そっちじゃない
「アル、それにギル、え~4歳の誕生日おめでとう!!」
「パパはもう感無量だよ。。。。二人ともあんなに小っちゃかったのに、あっという間におおきくなってしまって。。。」
「お前たちが1歳の時なんて」
「もうエド、何回その話するの、ご飯も冷めちゃうから早く終わらせて!」
「まったく、君がやるといつもこうだ、昔から何も変わらんな。」
「カインたら~、今日はアルスちゃんとギルちゃんの誕生日なんだからいいじゃ~ん、二人ともよろこんでるよ~。」
「し~しょ~~、早く乾杯しましょうよ~~~」
「ミラ様、テーブルに肘をついてはいけませんよ。」
「そ、そうだな。何はともあれ、じゃ、じゃあ、乾杯ぃ!!」
「カンパーーーーーイ!!」
オレ、4歳になりました。
人生で2回目の4歳の誕生日です。
ていうか、人生自体が2回目です。
多分あれです、『異世界転生』です。
気付いたら暗闇の中を彷徨ってて、
とにかく誰かに助けてほしくて大声で叫んでたんだけど、
少しずつ体の感覚が戻ってきて、目を開けたら異世界でした。
そして文字通り産まれたばかりの姿でした。
こんな大勢の前で素っ裸になるなんてかなり恥ずかったけど、
でも何だろうこの気持ち、ちょっと悪い気もしなかった、むしろ良かったかも。。。
生まれ変わったら父親はかなりイケメンだったし、母親なんてマジでかわいかった、
それにおれよりだいぶ年下でした。
バイトとかで一緒になったら、多分ジェネレーションギャップに戸惑うレベルだと思う。
ふと自分の本当の親の顔が頭をよぎった時、とても寂しい気持ちになった。
もし異世界への転生だったら一生会うことができないんだろうなと。
実際、この現状にはかなり戸惑った。
最初は現実味のある夢か何かを見ているのだろうと思ったけど、
寝ても覚めても夢は終わらなった、
そもそも、どう考えてもオレの知ってる現代の生活とは随分かけ離れているために、
夢としか考えられなかったのだ。
テレビもないしスマホもないし、
そもそも電気なんかは通ってないし、乗り物も馬が主流だし、
使われている言語も何一つ知っているようなものじゃなった。
夢であってほしいと何度も思った程だ。
それでも日々は進んでいき生活は何もかもが新しく奇想天外だった、
着るもの、食べもの、住むところ。
そして一番衝撃をうけたのは新しい母親のおっp。。。。
一番衝撃をうけたのは魔法だ!
そう、この世界には魔法があるのだ。
レビオサ~ではなくレビオーサだ。
実際目の前で見た魔法は「火の玉」と「治療」、
ドラ○エでいうところの「○ラ」と「ホ○ミ」的なものだった。
旅の吟遊詩人が少しだけ使えるということでメ○を見せてもらった。
たまたま使えるようになっただけだということで、実際の魔法使いが使うような程ではないらしいのだが、
指先からポッと小さな火の玉のようなものが出た。
はっきり言ってテレビで観るマジシャンがやっているような手品にそっくりだった、
しかし、これはれっきとした魔法らしい。
吟遊詩人のような根無し草な旅人には非常に重宝される魔法だそうで、
何もないところから簡単に火を起こすことができて便利なんだそうだ。
話によると、一流の魔法使いがこれを使えば普通の人間は消し炭になるらしい。
まさしく「メラ○ーマ」だ。
それより感動したのは○イミ。
ある日、村の付近の森で魔物が発見された。
もちろん普段から魔物は生息しているのでさして珍しいことではないのだが、
近隣には存在しないはずの個体がそこにはいたのだ。
自警に当たっていた担当者が命からがら逃げてきたのだが、その体には無数の傷を負っていた、
現代であれば当分の間は入院レベルの負傷だったが、周りはあまり動じていなかった。
オレはその異様な光景をはたからひっそりと覗いていたが次の瞬間その理由がわかった。
教会の神父が両手をかざすと次の瞬間にはみるみると傷が修復していくのだ。
映画のワンシーンをゆっくりと逆再生で観ているかのような光景は非常に衝撃的だった。
これが下手な宗教団体だったらオレは多分その宗教にどっぷりとハマるだろう。
神父が手をかざす事をやめると、
ボロボロに半壊していた服の下は、無数の傷がすべて何事もなかったかのように消えていた。
さすがに現代のマジシャンでもズタボロの体は直せない。
まあそもそも現代ではそんなスプラッターな手品は放送ができないのだけれども、
火を起こすよりも、傷を治療する事の方が圧倒的に衝撃的だったのは確かだ。
剣だの魔法だの魔物だのと平然に言っている世界、
これはあれだ、
今流行りの『異世界転生』というものだ。
夢のファンタジーワールドだ。
オレの住んでいた世界の『地図に載っていない小さな島』説は、
限りなくゼロになった。
しかし、困った。
実際現実に帰れるのだろうか。
そもそも、オレは現実に帰りたいのだろうか?
妄想の中では生まれ変わったらとか妄想することもあったけど、
実際にこんな世界が広がると不安も多いし、頼れる人もいない。
確かに目の前に両親はいるけどオレより年下というのもあっていまいち距離を置いてしまう。
さすがに4年経てばこの家族にも愛着が湧いてくるので寂しさは少しなくなったけど、
いまいちこの世界にはまだ慣れない。
この世界に自分の居場所を未だに見いだせないでいる気がするのだ。
オレはとにかくこの世界の情報を収集することと、自分の身を守ることを最優先にすることにした。
みんな治癒魔法があるせいか、自分たちが危険と隣り合わせにいることに鈍感でいる気がする。
もちろん傷なんかはすぐに治るのかもしれないが、傷以外に治せない魔法や呪いは絶対あるはずだ。
話によると復活魔法があるらしいが、確実に生き返る事ができるという保証もない、
死なないように日々生きることはかなり重要だ。
そもそも死というのは恐ろしいものだった。
一度死んだことがあるオレからしたらあんな思いは二度とごめんだ。
とにかく今回何とか転生できたこの人生は大切にしたいと思う。
暗中模索の日々を過ごし、そんなこんなで4歳になった。
日々新しい発見の連続で幸い暇はしなかった。
最初は何を言っているかわからない言語に不自由な思いをしたが、
やはり子供の体ということでスポンジのように吸収していき、
あっという間にこの世界の言語を覚えた。
そのおかげか蔵書もスラスラと読めるようになり、あらかたこの世界の事も理解できた。
それともう一つ、体術や剣術だ。
前世のように平和な生活が続くわけではないので自らの身を守る方法も覚える必要があった。
幸い指南役のエドワードは聖王級の剣術をマスターしているので剣術を覚えるにはもってこいだ、
聖王級程の技量があればそこら辺の魔物であればほとんど難なく倒せるらしい。
更には自分で道場を開き数人の弟子をとることもできるほどの階級なのだ。
もちろん聖王級よりも上の段は存在するがここから先は別次元だそうで、
ここまでくるとかなりの有名人になるらしい。
とりあえず聖王級になれれば自警には問題なさそうだ。
エドワードに剣術の稽古をつけてもらっているときに気付いたのだが、
自分の中に確かに存在する特殊な力を感じた、
子供の力では到底引き出すことができるような力ではない、凄まじい力が使えるときがあるのだ。
やはり転生したからには何かしらの使命があるのだろうか、
今後さらなるが強敵が現れるのは目に見えているので、
なお一層自身の力をつけていくことに邁進していくことにした。
勉学も疎かにはできない、前世では当たり前のように義務教育があり、
学ぶ機会が用意されていたが、この世界では義務ではなかった。
前世で30歳を過ぎて教育ということの重要性を理解はしていたが、
この世界に来てからはな尚更実感した。
幸運なことに父親は村で一番の商人で世界中の本が。。。
え?
父親はエドワードじゃないのかって?
まてまてそっちじゃない。
オレはこっち。
金髪じゃない方だ。
そうギルフォードの方だ。
父親はひょろっとした方のカインだ。
フルメタルアルケミストじゃなくてバロン王国の竜騎士団の方だ。
確かに流れで行くと金髪で碧眼で勇者っぽい方になるのかもしれないけど、こっちだ。
最近はうすうす「あれ?アルフォンスの方が主人公っぽくね?」と思い始めてはいるが、こっちだ。
何となくアルフォンスの能力は底が知れない。
いまだに母親のエリーゼにべったりではあるが、潜在的に大きな力を感じるのだ。
そうドラゴン○ールのゴハンみたいな感じ。
オレはデオワルド家に産まれた。
父親は村で一番有力な商人のカイン。
こいつがなかなかな切れ者で、はっきり言って開拓も遅れているようなこの村で、
よくここまで先の事を考えて行動できるなと感心するほどだ。
特に情報を手に入れて取捨選択が非常に上手で、多分こいつはリンゴの会社とかで働けちゃうタイプ。
そして意外なことに結構子煩悩だったりする。
隣町に商売に行った日も、別にそのまま現地で一泊してもいいのに、
せかせか急いで帰ってくる、しかも子供が喜びそうな絵本やおもちゃを小脇に携えて。
普段無口なくせに、そういう姿を見るとかわいらしくてとてもホッコリしてしまう。
しかしオレがあまり親にべったりしないので、カインはいまいち満足できないためかソワソワしてる。
カインの買ってくる絵本は特に勉強になった。
大抵この世界の昔話等の伝記をデフォルメしているのが絵本であり、
文字の書き方も子供向けにしてあるため非常にわかりやすかった。
絵本はそれなりに高価なものではあるがカインは出かけるたびに買ってきてくれる。
オレが熱中して読んでいるのを見て、ここぞと言わんばかりに甘やかしてくれるのだろう。
最近では、率先して少しカインに甘えてみるようにしている。
甘えたその日は自分の部屋で鼻歌を歌っている事は本人のために心の奥にしまっておこう。
それよりも母親のリーズレットだ。
彼女はカインとエドワードの幼馴染らしい、平凡な家庭出身の女性だ。
母親っていうといまいちピンとこないが、多分代前半くらいだろう、
髪は少し桃色でゆるりとふわりとしている、そうゆるふわだ。
小さな口からは白い犬歯がちらりと光る。
ハッキリ言って、とっても可愛い!!
幼い顔つきに似合わずちょっと強気な態度、
どこか愛嬌がある小悪魔なところがなお可愛い!!
特にオレが少し甘える素振りを見せると簡単にデレてくれる。
しかも合法的にオレはリーズレットの胸に顔を埋められる、
というか乳幼児のころなんて吸うこともできたのだから。
しかし、そんな夢のような状態でおかしなことに気付いた。
それは興奮しないことだった。
もちろん触りたい吸いたいという欲望に駆られはしたのだが、
興奮するというより、安心する方が強かった。
なんだか非常にもったいない気がした。
オレの男としての大いなる力が無くなってしまったのかと不安にもなった。
もしかして転生してやれやれ系男子になってしまったのだろうか?
自身の不甲斐なさにむせび泣くこともあった。(1歳にも満たない時だが。)
しかし、そんなオレを救ってくれた存在がいた。
それは大人の雰囲気をもった聖母様いやメイド様だった。
メイド様の大きな胸に顔を埋める機会があったときかなり興奮した、興奮が全く抑えきれなかった。
初めて女性に触れた時を思い出したオレは、しばらくの間しがみついて離れなかった。
しがみつきすぎたのかわからないがメイド様は体調を崩したのか、
呼吸が荒くなり始めたのでなんだか怖くなってやめた。
オレはその時、封印されていた大いなる力が解放されることが分かった。
そう、心理の扉を開いてしまった気がする。
右腕の1本や2本、ないし左足なんてくれてやる。
大事なものを返してもらったのだ、安いものだ。
そう、大いなる力は失っていなったのだ。
カイン邸にはアヤタンというメイドもいる。
年齢としては15歳前後くらいだと思う。
メイドといっても現代のメイド喫茶のような萌え萌えメイドではなく、
ヴィクトリア朝のような落ち着きをもった気品のあるメイドだ。
肌の露出などは微塵もなく淑女という言葉が似合う。
アヤタンはだいぶ落ち着いた大人の雰囲気を漂わせておりとても魅力的な女性だ。
オレを見てたまに鼻息が荒くなって様子がおかしい時もあるけど、
これくらいの女性が個人的に一番魅力的だ。
しかし、このメイドがなかなか気の抜けない存在でオレは常に視線を感じている、
なんだかオレの一挙手一投足を常に監視しているようだった。
オレとしてはあんな色っぽい女性に絡みつくような視線を送ってもらえるのはとてもうれしいが、
何となく下手なことができないため警戒している。
もしかするとオレが転生者であることに気付いているのかもしれない。
この世界ではまだ不確定の情報が多いので、転生者であることはできれば伏せておきたい、
特に魔女狩りのような制度がある場合、速攻で燃やされてしまうだろう。
おっと、料理が冷めてしまう。
こっちの料理はピンキリではあるが、おいしい物が多い。
こないだなんて森で大きなブタ?のような魔物をエドワードが討伐したときに、
丸焼きをご馳走してもらったし、新鮮な怪鳥系のモンスターの玉から作るミラのオムレツは特においしい。
「ねえねえギル!来週からスクールに通うのが楽しみだね!」
「そうだねアルス、いったいどんな場所だろうね。」
アルフォンスの瞳は綺麗な青色だ、
こいつと目を合わせて話していると何となく心が落ち着くし、なんだかネガティブな心も晴れる気がする。
性格もほとんど捻くれてなくてとってもまっすぐな性格だ。
これくらいの年齢の子供は結構やんちゃなものだ、
村にいる他の子供なんてぶん殴ってやりたくなる程憎たらしい。
しかし、アルフォンスはいつも笑顔で純粋無垢だ。
温厚で生真面目な性格であり、正義感が強く素直であり頑固でもある、お人好しで涙もろい子供だ。
こんな子供がいたら親はさぞ自慢に思うだろう、
カインには悪いが、オレはもう精神年齢が30歳以上のためなかなかこうはなれない。
「僕はギルがいれば、どんな場所でも不安なんてないよ!」
「アルス、僕を買いかぶりすぎだよ。僕なんて普通の子供さ。」
「そうかな~、ギルはなんだか父さん以上にしっかりしてる気がするんだけどな~。」
「普段もアヤタンさんと同じくらい落ち着いてるもん。」
「なんだかもう30歳くらいのおじちゃんと一緒にいる気がする!」
「ははは、おじさんて、はははは!!」
(アルフォンス君鋭すぎぃぃ!!)
「た、多分村を出たらすごいヤツはもっといっぱいいるさ。」
「もう、ギルはまたそんなこと言って!もっと自信を持ちなさいよ!」
「ミラ、だってスクールには地元の子供以外のもっとたくさんの子供が集まるんだろ?僕達だってもしかしたら井の中の蛙かもしれないんだからわからないじゃないか。」
「え?え?カワズ?って何だっけ?」
「なんだなんだミラ!カワズがわからないのか!?カワズっていうのはあれだ!食べ物の事だ!」
「師匠、それはなんだか違う気がしますけど。」
ミラはエドワードに向かってジトリとした瞳でため息をついた。
「はぁ、師匠はお酒が入るとほんとにダメダメですね。」
「いいんだ、いいんだ!今日はめでたい日だからな!はっはっはっは!!」
「はぁ、君はいつもめでたいじゃないか。いいか、カワズというのは」
「うるさい!さあ飲むぞカイン!はっはっは!!」
「や、やめろ!僕が飲めないのは知っているだろう!!」
カインは無理やりエドワードに飲まされどんどん呆けていった。
エドワードはへべれけだった。
剣術を教えているときは見惚れるほどにかっこいいのだが、
それ以外はヒョウヒョウとしており、普段からのらりくらりと生活を送っている。
カインの話によると数年前までは世界中を旅していたらしく各地を転々としていたが、
妻のエリーゼと結婚を機に所帯を持ったそうだ。
エリーゼと出会うまではかなり手の付けられない存在だったらしいが、
エリーゼに牙を完全に抜かれたらしい。
後ろから美しい姿勢の女性がスッと話に加わってきた。
髪はほんのりと深い緑色のロングヘアーで、一つにまとめてアップにしている。
うなじから覗く青白い肌からは普段から肌の露出が極端に少ない事を証明している。
「ミラ様、カワズというのはカエルのことでございます。」
「狭くて閉じた世界観の中にいて、広い世界を知らない状態にある人の事を指すのです。」
「私の授業が拙いばかりに、申し訳ございません。」
「ア、アヤタン師匠は悪くありません!!アタシの勉強不足です!ごめんなさい!!」
「もう、ギルのせいでアヤタン師匠を傷つけちゃったじゃん!」
「へへへ、最近はミラよりもギルの方が物知りだよね。」
「そんなことないよアルス、まだまださ。剣術なんてミラにはまだ勝てないんだから。」
(流石にオレの方が30年以上長く生きてるからね~)
「『そんなことい』って、10回やったら2、3本とるくせに。アタシの方が3つも年上なのに。ブツブツ」
「確かに剣術に関しては、僕なんてまだミラから1本もとれないしな~、悔しいよ。」
「アルスはまだまだ強くなくていいのよ~。」
「ふふふ、それにミラは剣術だけじゃなくて料理だって上手だと思うな~。」
「特にこのオムレツなんて口の中でとろけてとっても美味しいと思うわ。」
「エリィの言う通り、私もミラちゃんの料理大好き~。」
「きっと将来は強くてとってもかわいいお嫁さんになるよ~。」
そこにエリーゼとリーズレットがほんのりと頬を紅葉させて、
葡萄酒で饒舌になったのか、話にぐいぐいと割り込んできた。
「私も奥様やエリーゼ様と同じ意見です、ミラ様は将来才色兼備な女性になられます。」
先ほどまで下を向いて落ち込んでいたミラの顔が震えていた。
「エリーゼさん!リーズレットさん!アヤタン師匠!あ、あり、ありがとうございす!!!!」
「アタシ、サイショウケンビーになります!!」
ミラは憧れのアヤタンから褒められたことにより瞳を輝かせていた。
才色兼備という言葉の意味を理解していないようだったが、
褒められているということはわかったらしく、顔が綻んでいた。
まるで少年野球の子供が憧れのメジャーリーガーの選手に、
キミワサイノウガアル、キットグレートナプレイヤーニナルヨー!
と言われた時の顔だ。
「ミラ、才色兼備だよ。すごい才能と美しい見た目の両方をもっていることを言うんだ。」
「たしかにミラは将来きっといいお嫁さんになると僕も思うよ。」
キョトンとした顔をしていたミラの顔がポッと赤くなった。
うれしさを抑えきれないのか俯いて何かブツブツ言っている。
結んだ髪の毛がピョンピョンと跳ねていた。
更にその後ろでは荒い鼻息を抑えようとしている女性2人が肩を震わせていた。
「あらあら、ギルフォード君は罪な男の子だね~」
「アルスもこれくらい女性の扱いが上手になるのよ、父さんを見習っちゃダメよ~。」
「え~え~、ギルゥ~。1番はママだよね!?ママだよね!?」
「ま、ま、ま、まったくです。罪深いです!!でも、私はそれでも一生お仕えいたします!!」
そうそう、今回のオレはだいぶイケてる部類の人種で、結構キザなこと言っても許されます。
甘いマスクで女性の感情を揺さぶれるというのはとても甘美で癖になります。
前世のオレでは決してできないであろう必殺技だと思います。
カインがかなりの美男子なのだがオレはその血を濃く継いでいるようで、
瞳の色はどっちにも似ていないけど、雰囲気は幼いころのカインに瓜二つらしいです。
転生してこの件に関しては得をした気がします。
「うん、僕もギルみたいになりたいな!ギルは僕の自慢の兄弟だよ~!」
「あと、ミラのゴハンは僕も大好き~!」
「もう、アルス~。ほっぺたにソースがついてるぞ~。母さんがとってあげる~。」
そもそも、オレの周辺にいる人物はみんななかなかに顔がいい。
この世界のみんながそうなのかと思ったが、そうではなかった。
もちろんこのアルフォンスもそうだ。
母親譲りの金髪に、真っ青な瞳。
目鼻立ちも非常に整っており今はまだあどけなさが残るが、
将来は立派な好青年になるに違いない。
「うんそうだね、僕もミラのゴハン好きだよ。そうだオムレツお代わりしようかな。」
「ギルフォード様!!で、で、では私がお取りいたしましょう!!」
「あ、いやいやアヤタン師匠!ここはアタシが作ったのでアタシがやります!!!」
「あ、僕もお代わり~!!」
最近はこんな生活も悪くないと思ってきた。
とりあえず登場させたキャラクターがなんだかとりあえず登場させちゃったので、
どんな人物像か定まってないので後悔します。
とりあえず
メイドっていいですよね!!
ありがとうございました。