・・・・国内の騒乱や抗争が相まって王国となった。

我々ジャーメルライヒとウスリタン、仲が悪いわけでも無く友好関係にあった。逆に我々が苦しんでいる際は助けて貰ったこともあった・・・・・。

・・・・・我々がコルリス帝国に呑まれる前にしても外交で不利だった我々を救おうとしてくれていた・・・・、

ウスリタン王国はとても良い国だ。

あとだ、ドラクナ王国は亜人の一種 ―― 竜人(ドラクナー)が人口の殆どを占めている。」

「ドラクナー?」

「彼等は長寿で武芸を極めることを人生の(よろこ)びとして生きている、姿・形は我々人間に近いが龍にも変幻へんげすることが出来る。

ドラクナ王国の国土は殆どが山脈で天然の要塞となっている、彼ら竜人(ドラクナー)はその山脈の地下深くにあるという古代遺跡を繋ぎ合わせた地下都市に住んでいる。」

へぇ~、面白そうね。

「まあ彼らの住む山脈には高品質のミスリル ―― 特殊な金属鉱が眠っている。それ故、それらを入手しようとして20年前・・・・あのコルリス帝国陸軍の精鋭が王国に侵攻したが結局兵力の9割を損耗して撤退してしまった程彼ら竜人(ドラクナー)は強い。

彼等は武に関してはこの大陸一だ、断言できる。」

「へ、へぇ~ すごいですね・・・・・

ありがとうございます閣下、

えーっと次は ―― 。」

「少しよろしいですか?」

すると対外保安諜報部(FPI)の幹部 ―― 柳原(ヤナギハラ)三佐が神妙な顔で聞いてきた。

「ええ、どうぞ。」

「コルリス帝国についてもっと詳細を教えて貰いたいのです、そのコルリス帝国の動向次第では我々FPIの調査対象を変更しなければならないので。

カイテル閣下、そこの所を宜しくお願いします。」

「うむ、ヘール・ヤナギハラ・・・・・了解した。

コルリス帝国は”あの戦争”の後、直ぐに独立し近隣に存在した国々を飲み込み潰していった・・・・いわば”ベルカ帝国”の凶暴性と本来存在したコルリス人の蛮勇さを煮詰めて掻き混ぜたような国だな。

我々はともかく、あの”小国潰し”を間近で体験した彼は尚更でしょうが。」

するとカイテルさんは苦虫を噛んだような顔でハンニバルさんを顎で指した、

そのハンニバルさんはひたすら沈黙を保っていた。

「すまない、話が逸れてしまったな。

ごほん、帝国はこのスイース大陸最強の帝国だ。

政治の実権は帝王 フレデリック・ブリックスとその大臣達が掌握している、フレデリックは数年前に父親である”狂帝”ジキスムントから継承権を譲られている。

人口は確か・・・・」

「20億です、閣下。」

「ありがとう、少将

で、軍事力は・・・・・陸軍の総兵力が10億で翼竜(ワイバーン)が1万匹程、海軍の戦闘艦艇数はざっと150隻は超えている。

だが最近”黒の十字架団”という政党がコルリス帝国の中枢に食い込んでいるみたいだからな・・・・・もしかしたら増強されているかもしれないな。」

・・・・・・は、陸軍の兵力が中共の総人口並とは・・・とんだキチガイ地味た国だな。

「・・・・工業力はどのぐらい発達しているのですか、その帝国は?」

「かつてのベルカ帝国の重工業地帯を殆ど飲み込んだからな・・・・かなり発達している。」

「そうですか・・・分かりました。」

これはまた大変な事になりそうね、でも今は・・・・・。

「さぁーて、次は・・・・ハンニバルさん

貴方の祖国、アイギナ王国について教えてもらいますか?」

「相分かった、

私の来たアイギナ王国は小王国群の一国、近くにはグルカ公国やスハルト民国など ―― いわば精強な国々が存在していた。

首都だった王都ワルキスは山と川に囲まれ自然が豊富な良い都だった・・・・。

国王はアイギナ・アイアンギウス陛下で剣術に優れ、ジャーメルライヒのフリッツ・ヴォン・ジャーメルライヒ陛下とも仲が良かった。

・・・・・だが、ベルカが崩壊し我々も新たな国として独立して間もなく・・・・コルリス帝国があの”小国潰し”を始めた、

・・・・・私も部隊を率いてアイアンギウス陛下をお守りせんとしたが、”あの男”と刃交えて逝ってしまわれた。

私は部隊の生き残り、ランスロット第2王子とジュリア第3王女を連れ脱出した。

アイギナから5600人、グルカ公国から1700人、スハルトから300人、ファーバンティ王国からは1000人ほど脱出したと聞いている。」

・・・・・・まるでアニメのストーリーみたいね。

「・・・・分かりました、

そう言えばハンニバルさん。」

「はい?」

「”あの男”とは何者なんです。」

するとハンニバルさんは少々驚いた顔をし、

「確か名は・・・・キルゴア、ランスターン・キルゴアと言っていたな。

珍妙な剣を使い戦っていた。」

すると私含め連邦軍の関係者はざわついてしまった、

「なっ・・・・・、あの”狂気の代弁者”がか・・・・。」

「あんな死神・・・・・死んだんじゃなかったのか・・・・・・、

もしあれと戦うんだったら人員がいくらあっても足りんぞ!」

「小官は士官学校の教本テキストでしか名前は・・・・・。」

ランスターン・キルゴア ―― かつて米国海兵隊の士官だった男で、その類い稀な戦闘力から”狂気の代弁者”、”死神”、”民主主義の復讐者(パニッシャー)”などの名前で呼ばれていた戦闘狂である。

「わーお・・・・・・。」

「そう言えば、ちょっと質問いいですか?」

するとSTAGの梶田曹長が手を挙げた。

「ええ、どうぞ。」

「亜人? でしたっけ、それにはどの位種別があるのでしょうか?」

「クックック・・・・・その質問、俺が答えるぜぃ。」

その質問に陰湿と陰険を合わせたような顔でニルバーナさんがそう呟いた。

「クックック・・・亜人というのは、遥かな昔・・・悪魔族や魔人(ザンジバル)が獣人と交わったりして誕生した種族だがなぁ。

クク、実際には魔人が製造した”生体兵器”だ。」

そして彼は一拍置き、

「まずはそこのエルフだ、

エルフは主に森に住んでいて、独自の宗教や文化を持っている

クククッ、まあ色々自由な変り者もいるがな。

この通り生まれつき不老の力を持ち軽く100年200年生きる。

クックッ、主に エルフ、ダークエルフやエンシェントエルフなどが居るな。」

「誰が変人よ!! バカッ!!」

「クック、次は・・・・そこに居るやんちゃくそだ。」

「俺なんだぜ?」

犬人種(ドックハウンド)は主に尻尾と耳以外は人間と一緒だ、犬獣人(ウォルフ)が大元だから力も強い。

近縁に狼人種(ウルフハウンド)も居るが・・・・ククッ、そこの碧眼のお嬢さんの様にな。」

「え? ええ・・・・。私の父は狼人種よ。」

そんなニルバーナさんの解説に、オリーエちゃんが肩を竦めてそう言った。

「まあ他にも猫人種(キャットピープル)兎人種(バニー)虫人種(バグ)蛇人種(スネークマン)とかがいる。」

「ありがとうございます。」

「構わんぜぃ、クックック。」

「さーて皆さん!

そろそろ昼食の用意が整っていますので、移動しましょう。」

私がそう言うと、全員は賛同するように頷いた。

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