第1章12 フォード島会談Ⅰ
〔ユーレイン連邦 総帥 七瀬・青海 TACネーム: ブルーコバルト〕
〈サガント統合基地 司令部ブロック 総帥執務室〉
私は執務室で仮眠していた所、アテナ・・・・母さんから連絡を受け、執務室で彼女が来るのを待っていた。
「”コンコン” 青海、入るわよ。」
すると母さんがドア越しにそう言って来た。
「どうぞ。」
そう言うとそのロングへアーを後ろに縛りタブレットを持った母さんが入ってきた。
「コーヒー、お願いできる?」
「ええ、ブラック?」
「それでお願い。」
「はいはい。」
[2分後]
「で、大陸に関して何か分かった?」
コーヒーを入れ終え母さんにコップを渡した私はそう聞いた。
「取り敢えず3カ国の情報は集まったわ。」
そう言って彼女はタブレットを見せて来た、
タブレットの画面にはその3カ国に関しての情報が映し出されていた。
「ふむ・・・、取り敢えず了解したわ。
・・・・・そう言えば」
「?」
「あの制圧した海賊船と民間船の乗員は?」
「ああ・・・・全員 フォード島に収容して、一部がまだそちらに向かっている途上だわ。」
「そう、で・・・艦隊の方は?」
「ネオ・ブレスト軍港に向かってるわ。」
「・・・了解したわ、フォード島で会談を行う。母さん、陸海空そして海兵隊の将帥、他の人選宜しくね。」
「了解したわ。」
フォード島で急遽、会談を行うことにした。
〔ユーレイン連邦海軍 STAG 第1中隊 第1小隊長 西都・道春 TACネーム: インターキラー コールサイン: アルファ・アクチュアル〕
〈病院母艦フローレンス所属 レッドクロス隊(ベル MV-22M スーパー・オスプレイ 4機) レッドクロス1-2機内 ―― 海上上空〉
あれからラインに戻った俺達は、余分なお荷物を降ろして俺と他の隊員数人と少女達と共に病院母艦のフローレンスへと向かった。
そこで少々遅めの夕食を済ませ、パラジャンパーズと共にフォード島へと向かった。
「・・・・きっとブルーコバルトが変人になるだろうなぁ、これ。」
「でしょうね。」
副小隊長もそう頷いている、だろうな・・・・。
「あの ―― 。」
すると犬耳少女が俺の腕をツンツン、としてそう言って来た。
「ん?」
「私達を助けてくれてどうもありがとうございました・・・・。」
「あ、ああ。
でもそんな固くならなくても良いぞ。」
「じゃあ・・・・名前の紹介させてください。
私はカナン十二氏が一、深遠のカナンが長の娘。オリーエ・パザン。」
「オリーエか・・・良い名前だな。」
「ありがとう・・・サイトー様。」
「・・・・・何故俺の名を?」
「うふふ・・・・何故か分かるのです。」
何この子怖い。
「・・・・はぁ。」
「で、この子 ―― 「私の名前はメラニアです。」
するとオリーエが何かを言おうとした所に1人の猫耳少女がそう俺の方に寄って来て、それを拍子に残りの7人がわらわらと集まって来た。
「お姉ちゃん抜駆けはダメだよ!!
メラニアの妹のエレーナ・バスキスです!! 年は15でお姉ちゃんとパーティー組んでました。」
さっきの猫耳少女の次に、顔の似た猫耳少女がそう言い。
「オリビエ・メイソンです、今年で15になりました。趣味は料理でギルドの飲み屋で働いていました。」
普通な少女がそう言い、
「どもー キリレア・ワイエスでーす、年は13で趣味はー本を読むことでーナイフの投擲が得意だったんでー近接職のーハンターをーしてましたー。」
何かとノホホーンとしてるウサ耳少女がそう言い、
「俺の名前はリオラ・サンチェルゼンだぜ!! 今年で18で工業ギルドで働いていたぜ!!」
腕っ節の強そうな犬耳少女がそう言い、
「私ノ名前ハ、ナードリカ・パルサー。今年デ17ニナッテ・・・・トニカク冒険者ヲシテイタ、タスケテクレテアリガトウ。」
肌がまるでトカゲの様にウロコ状になっている縦割れ目のラミア少女がそう言い、
「・・・・ラミリア・メディーです、年は12でこの通り・・・元ハンターでした。」
デカイ目、巨乳で湿るような妖美さを兼ね備えた少女がそう言い、
「カミラ・ヘンデルワースです、年は16才でとにかくナイフが大好きです。祖父上、父と兄が軍人だったので自分も軍人になりたいです。」
そして最後に、セミロングで首と腕の一部が虫の様に甲殻化している少女がそう言った。
「メラニア、エレーナ、キレリア、リオラ、ナードリカ、ラミリアにカミラか・・・・教えてくれてありがとう、いい名前だな。」
「あのー?」
すると、キレリアがそう言って来た。
「ん?どうした。」
「貴方のー名前はー何ですか?」
「ああ、俺か・・・・
俺の名前は西都・道春、ユーレイン連邦海軍の軍人でSTAGという部隊に居る。よろしく、9人共。」
「「「「はい!」」」」「はいー。」「アア。」「「はい・・・・。」」
「そう言えば俺から聞いていいか?」
するとまた犬耳腕白少女ことリオラが聞いてきた。
「あ、ああ。」
「好きな食べ物はなんだぜ?」
「好きな食べ物か・・・・強いて言うならカレーかな。」
「カレー?」
「あの茶色いシチューみたいなものねー、美味しかったーねー。」
「・・・・サイトー様、私からもいいですか?」
何故かオリーエも会話に加わってきた。
「ん? どうしたオリーエ?」
「重婚について・・・・どう・・・思いますか?」
・・・・は?
重婚だと・・・・、ほぼ全員が頬を赤くしてるし・・・・ヤバイ・・・・・
どう答えれば・・・・。
「伊東 ―― 」
「隊長、腹括って下さい。」
副小隊長の伊東・三間少尉にヘルプを求めたが、案の定だった。
「(ちっ)・・・・まぁ・・・あれだ、個人の意見を尊重する・・・・。」
「そうですか!」
「よしっ。」「押せば何とか・・・・。」
誰か・・・・・・助けて。
〔ユーレイン連邦海軍 STAG 第1中隊 第3小隊所属 梶田・元夫差 TACネーム: ケフェウス コールサイン: チャーリー3〕
「ははは・・・・。」
俺は9人の美少女達に取り囲まれたインターキラーを温かい目で見つつ、そう苦笑いをするしかなかった。
「そう言えば、礼を言ってなかった・・・・ありがとう・・・えっと。」
すると欧州風の軍服を着た、俺が助けた内の一人がそう言ってきたので
「小官の名は梶田 元夫差 曹長、海軍STAGに身を置いています。」
そう返した所、
「ヘール・カジタか、私はジャーメルライヒ帝政共和国海軍 第362戦闘群 群司令のナイトハルト・V・ミュラー准将です。」
案の定、そんなビックネームが返って来た。
「へ、へぇ・・・・准将閣下ですか・・・・なんか、すみません。」
「いやいやヘール・カジタ、私も敬語が苦手でね・・・・ヘールが気に病む必要は無い。」
「それじゃあミュラー准将と・・・・そう言えば。」
「如何しましたヘール?」
「ヘールってどういう意味ですか?」
「ああ~!! ははは、すまない。これは我々ジャーメルライヒ人独特の言い方でね、人に対する敬称・・・・言うなれば”~さん”という意味だ。」
「そうなのか・・・・ そう言えば、貴方は・・・・。」
准将の横に居る男にそう尋ねた。
「ああ、私か・・・・・私は元アイギナ王国軍臨時編成二百人隊 元隊長だったハミルンコ・ハンニバル。昔は准佐だったが・・・・・今はしがないただの男だ、
助けてくれて本当に感謝しかない、ありがとう。カジタ。」
すると准将が、
「な!!・・・・あの”剣王”アイアンギウスのアイギナ王国か!?」
「アイギナ王国?」
思わず俺はそう准将に素っ気無く尋ねた。
「ああ・・・・、アイギナ王国はかつて隣国のグルカ王国と共に剣術に優りこの二カ国で剣に勝つ者が居ないと言われていた・・・が、コルリスの”小国潰し”で消えてしまった。」
「・・・・そうでしたか。」
「すまない・・・・ハンニバル准佐。」
「はい。」
「あの”小国潰し”の際、我々も奴らとの小競り合いで救援も出せず・・・・申し訳ない。フリッツ陛下も悔いておられた、そして我々もついに・・・・呑まれてしまった。本当に・・・・・本当に申し訳なかった。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
我々ユーレイン出身者にとってはチグハグで何を言っているか分からないが・・・・空気で何となく察してしまった。その”コルリス”という強大な国があかん事をしているのは分かった。
「ミュラー准将。」
するとハンニバルさんは悄気ている准将の開口一番、
「昔の事より、今でしょう。」
そう言った。
〔ユーレイン連邦空軍 ”パラジャンパーズ” 第1STS 第1STT 班長兼中隊長 ペラース・クリル TACネーム: ホワイトスネーク コールサイン: ナイチンゲール1 ロメオ・アルファ・アクチュアル〕
「本当に貴方達って異世界から来たのね!!?」
私はフローレンスに収容されたエルフ?のエケテリーナさんを連れていた。
「ええ、詳しいことは軍事機密なので話せませんけど。そうなりますね。」
「へぇ~、これとかも魔法で動いてるの?」
「いや、科学技術の一つですね・・・・ていうか魔法ってあるんですね。」
「えっ? 魔法じゃないの?」
「えっ? 魔法じゃないの?」
〈こちらは機長 ―― 〉
〔ユーレイン連邦海軍 STAG 第1中隊 第1小隊長 西都・道長 TACネーム: インターキラー コールサイン: アルファ・アクチュアル〕
〈こちらは機長の博雅だ、もうすぐ目的地のフォード島に到着する。到着時の気温は23度で無風だ・・・・・もう夏だな。
まあ着陸態勢に入るから少々揺れる、申し訳ない。〉
美少女9人のカオスな押し問答を何とか防いでいた所、機内のインカム越しにそんなパイロットの声が聞こえた。
「そうか・・・・、オリーエ達。」
すると9人の美少女達は引き寄せられる様にこちらを向いた。
「もうすぐ総帥・・・・俺達の国の王様だな、その人を待つ為の場所に着く。
少し揺れるから気を付けろ。」
「王様・・・・? 私達が会ってもいいの?」
思うに心配症なオリーエがそう言い。
「ああ、きっととても喜ばれると思うぞ。」
まあ、総帥(あのお方)は色んな意味で喜びそうだが・・・・・。
「どんな人なんですか?」
「俺の様な下士官でも気に掛けてくれるいい人だ。」
セミロングの髪をいじりながら聞いてきたカミラにそう答えた。
まあ、あの人の事だ。
どうなるかは知らん・・・・。