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第1章8 Operation Table Dragger 1-4

〔ユーレイン連邦海軍 第3艦隊 艦隊司令官 森田(モリタ) 呉里(ウェンリ) TACネーム : ヤン 

コールサイン : ウィザード・アクチュアル〕

〈ユーレイン西海岸 フォード島より約35km東 ―― 艦隊旗艦 プリンツ・オイゲンⅡ 艦橋(ブリッジ)


我らが総帥殿下(ブルーコバルト)からの勅命で、フォード島北方20kmに存在する国籍不明艦隊に対抗する為に私は急遽125隻からなる臨時編成艦隊を編成し母港のネオ・ブレストを出航した。

「コーヒーでも入れますか、司令?」

すると私の副官 ―― エーリテス・カナリー少佐がそう尋ねて来た。

「ああ、今日はブランデー入りのを頼む」

「はい。」

「司令! 先行した偵察艦 R422から入電!」

入れ替わりに通信オペレーターがそう叫んだ。

「読んでくれ。」

「はい、

”不明艦隊を発見、フォード島北方17kmで停止中。”

です。」

「・・・了解

第1分隊の空母”ガイエスブルグ”艦載機を上げて空中偵察を行わせろ。」

「はっ!!」


〈フォード島より北方21km北東 ―― 2時間半後〉

あれから2時間少し経ち、コーヒーを飲み終え我々は特に異常もなく航行していた。

だが、

〈こちらCIC!! レーダーに不明艦隊を視認!

数は・・・なっ!! ・・・100隻以上!!〉

それは破られた。

「なっ・・・!!

分かった、直ぐにCICへ行く。副司令、ここを頼みます。」

「了解しました。」

そう言い私はCICに向かうべく、ブリッジを出た。


〈プリンツ・オイゲンⅡ CICルーム〉

「室長、状況は?」

「我々の行く手を遮る様に半包囲しています。」

「そうか・・・、彼らは上手く我々の目を欺いた訳だ。」

「・・・どうされますか?」

「どうするのも何も、仮に防水陣形で突出したとしても我々にリスクが有るのは当然。ここは一つ・・・威嚇を行う。」

「室長、今使える航空戦力は?」

「第2分隊の空母”ゼー・アドラー”、第3分隊の軽空母”レダ”ですが・・・。」

「彼らを空に上げてくれ、

そして全艦に防水陣形で待機を伝達してくれ。」

「はっ!!」


〔ユーレイン連邦海軍 第3艦隊 空母 ”ゼー・アドラー” 航空隊 エーテルワイス隊(マクドネルダグラス F/A-18D ホーネット 1機 ボーイング F/A-18E スパホ 6機)隊長 アンドリュー・セブ TACネーム : ポピー コールサイン : エーテルワイス・リード〕

〈フォード島沖上空〉

不明艦隊に示威飛行を行え、との命令を受け。俺達パイロットは空の人になっていた。

「まーた変な任務(ミッション)を受けたもんだな。」

赤く染まった空を前に俺はそう言った。

「ええ、でも司令官閣下も面白いアイディアが有るものね。」

ヘルメット内蔵の機内通話装置(ICS)にコパイのそんな声が響いた。

〈こちら臨時管制機 ウェスターウィンド、各隊状況を報告せよ。〉

すると高空で俺達を監視・・・・、ごほん もとい管制している空軍のAWACSからそんな命令(アラート)があった。

「こちらエーテルワイス・リード、発艦し待機中。」

〈ウェスターウィンド、こちらハンゼンベール・リード(ボーイング F/A-18F 10機 : 軽空母レダ航空隊)。母艦の上をぐるぐる回ってる所だ。〉

〈ゲリッセナー隊(ダグラス A-4SU スーパースカイホーク 4機、グラマン F-14D トムキャット 4機:空母ゼーアドラー航空隊)よりウェスターウィンド、上空で待機中。〉

〈全隊、ウェスターウィンド了解。各隊各個に示威を行いつつ不明艦隊の上空を飛行し、偵察を行え。〉

「了解。」

〈〈了解。〉〉

AWACSからの命令を受け取り、

「よし、各自にスリー・マン・セルで行動。

2、3と4は俺に続け。」

〈〈了解!!〉〉

〈〈〈はい。〉〉〉

そう命令した。


[十分後]

「・・・・すごいな。」「ええ・・・。」

眼下の不明艦隊のその姿は、まさに前時代ながら驚愕の一言が似合う物だった。

俺とエーテルワイス2,3と4はフォード島近海に布陣する不明艦隊の上空をアフターバーナーを吹かしつつ飛行していた。

「ジーナ、スナイパーXRを起動させろ。」

「・・・リンク送信先は?」

「全艦隊に。」

「分かったわ。」


〔ユーレイン連邦海軍 第3艦隊司令官 森田 呉里 TACネーム : ヤン コールサイン:ウィザード・アクチュアル〕

〈艦隊旗艦 プリンツ・オイゲンⅡ CIC〉

「司令、エーテルワイス隊からのデータを受信しました。」

「よし、モニターに出してくれ。」

「はっ。」

空の方から偵察データが届き、私はコーヒーを飲みつつモニターに出す様に言った。

モニターには詳細にデータ化された不明艦隊の情報が表示され、写真やら映像やらが部分ごとに映し出された。

「・・・・室長。」

「はい。」

「これを見た君の率直な意見を聞かせてくれ。」

私は横に居る室長にそう告げた。

室長は眼鏡をクイッと上げ、

「では・・・、

現有戦力で不明艦隊・・・いえ、第二次世界大戦クラスの艦隊を全滅ないし殲滅する場合・・・。我々のリスクが大きくなるので、最低でも損耗率30%を見積もった方がいいかと。」

そう言った。

「・・・そうか。」

「不明艦隊に動き!!」

再び室内に戦慄が走った。

「詳細は?」

「半包囲から我々を完全包囲する様に陣形を変更しています。」

「映像は出せるか?」

「モニターに出します。」

するとモニターが切り替わり、上空からの映像に変わった。

「・・・室長。」

「こちらも用意しないと・・・司令。」

「・・・了解した、

全艦防空システムを起動、各艦の指令で砲弾を落とせ。」

「はっ!!

防空システム・・・CIWS、ファランクスとゴールキーパーを防空モードに・・・。」


ドゴゴゴゴゴ・・・・


するとCICはそんな轟音に包まれた・・・・。


[3分後]

・・・・何も感じない。

「示威・・・なのか・・・・?」

「空包・・・・ですね。」

室内が火薬のむんとした匂いで包まれた中、私と室長はそう言った。

「各艦状況報告!!」

「全艦ダメージ無し、オールクリア!!」

「そうか・・・・、パフォーマンスへの答礼か・・・。」

「ですね、司令。」

「ははは、こちらも空包で答礼だ・・・・

マナーは守る物だからな、室長。」

「はっ、

兵装オペレーター、各砲塔に空包を装填・・・30秒間フルオートで射撃だ。

通信オペレーター、今の文言を全艦に下令。」

「はっ!」「了解です。」


〔ユーレイン連邦海軍 第3艦隊 空母”ゼーアドラー” 航空隊 エーテルワイス隊 隊長 アンドリュー・セブ TACネーム:ポピー コールサイン:エーテルワイス・リード〕

「・・・・・何だこれは?」

キャノピーの眼下では不明艦隊と俺らの第3艦隊がドンパチしていた、

が・・・・・何かがおかしかった。

「どう思う、ジーナ?」

「おそらく・・・・空包ね。」

「根拠は?」

「これは私の予想だけど・・・私達の”パフォーマンス”に感化されたんじゃない。」

「・・・・・。」

は・・・?今なんつった?

(やっこ)さんらハイになってやがる。〉

するとゲリッセナー隊のトムキャットが1機、近づいて来た。

「よう、調子はどうだ?」

〈こちらゲリッセナー2、見ての通りだ。〉

はぁ・・・・・、相変わらずか。

「そちらの隊長さんは?」

〈・・・・・下でアクロバットしてる。〉

「・・・・そうか。」「・・・・・ええ。」

・・・言う言葉もないな・・・、ゲリッセナー隊は変人奇人の集まりだからな。

〈何か言ったか?〉

げっ・・・・。

「い、いや・・・何も。」

〈・・・そうか。〉

〈こちら臨時管制機ウェスターウィンドよりエーテルワイス、ゲリッセナー隊、帰って来い。〉

すると口うるさいオヤジもといAWACSからそんな命令があった、

いやはや・・・。

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